八幡side
本当に分からない着差だ。ロードカナロアもそうだがカレンも良い走りをしたものだ。その証拠にレコードタイムで審議の最中だ。今は3着までは表示されているが1着と2着はまだ数字の表示はされていない。さて、どうなるか……
八幡「カレン。」
カレン「あっお兄ちゃん。」
八幡「お疲れさん、良い走りだったぞ。」
カレン「でも、まだ分からない……まだ審議中だもん。」
八幡「そうだな。今は待つしか無い、勝利を願ってな。」
こういう時間は本当に長い。いつもなら5分なんてあっという間なのに、何かを待つ5分っていうのは1時間のように長く感じる。カレンはこれまで接戦というレースは無かったから、こういう時間を味わった事が無い。だからこそ、本当に長い………カレンも待ちわびた様子は無く、ただただ掲示板を見つめていた。
実況『まだ1着と2着の番号が表示されません。それだけ接戦だったというのを裏付けています。本当にどちらが勝ったのでしょうか?玉座に座っている者か、玉座に手をかけている者か……カレンチャンか、ロードカナロアか……』
カレン「………」
カナロア「………」
八・カレ・カナ「あっ………」
掲示板の表示が変わった。1着の表示には【14】、2着の表示は【16】と数回点滅した後に審議の青ランプから赤ランプの確定に変わった。つまり……カレンの勝利が決定した。
実況『あぁっと今掲示板の着順が審議から確定に変わりましたっ!!1着はカレンチャンですっ!!これで史上4人目の春秋スプリント達成!そして史上初、短距離GⅠ3連覇達成ですっ!!』
八幡「ふぅ……やっt「やったあああぁぁぁぁぁ~っ!!」うおっ!?」
カレン「やったお兄ちゃん~!カレン勝ったよぉ~!!」ギュウウウ∼!
八幡「……あぁ、そうだな。一安心だ。」
カレン「何で一安心なのさ~!もっと喜ぼうよっ!だって、本当に勝ちたいレースで勝てたんだもんっ!」ピョンピョンッ!
カレンは今までに無いくらい喜んでいた。俺に勢い良く抱き着いてきたと思ったらそのまま飛び跳ねて身体で喜びを表現している。でもなぁ……周りからの視線が物凄く刺さるんだよなぁ。確かに歓声が聞こえるんだが、中には野次も聞こえる。特に観覧席からの8つの視線が1番刺さる………
実況『カレンチャンも担当トレーナーと共に喜びを分かち合っております!カレンチャンのトレーナーも素晴らしい調整をしました。彼はまだトレーナー歴3年目の新人トレーナー、カレンチャンと共にこのトゥインクルシリ-ズを駆け始めました。その担当のカレンチャンをこれだけ鍛え上げ、しかも史上初の3連覇にまで導きました。その手腕はすでに新人の域を超えていると言っても過言では無いでしょう!』
やめて。俺の事なんて紹介しなくていいから。カレンの紹介だけでいいから。
ーーー数分後・控え室ーーー
八幡「はぁぁぁぁぁ~………疲れた。」
カレン「えへへ、楽しかったね~♪」
八幡「楽しくなんてねぇよ、俺は獄道を歩いていた気分だ。」
カレン「カレンにも聞こえてたよ~!『そこを替われ~!』とか『トレーナーだけズルいぞ~!』とか『俺達のカレンを汚すな~!』とかぁ~!皆色々言ってたよね~!」
八幡「俺さ、インタビューの時間はこの控え室に引っ込んでていい?今の外に出るの怖い。」
カレン「ダァ~メッ♪お兄ちゃんも一緒にインタビュー受けるの~!」
ですよね~。俺、もう外に出たくない……かと言って此処には居られないし、外に行ったら野次られるし、観覧席に行ったら行ったでカレンの家族達が怖いしで、もう八方塞がりだ。中山のレースが終わったらあの家族達が待ち受けてそうだし、ホントに怖い。
八幡「今日、生きて帰れるだろうか?」
カレン「何で~?」
八幡「だって前門には万は居る観客、後門にはお前とお前の家族……逃げ場ある?」
カレン「あぁ~……無いかも。ママ達って過激なとこあるから。」
八幡「だろ?たとえ大人しく待っていたとしても、家族達が待ち受けているようにしか思えない。」
それよりもカレン、お前の家族は過激って言葉じゃ収まらないぞ。だって家にお前のグッズを集める程だぞ?
その後はインタビューとウイニングライブを終えてから、帰り支度をして帰ろうとしていたところなのだが……
パパ「やぁトレーナーさん。よくカレンを勝たせてくれましたね、ありがとうございます。」ニッコニコ
八幡「い、いえ……これが仕事ですので。(ヤバい、笑顔なのに目が笑ってねぇ……)」
パパ「しかしですね、カレンがあんな風に男の人に抱き着いているところを見た事が無くてですね~。そこのところ、詳しくご説明していただけませんかね?」ギリギリ…
八幡「(肩の骨がミシミシ言ってるんですけど?)いや、俺も初めてだったので……」
ママ「まぁまぁそれはそれは。カレンちゃんを寮に送り届けた後は是非我が家に来て祝勝会を挙げましょう。カレンちゃんには悪いけど、一足早いパーティーをしましょう?」ギリギリ…
パパ「おぉ、それは良い考えだね。色々と聞きたい事もあるしね。」ギリギリ…
姉「じゃあ今の内に色々と準備しないとだね。」
一体何の準備をするつもりだ?っていうか肩から手を離してくれません?両肩がもうヤバいんですけど?そろそろミシミシって音からピキピキって音に変わりそうなんですけど?