大丈夫です、後になったら分かります。
八幡side
『ねぇねぇ、今朝の見た!?ビワハヤヒデ先輩の3000m!凄い速かったよね!』
『うん!!偶々居合わせてたけど、最後のコーナーから一気に加速してた!!ぐ〜んって!!』
『もしかしてだけどさ、ハヤヒデ先輩のあの走りって例のトレーナーが関係してるんじゃない?』
『あり得るかもっ!!』
バチコリ噂になっとりますやん………え?まだ朝だよね?何でこんなに噂が広まるの早いわけ?嘘だろ?そんなに見てたウマ娘居るの?
八幡「こんな事になるのなら、朝はもっとゆっくりしておくんだった………」
ルドルフ「そんなつれない事を言わないで欲しいな。」
八幡「………朝の噂については?」
ルドルフ「既に耳にしている。相席構わないだろうか?」
八幡「あぁ、構わない。」
ルドルフ「感謝する。彼女の走りは既に学園内では噂になっている。まだ未契約の彼女があれだけの走りをしたんだ、当然噂にもなる。その後は姉妹揃って勧誘やらで忙しかったようだがね。」
八幡「こうなるんだったらメニューを渡すんじゃなかったと思ってた。俺のメニューが筒抜けになる。自分の蒔いた種とはいえ、昨日俺のメニューを渡した奴には釘を刺しておかないとな。」
ルドルフ「ならば私も気をつけておこう。エアグルーヴやブライアンにもそう伝えておく。」
八幡「そうしてくれ。」
よかった、俺が苦労してアイツ等に会わなくても済みそうだ。会うとすればオグリとクリークだな。後ハヤヒデ。
ルドルフ「ところでトレーナー君。」
八幡「ん?」
ルドルフ「スカウトの件は考えてくれたかな?」
八幡「っ!?」
コイツ、こんな所で何を平然と聞いてやがる!?他のウマ娘の目や耳もあるんだぞ!?その中で何つー事聞きやがる!?ほら、見てるよ?周りのウマ娘達こっちを凝視してるよ?マズい雰囲気だよ?
八幡「………今言わないとダメか?」
ルドルフ「私とて1人のウマ娘だ、私の他に5人も有力なライバルがいれば気になってしまうものさ。群雄割拠、我々は今1人のトレーナーの担当になる為に対立しているのだからね。」
八幡「頼むからその話はこの場所でするのやめてくれ。ただでさえ他のウマ娘の視線が痛いんだ、多分殆どのウマ娘が察しついてるぜ?ハヤヒデが速くなった理由。」
ハヤヒデ「私の話か?」
前にはハヤヒデとウイニングチケット、ナリタタイシンが居た。この3人の組み合わせは昨日も見たな。
八幡「あぁ、今朝のアレの事でな。」
ハヤヒデ「やはりそうだったのか……トレーナー君のを試したのだが、アレは日常的に行うトレーニングではないな。注目を浴び過ぎる。」
八幡「まぁそうだろうよ。あのメニューは普通の長距離メニューでは考えられない方法だからな。」
チケゾー「ねぇねぇ!!トレーナーってさ凄いメニュー作れるんだってね!!ハヤヒデが珍しくベタ褒めしてたよ!!」
ハヤヒデ「こ、こらチケット!」
あぁ……この娘は隠し事が出来ないタイプの娘か。これでもうハヤヒデの速さの正体がバレてしまったか。
八幡「あぁ、そうなの………なぁチケゾー、こういう言葉って知ってるか?口が軽いって?」
チケゾー「え?うん知ってるよ!何でも良く喋っちゃう人の事でしょ?それが何?」
八幡「………ハヤヒデ、頼んでいいか?」
ハヤヒデ「あぁ、朝食が終わったら実行する。」
チケゾー「え、何々?何するの?」
ハヤヒデ「安心しろチケット、楽しい事さ。お前と私とでな。」
チケット「わぁ〜い、やったぁ〜!!」
タイシン「幸せな奴………」
よし、チケゾーは終わった。チケゾーのおかげで要らん情報まで出回ってしまったからな、悪く思うなよ?
ルドルフ「君は存外、悪い性格をしているのだな。」
八幡「俺が良い性格の持ち主に見えるか?だとしたら見る目がないな、俺の性格は悪い方だ。」
ルドルフ「そうかい?私には君が悪い性格の人にはとても見えないが?」
八幡「何でそう思う?」
ルドルフ「昨日、あれだけのウマ娘に関しての走り方や動きを見ている上に私の動きまで見落とさなかった。それだけ君は細心の注意を払いながらウマ娘を見ていると取れる。違うかな?」
八幡「さぁな。」
ルドルフ「ふふふっ、君と居るとやはり退屈しないな。」
ホント、退屈しない学園に来てしまったもんだよ。たった3日でこんなに騒ぎになっちまうんだからな。この学園は面白い噂には事欠けないらしいな。
エアグルーヴ「会長、おはようございます。それからトレーナーもな。」
ルドルフ「あぁ、おはようエアグルーヴ。」
八幡「おはようさん。」
???「へぇ〜この人がグルーヴさんの言ってたトレーナーさんなんだ〜。なんか今まで会ってきたトレーナーさんとは雰囲気違うね。」
エアグルーヴ「お前もそう思うだろう。何せコイツからは他のトレーナーとは違って覇気が感じられん。その上に姿勢も口調も悪い、直す所は多々ある。だが、観察能力とトレーニング知識なら一級品だ。」
八幡「貶すのか褒めるのかどちらかにしろ。俺はトレーナーの比企谷だ、お前は?」
???「私はファインモーションっていいます!アイルランドから留学して来たんです!」
ほう、留学生か………まぁ昨日のエルコンドルパサーやグラスワンダー、タイキシャトルはアメリカからだからな、そういうウマ娘が居ても不思議じゃないか。
ファイン「早速なんですけど、トレーナーさんはラーメンって食べた事ありますか?」
八幡「あぁ、高校の時っつーか今もよく食うが、それがどうした?」
ファイン「でしたら今度、おすすめの場所に連れて行ってください!私、ラーメンが大好きなんです!!トレーナーさんのおすすめのお店で私も食べてみたいです!」
八幡「……この学園のは食ったのか?」
ファイン「はい、全種類に合わせて麺の硬さまで全部コンプリートです!」
八幡「ほう……なら今度行くか。因みに俺は濃厚コッテリが好きだが、お前はどうだ?」
ファイン「そそられますね〜その提案、乗りました!」
まさか身近にラーメン好きが居たとはな、朝から気が落ちるかとも思ったが、どうやらそうでもないらしい。
ルドルフ「2人だけの世界に入ってしまったね………」
エアグルーヴ「まさかこの男もとはな、はぁ、行き過ぎなければいいが………おいファイン、幾ら好物だからといって食べるのは程々に「研究も兼ねて週4回でどうでしょうか?」食べ過ぎだ!!」
というわけで、同志はファインモーションさんでした〜。アイルランド生まれのお馬さんですね。
この馬の特徴は何と言っても無敗の6連勝!!別に珍しくもないとは思いますが、デビューして5戦目の秋華賞で無敗のGⅠ馬になると、その後のエリザベス女王杯も制してしまいました。デビュー6戦目で古馬参加のGⅠに勝利したのは史上最短の記録であり、その期間も僅か1ヶ月しかありません。この記録は未だ破られていません。
だからこそ思います、この時代の馬ってスゲー。