ジャーニーside
あの日以降私に挑もうとする方々が居なくなり、授業や昼休み、放課後も快適に過ごせています。心配していたトレーナーさんの安否ですが、どうやらその心配も杞憂だったみたいで、何も起きてはいないようです。それにしても、あのトレーナーさんは不思議な方だ……普段は気の抜けたような、覇気の無さそうな感じなのですが、トレーニングになると途端に変わります。特にあの目が……極めつけは模擬レースが始まる前に見せたあの表情……あれにはあのような顔も出来たのかと不覚にも驚かされました。
ジャーニー「トレーナーさん、1つお聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
八幡「どうした?」
ジャーニー「トレーナーさんはこの間のレースで走った2人の事を覚えていらっしゃいますか?」
八幡「覚えてるぞ。」
ジャーニー「その時、あの2人の不適切な発言でトレーナーさんが怒ったかのようにも見えました。」
八幡「間違いじゃないな。怒ったというよりかは不快に感じたからだ。これからレースをするって時に相手を潰すなんて言葉、使う必要なんて無いだろ。自分を鼓舞する為に心の中で叫ぶのは結構だが、いくら気に入らない奴の親族だからといって使っていいような言葉じゃない。ただそれだけだ。」
ジャーニー「………」
八幡「………何か言ってくれないと反応に困るんだが?」
ジャーニー「あぁ、すみません……また少し、驚かされてしまいまして。トレーナーさんは私の為にあのような事を言ってくださったのですね。」
八幡「担当ウマ娘なんだ、そのくらいの贔屓は別にしてもいいだろ。レースには関係無いんだから。」
ジャーニー「ふふふ、そうですね。では私も少しばかりトレーナーさんの事を贔屓するとしましょう。」
八幡「誰に得があるんだよそんな事して。する必要なんてねぇだろ、トレーナー相手に贔屓なんて。」
トレーナーさんはそうお思いかもしれませんが、少なくともオルは貴方の事を贔屓していますよ?何せ、まだ貴方以外のトレーナーの指導は1度たりとも受けていないのですから。
八幡「それと、お前って色々と変な連中と一緒に居るんだな?ダメって言うつもりは無いんだけどよ。」
ジャーニー「変な連中……あぁ、ゴルシさんやナカヤマさん達の事ですか。意外と面白いんですよ、彼女達と一緒に居るのも。」
八幡「……まぁ、退屈はしないだろうな。この学園に来たばかりの俺にはまだ分からん世界だ。」
ジャーニー「トレーナーさんもきっとすぐに慣れると思いますよ。」
八幡「そんな空間に慣れたくはないな……」
ジャーニー「それもすぐに無くなるかと……何せ、この前の模擬レースでトレーナーさんの事を一目置いているみたいなので。」
ステゴ「おっ、居た居た。ようジャーニー、それにトレーナー。」
ジャーニー「アネゴ……どうかしましたか?」
ステゴ「何、ちょっと探してたんだ。ナカヤマがトランプするって言うんだが、人数が揃わなくてな。2人共来いよ、それなら数もちょうど良くなるしな。」
ジャーニー「……ほら、先程言った通りでしょう?」
八幡「向こうからやって来るとはな……」
ステゴ「ん?何の事だ?」
ジャーニー「いえ、こちらの話です。では行きましょうか、トレーナーさん。」
ーーー遠征支援委員会本部ーーー
ナカヤマ「くっくくく……まさかチップを持たずに来るとは思わなかったぜ。」
ステゴ「済まないなトレーナー、説明するのを忘れてた。」
八幡「それはいいんだけどよ、お前等が賭けてるのってこのにんじんチップの事だよな?仰々しいかと思ったら意外と可愛いのを賭けてんだな。」
ゴルシ「コレでもギリギリだけどな~。もしエアグルーヴにバレたら絶対に追いかけられるぜ。」
八幡「俺すぐに捕まるじゃん……じゃあ俺の賭けてるコレはセーフか?」
ジャーニー「同じテーブルに着いている時点で同罪かと……しかしよく持ち歩いていましたね。」
八幡「糖分補給の為だよ。」
トレーナーさんはにんじんチップを持ち合わせていなかったのですが、持参していたクッキーをチップ代わりに参加する事が出来ました。
八幡「けど何でトランプ?」
ナカヤマ「ソイツがやりたいって言い出したんだよ。まぁあたしは出来れば何でも構わねぇからな。」
ステゴ「とりあえず勝負、だな。さっき言った通りババ抜きだ、運要素も絡むゲームだ……じゃあ初参加という事でトレーナーから始めろよ。」
八幡「じゃあお言葉に甘えて。」
ーーー数十分後ーーー
ジャーニー「……中々揃いませんね。」
ナカヤマ「その方がヒリつくじゃねぇか……こっちも無しだ。」
八幡「この順位で上がっても大して嬉しくないしな……もっと嬉しくない。」
ゴルシ「へへへ~ほらほら次に上がるのは誰だぁ~?」
ステゴ「チップを殆ど持ってないゴルシが、今1番儲けられる番だからな……おっ、揃っちまった。」
ゴルシ「最下位の奴からは搾り取ってやるぜ~!」
八幡「けどコレってさ、手持ちが無くなったら終わりなんだろ?ゴルシ後1枚だけだったのによく持ちこたえたな……」
ゴルシ「これがゴルシちゃんの実力って事だな。」
中々続きますね……普段だったらナカヤマさんのチップが0になって終了なのですが。
八幡「……また無しか。」
ステゴ「アンタも意外と引きが悪いな。いや、それはあたしもだな。」
八幡「無かったのかよ、人の事言えねぇなおい。」
ジャーニー「……おや、揃いましたので上がりですね。さぁどうぞナカヤマさん、遠慮せずに引いてください。」
ナカヤマ「チッ、生き生きした顔しやがって……ねぇのかよ。」
八幡「……ん、上がり。じゃあ後はステゴとナカヤマだな。」
ステゴ「おぉ~じゃあナカヤマから引けばいいんだな?」
ナカヤマ「へへっ、ある意味こういうのを待ってたんだよなぁ~あたしは。さぁどっちだ?」
その後の勝負はナカヤマさんの最下位となり、最終的にはゴルシさんのチップが無くなった事でトランプは終了しました。それにしても………
ステゴ「美味いなこのクッキー……よぉトレーナー、何処の店で売ってんだ?」
八幡「俺が作ったから何処にも売ってねぇよ。」
ジャーニー「おや、そうだったのですか……見覚えの無いクッキーだと思っていましたが、お手製だったのですね。」
ナカヤマ「じゃあ次からはこのクッキーをチップ代わりにしようぜ?そしたらあの鬼の副会長の目も欺けるだろ。」
八幡「なら市販のでもいいだろ。」
ゴルシ「な、なぁハチ~……あたしにも一口「おぉ~?負け犬が何か言ってるぜ~?」ナ、ナカヤマテメェ!!」
ナカヤマ「自分から言い出した事だろ?負けた奴は賭けたチップ没収の上でおやつ無しってよ。自分から破ったりしねぇよなぁ?」ニヤニヤ
ゴルシ「チッキショ~!!」