八幡side
8月に入ってからのトレーニングも変わる事無くジャーニー中心で行っている。ジャーニーの次走は本人と相談した結果、神戸新聞杯に決定した。開催されるのは阪神レース場だから、俺達にとっては初めての関西遠征になる。スタミナトレーニングを中心に、直線で最後まで走り切れる為のトレーニングも並行して行っている。一応神戸新聞杯までは1ヵ月と3週間くらいだから、学園に戻ってからも本格的なトレーニングは1~2週間は出来るってところだ。
オルフェ「兄上、1つ聞く。」
八幡「どうした?」
オルフェ「この夏合宿、余の走りはどの程度磨きがかかった?」
八幡「そうだな。最初に比べると最初の砂浜ダッシュもタイムも速くなってるし、しっかりと全身を使って走れてる。山登りでも最後まで走り切れているし、スパートをかけてからは最後まで走り切れてる。遠泳でも力の抜き方を覚えたおかげで距離を泳げるようになった。そう考えると、7月最初に比べて格段に動きは良くなっている。唯一ジャーニーの走りについて行けてるからな。」
オルフェ「であれば、余がデビューするのは近いか?」
八幡「近いかどうかはトレーナーが決まってからになるが、俺がもしお前のトレーナーだと仮定して話すのなら、今のお前は全く問題無いな。けど俺だったらまだデビューはさせないな。」
オルフェ「……何故だ。」
八幡「ジャーニーと被るから。クラシッククラス終盤にもなれば必ずぶつかる、だから時期を見計らってからデビューさせる。」
オルフェ「ほう……姉上との衝突を避けるか。」
八幡「出来るだけジャーニーの得た経験と体験をお前に引き継がせる為って言った方がより的確だな。今の時点でも結構な事を吸収出来ていると思うけどな。」
オルフェ「………」
八幡「まっ、あくまで俺がお前のトレーナーになるならの話だ。お前が誰を選ぶのかなんてお前にしか分からないんだからな。」
オルフェ「何を言う、余のトレーナーは既に決まっている。」ジィ∼…
何で俺の方を見てくるんですかね。姉を担当しているからってお前もって話には基本的にはならないと思うんだが?
ジャーニー「お待たせしました。おや、オルも来ていたんだね。待たせてしまいましたか?」
八幡「いや、世間話をしていたところだからそこまで待っていない。」
オルフェ「姉上。余が兄上の担当になると言ったら、どう思う?」
ジャーニー「おや、それはとても嬉しい事を聞きましたね。それで八幡さん、それはいつのお話なのでしょうか?」
八幡「待て待て、仮定の話だ。俺はまだ担当を1人しか持てない。お前の併走相手としてオルフェと走らせてるが、それもギリギリだ。ハッキリ言えばオルフェを狙っているトレーナーは多い、そんな中で担当ウマ娘の妹っていうだけで俺が独占してるようなものだからな。」
ジャーニー「オルを担当にしたいというトレーナーが増えているのですか?」
八幡「ジャーニー、お前は前走で何をしたのか分かってないのか?単純な2冠達成じゃない、あの【英雄】以来の無敗の2冠だ。ドリームジャーニーの担当になるのは無理でも、その妹ならって考えるトレーナーが殆どだろう。色眼鏡で見なくてもオルフェは良い走りをするからな。そのスカウト対象を俺が独占してるから、スカウトしたい連中からすれば面白くはないだろう。ジャーニーとの併走が無い時なんかはあったんじゃないか?」
オルフェ「……うむ、兄上の言う通りだ。余が選ぶトレーナーはただ1人………」
だから俺を見るな。俺以外のトレーナーも良いトレーナーは居るんだから決めつけは良くないぞ。
ジャーニー「まさかとは思いますが八幡さん……オルを担当にしたくない、とは言いませんよね?」
八幡「そうは言わない。俺だってチャンスがあればスカウトしたいとは思ってる。」
ジャーニー「八幡さん、オルが八幡さんからのスカウトをお断りすると思っていらっしゃるのですか?オルの八幡さんへの評価はとても高いのですよ?そんな人の誘いを蹴るなんて愚かな事……私の賢くて美しく誇らしい妹はしませんよ。寧ろ自分から望んでいるくらいなのですから。」
八幡「それは今さっき聞いた。(視線もそう言ってたし。)」
オルフェ「兄上、余は兄上の担当になるぞ。」
八幡「今度は断定してきたな……っていうか今の、絶対に他のトレーナーの前では言うなよ?また変なやっかみを受けるかもしれないし。」
オルフェ「案ずるな。その時は余自らが相手をする。」
ジャーニー「あぁ、それなら大丈夫だね。」
八幡「それって大丈夫なのか?」
ジャーニー「大丈夫ですよ。だって八幡さん以上に優れたトレーナーは居ない……そうでしょう?」
八幡「いや、それはn「姉上の言う通りである。」………今の、マジで他のトレーナーの前で言うなよ。さっきよりもヤバい事言ってるからな。」
ジャーニーなら大丈夫だろうが、オルフェは言いそうなんだよなぁ~……その発言から来る怒りの矛先が俺に向かない事だけは切に祈っておこう。