八幡side
シュヴァル「あの、トレーナーさん……少し、いいですか?」
八幡「ん、どうした?」
シュヴァル「えっと、姉さん達が迷惑なようだったら言ってください。僕も止めますので。」
八幡「あぁ~まぁ俺に関しては嬉しい悩みなんだけどな。だって才能あるウマ娘からの逆スカウトだ、本来なら断るという選択肢は無いんだが、俺はまだ1人しか担当に出来ない。どうしても慎重になってしまうのは仕方のない事だ。」
シュヴァル「トレーナーさん、すっごく悩んでいるように見えたので……」
八幡「その気持ちは素直に受け取る。けど俺もトレーナーだ、ウマ娘はよく吟味する必要があるからな。確かにお前達3姉妹から声がかかったのは嬉しい事だが、それだけを見るわけにはいかない。他のウマ娘だって粒揃いばかりだからな。」
俺はトレーナー室で作業をしていたのだが、シュヴァルがスカウトの事で気を遣ってくれている。俺としても気持ちに答えてやりたい思いはあるが、そうもいかないのが現実だ。
シュヴァル「じゃあ、トレーナーさんはまだ悩んでるって事ですか?」
八幡「そうだな。まぁ年齢や学年の事を考えるならシュヴァルは2番目になるんだが、1番上のヴィルシーナで結果を出せるかどうかで辞令とかにも関わってくるからな。それを抜きにするなら俺は最初に走りを見たお前を担当にしたいとは思ってる。」
シュヴァル「っ!姉さんやヴィブロスじゃなくて、僕をですか?」
八幡「あぁ。」
シュヴァル「~っ!///」
あっ、これは喜んでるな。でも嬉しいからなのかすっげぇ顔赤い。
シュヴァル「あ、ありがとうございます……///」
ガラガラ~ッ!
ヴィブロス「トレっち~居る~?」
八幡「居るぞ。けどその前にノックくらいはしような。」
ヴィブロス「ねぇねぇトレっち!まだトレっちは私のトレーナーさんじゃないけど、候補だっていう事をママに話したのっ!そしたら今度お家に連れて来てだって~!」
八幡「おいおい、担当になるかどうかも分からないトレーナーを家に招くのはどうなんだ?」
ヴィブロス「お姉ちゃんと一緒に報告したんだもんっ!その時にシュヴァちも同じトレーナーを狙ってるって言ったから別にいいでしょ?」
シュヴァル「ちょ、ヴィブロス!勝手な事しないでよ。」
ヴィルシーナ「失礼します、トレーナーさん。あぁ、やっぱり……妹達がご迷惑をおかけしております。」
八幡「いや、もう慣れた。んで、3姉妹揃ったわけだが一体どうしたんだ?」
ヴィブロス「そんなのトレっちが1番よく分かってるでしょ?私達の誰を選ぶの?」
シュヴァル「………」
八幡「やっぱりそれか……シュヴァルにも言ったが【コンコンコンッ】ん?どうぞ。」
ジェンティル「失礼致しますわ。」
ヴィルシーナ「っ!ジェンティルさん……」
ジェンティル「あら、御機嫌よう。けれどごめんなさい、今日は貴女に用では無くてよ。」
そう言うとジェンティルは俺の方へと視線を向き直した。
ジェンティル「貴方、担当ウマ娘は決まっていらして?」
八幡「残念ながらまだなんだよな。目移りしちまってる最中でな。」
ジェンティル「そう……模擬レースの事、覚えているかしら?」
八幡「あぁ、覚えてる。」
ジェンティル「では話が早いわね。貴方、私のトレーナーになる気はなくて?」
ヴィブロス「えぇ~っ!?」
シュヴァル「えっ!?」
ヴィルシーナ「っ………」
八幡「おいおい、いきなりだな……」
ジェンティル「あの日の夕方、貴方だけが私の走りに疑問を持った。そして貴方だけが私の意図を読み取った。聡明なだけでなくトレーナーとしての腕も確かともなれば、自身のトレーナーとしてお誘いする理由としては充分ではなくて?」
増えた……逆スカウトしてきた人数が増えた。しかもこの上無く圧倒的な才能を持ったウマ娘が。
ヴィブロス「ダメェ~!!トレっちはヴィブロスのだもんっ!!」
ジェンティル「あらあら、お可愛い方が出てきましたわね。」
シュヴァル「あの、トレーナーさん。この際なのでもうお決めになった方が……」
ヴィルシーナ「……シュヴァルの言う通りね。トレーナーさん、ここはもうは止めに決めた方が楽かと。」
キタサン「あっ此処に居たんですね~!」
八幡「え、何?もうお腹いっぱいなんだけど?」
キタサン「えっと、突然すみません。あたしキタサンブラックっていいます!この前シュヴァルちゃんからトレーナーさんのまとめたトレーニングメニューを見たんですけど、それがもう本当に凄くて!それで思ったんです、このトレーナーさんとならもっと強くなれるって!だからお願いします、あたしのトレーナーになってください!」
ジェンティル「あらあら、人気がありますのね。少々意外でしたわ。けれど、選ぶウマ娘は間違えませんわよね?」
ヴィルシーナ「トレーナーさん、賢明なご判断を。」
シュヴァル「ト、トレーナーさん……」
ヴィブロス「トレっちなら私を選んでくれるよね?」
キタサン「トレーナーさん、よろしくお願いしますっ!」
ねぇ、俺逃げてもいいかな?こんな状態じゃまともに担当選びなんて出来もしない。っていうか逃げたとしてもウマ娘の脚から逃げるなんて無理か……既に八方塞がりだったか。