比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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最終週の追い切り

 

 

八幡side

 

 

目標レースの朝日杯FSまで残り数日というところまで来た。つまりは既に追い切りに入っている。ジャーニーの調子は上昇していて、当日には最高の状態に持って行けるであろうというところまで来ている。どういう方法かは分からないが、ジャーニーは自分自身でもパフォーマンスを上げているのではないかと思うくらい、レース前の追い切りでは良い走りをする。

 

んで今日はオルフェとの併走にしている。本来だったら追い切りだから本人の走りに任せているところなんだが、今日は目一杯……つまり本気で走らせている。

 

 

オ・ジャ「フッ!!」

 

八幡「………」

 

 

追い出すタイミングはほぼ同じ……姉妹だからこそ互いでどのタイミングでスパートをかけるのがベストなのかが分かるんだろう。ジャーニーは知っていたが、オルフェも中々良い展開作りをする。

 

 

ピッ!

 

 

八幡「……ん、良いタイムだ。けど最後は届かなかったな。」

 

ジャーニー「はぁ……はぁ……はい、流石はオルだ、本当に良い走りをする。」

 

オルフェ「姉上の走りも良いものになっておる……流石の腕前といったところだ、比企谷。」

 

八幡「そりゃどうも。じゃ、今日のトレーニングはここまで。ダウンに入ってストレッチに入れ。」

 

 

……今の併走、確かにジャーニーは先着を許したが内容は全く悪くない。今日は右回りのコースで阪神を想定しての併走をしているが、上がり3ハロンのタイムは34.6でしかも着差はクビ差と殆ど無い。これがもし本番でも出せたとすれば、とてつもない末脚だ。間違い無く同期の中ではトップクラスの脚だろう。これだけの脚を使えるジュニアクラスのウマ娘が、ジャーニーの他に居るとは思えないし見た事も無い。

 

 

八幡「これは本番が楽しみだな。」

 

「トレーナー様、1つよろしいでしょうか?」

 

八幡「どうした?後、トレーナー様はやめて。」

 

「この頃、オルフェーヴル様の走りについて行けるようになってきました。いえ、まだ遠く及ばないのですが、今後どのようにしていけばあの御方の境地に近付けるのかと思いまして。」

 

八幡「そうだな……じゃあ例え話をするか。自分の得意な戦術と得意な戦術を合わせた4つの異なる戦術があるとする、お前は相手に勝つにはどっちが有効だと思う?」

 

「それは、自分の得意な戦術だと思います。」

 

八幡「その通りだ。今のを言い換えると脚質だ。自分の得意じゃない脚質で相手に挑んでも結果なんて分かり切っている。仮定で進めるとしてその相手はオルフェだ、お前の走りなんて手を取るように分かるだろう。そこでどうすればいいかって事か?」

 

「はい。」

 

八幡「答えは簡単だ、お前の得意な事を伸ばせばいい。誰も届かないくらいに、な。」

 

「……それだけ、ですか?」

 

八幡「それだけだ。これまで走ってきた一流のウマ娘ってのはそれを極めに極めたウマ娘達だ。例えるならサイレンススズカだな。アイツの脚質は逃げもしくは大逃げだが、その枠を大きく超えて『逃げて差す』っていう逃げ差しって言葉が出来るくらいの超大逃げのスタイルだ。あんな芸当誰にでも真似出来るようなスタイルじゃない。他でならオグリキャップとナリタブライアンだな。あの2人の走りを見た事あるか?スタイルは普通でもスパートをかけた時の姿勢は他のどのウマ娘よりも低い。あの走りだって身体の柔軟性が無いと出来ない走りだ。真似ろと言うつもりは全く無いが、自分の走りの中で他の何かよりも大きく突出した何かが分かれば、大きく伸びると思うぞ。サイレンススズカだって香港遠征でそれを掴んだらしいからな。」

 

「自分の得意な事を伸ばす……」

 

 

実際、適性が万能でもない限りはこれに尽きる。そんなウマ娘、俺は今のところマヤノくらいしか知らない。

 

 

「分かりました!自分なりに伸ばしてみせます、ありがとうございますトレーナー様!」

 

八幡「お礼は素直に受け取るけど、その様付けは本当にやめような?」

 

 

ーーートレーニング後・部室ーーー

 

 

ジャーニー「今日もお疲れ様でした、トレーナーさん。ところで私達がダウンに行っている間に話しかけておられましたね?」

 

八幡「もっと走れるようになりたいから、そのアドバイスを少しな。」

 

ジャーニー「そうでしたか。あの子達もより一層、高みへ登りたいのでしょう。」

 

八幡「向上心があるのは悪い事じゃないしな。それにアイツ等の走りも段々と変化してきているし、成長途上にあるのは確定だな。」

 

ジャーニー「ふふふ、何だかチームのようですね。」

 

八幡「アイツが侍らせているからだろう、そう見えるだけだ。俺が見てんのはお前だけなんだからな。」

 

ジャーニー「ですが、アドバイスはなされるのですよね?」

 

八幡「まぁそれなりにだけどな、拒んだりはしねぇよ。」

 

ジャーニー「今後の活躍が楽しみですね。」

 

八幡「まっ、その前にトレーナーに認められないとデビュー出来ないけどな。」

 

 

そうだ、デビュー出来ない限りは活躍も何も無い。まぁオルフェの元でいくらか走れるようになったら今後のトレーナーの目も違ってくるだろう。

 

 

 

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