八幡side
………何となく分かっていた、分かっていた事なんだけどなぁ。
カナロア「カレンカレン!次の香港遠征に向けて一緒にトレーニングをしようじゃないの!知り合ってもう半年くらい経つけど学園では1回も話した事無かったもんね~!いやぁ~私ってレースには自信あるんだけど勉強って全然自信無くってさ~さっきまで補修受けてたんだよね~!」
カレン「そ、そうなんだ……」
カナロア「それでさカレン、さっきの話に戻すんだけどさ!一緒にトレーニングしない?同じ日本から参戦するウマ娘同士さ、お願いっ!」
八幡「……いきなり来たかと思ったらこれってどういう事なんですか?」
カナトレ「ご、ごめんなさい比企谷君。あの子前から言っていたんだけど、カレンと一緒にトレーニングをしたいって。でも彼女いつもいつも補修ばかりでしょ?併走するといっても時間的に全然間に合わなくてね、でも今日やっと全部の補修が終わったの。そしたら一目散に此処に駆け出したって事なの。」
八幡「……走りは一級品でも勉学は致命的って事ですか。」
カナトレ「言わないで。私だって注意してるの、勉強も大事だって。なのにあの子は目の前のレースの事しか眼中に無くて……後カレン。」
八幡「文武両道を謳ってるトレセン学園の弱点が見えた瞬間ですね。」
カナトレ「返す言葉も無い………そ、それで比企谷君的には一緒にトレーニングをするのはあり?」
八幡「あり……ではありますがなしでもあります。俺達はもう日本での追込を終わらせて調整に入っているので、たとえ一緒にトレーニングが出来たとしても大した結果は得られないと思いますよ。」
カナロア「それでもいいからやろうよトレーナー!私はカレンと一緒にトレーニングがしたいっ!」
八幡「その場合は完全にこっちのメニューに従ってもらう事になるが、それでもいいのか?」
カナロア「いいっ!!」
カナトレ「うぉいっ!?いいわけ無いだろっ!!自分のトレーニングもあるのにっ!!」
カナロア「それよりもカレンとのトレーニングが優先っ!」
カナトレ「貴女ねぇ~………」
カナロアに振り回されているんだろうな~。こうやって見ていたら分かる、この人苦労しているな。
カレン「えっと、どうするお兄ちゃん?」
八幡「こっちは特に問題無いが、そっちのトレーナー次第だな。流石にウマ娘にトレーニング決定権は無いからな。どうします?」
カナトレ「……1週間くれる?それまでにカナロアの状態を整えるから。」
カナロア「えぇ~今日でもいいじゃ~ん。」
カナトレ「ダメよ。貴女ここ最近は補修ばかりで碌にトレーニング出来てなかったんだから。まずはいつもの調子に戻してからよ。それから一緒にトレーニングよ。まぁそれも比企谷君とカレンが許可を出してくれればの話だけど。」
カナロア「カレン、その時はいいよって言ってね!」
カレン「う、うぅ~んと……お兄ちゃん次第かなぁ。」
カナロア「そ、そんな~……」
カナトレ「ほらもう行くわよ、カレン達にもトレーニングがあるんだから邪魔しちゃ悪いわ。」
カナロア「あぁ~カレン~……」
ロードカナロアはカナトレさんに担がれながら部室から出て行った。しかしアイツ、勉強は全然出来ないのか……
カレン「……とりあえずトレーニングに行く?」
八幡「そうだな。まぁトレーニングとは言っても本番に向けての調整だから長い時間トレーニングはしないけどな。」
カレン「でもさお兄ちゃん、カナロアさんとのトレーニングって本当にするつもりなの?」
八幡「向こう次第ってところだな。別に断る理由も無いし、向こうだって調子を上げるって言ってたしな。それを見てから判断しても遅くはないだろう。」
カレン「そっか……じゃあ来週になってからのお楽しみだね。」
八幡「そういう事だ。んじゃ、俺達もトレーニングだ。」
ーーートレーナー寮ーーー
カナトレ「比企谷君、部室ではごめんなさいね。あの子カレンの事になると本当に周りが見えなくなるのよね。トレーニングの時もカレンカレンって呪文のように何回も言うのよね。もう本当に病気レベルでカレンの事が好きなのよね。」
八幡「みたいですね。カレンも引くくらいですからね……因みに聞きますけど、レースの前とかも言ってるなんてありませんよね?」
カナトレ「………」
八幡「あるのかよ……」
カナトレ「言ったらいけないとは思うんだけど、あの子自分の勝負服にカレンの写真をしまって一緒に走るのよ。カレンと走る時は言わないのだけど、カレンが出走しない時はこう言うのよ。『一緒に勝とうね。』って。」
………マジで好きなんだな、カレンの事。しかも本当に聞いてはいけないような事を聞いてしまったような気がするから余計に来週が怖くなってきたんだが?
八幡「あの、1週間待つって事にしてますけど、断ってもいいですか?」
カナトレ「お願いだからやらせてくれない?あの子のモチベーションは現時点でこれだけだから。」
八幡「それだけでモチベーションを保ててるっていうのも割と凄いですけどね。」
カナトレ「あの子、カレンの事になると単純だから。」