八幡side
次のレースまで残り数週間というところまで来たわけなのだが、ジャーニーのトレーニングは順調そのもの。次のレースも掲示板圏内どころか3着内は固いとも思っている。元々ジャーニーの実力自体、同世代の中でもトップクラスだし、どちらかといえば長距離寄りの適性だから皐月賞やダービーよりも楽しみだ。
話は変わるが、オルフェやジャーニーの取り巻く環境も大きく変わっている。ジュニアクラスの時はオルフェの影響で周りに敵を作る事も多かったのだが、その態度もある程度軟化したからなのだろうか、オルフェの周りによりウマ娘達が集まるようになっていた。必然的にジャーニーを敬うようにもなっているし、何故か俺に対しても言葉遣いが凄い事になっている。そんな事をする必要は無いのだが、まぁ一応年上だから普通の言葉遣いで構わないとは言ってる。
なのだが、少しだけ問題が起きている。
ジャーニー「………」ニコニコ
八幡「………」
ジャーニー「どうかしましたか八幡さん、私の顔に何か付いていますか?」
八幡「いや、そういうわけじゃないんだが1つ聞かせてくれ。何で俺に香水かけた?」
ジャーニー「いえ、特に理由はありません。しかしこのところオルの周りに人が増えてきましたからね。オルの凄さを理解していただけてとても嬉しく思っているところなのですが、八幡さんもご存知の通りオルは貴方に対しても尊敬の念を抱いております。八幡さんの事を臣下に話す事も少なくありません。お気付きかどうか分かりませんが、ここ最近のトレーニングの参加者のメンバーにバラつきがあるのを。」
八幡「まぁそれなりには。」
ジャーニー「単刀直入に申し上げますと、八幡さんは私の担当だという意味です。ウマ娘は聴覚のみならず嗅覚も優れていますので。」
八幡「変なところで奇妙な独占欲出さないでくれる?きっと言われなくても分かってると思うし。」
ジャーニー「そうでしょうとも。あくまでも保険ですよ。」
八幡「その保険、もう使わないでくれる?」
ジャーニー「八幡さんに知らないコバエがまとわりつくのは、非常に不愉快ですからね。」
要は断るって意味だな……次はいつかけられるのやら。
ーーー翌日・オルフェの部屋ーーー
オルフェ「………」
八幡「………」
ジャーニー「………」
オルフェ「……姉上、兄上。1つ問う。」
八幡「どうした?」
ジャーニー「おや、どうしたのかな?」
オルフェ「何故、兄上から姉上の香水の香りがする?」
うわぁ……その事かぁ~。
ジャーニー「あぁ、それはね。変な虫がつかないようにする為だよ。このところ私達の周りにはより多くの人が集まるようになったからね、それに伴ってトレーニングに参加する人数も増えたからね。勘違いさせないようにする為の予防策だよ。」
八幡「その予防策、全く意味が無いと思っているのは俺だけか?」
オルフェ「……兄上、余からも1つ贈り物を贈ろう。父上が作成した金細工だ。」
八幡「いや大丈夫だって。俺の予想でしか無いけど、菊花賞の時も来るんだろ?その時にも何か用意して来ると思うんだよ。これ以上俺を金ピカにしなくていいから。」
ホントに来るかどうかは分かんないよ?けどお父さん言ってたんだよ。『………次は菊花賞で会おう。』って。だからその日は1日予定空けてると思うんだよな。だから9割来るで1割来ないだと思うんだよな。後お母さんも。
オルフェ「……兄上は目立つところに金を侍らせるは似合わぬ、故に指輪が良かろう。」
八幡「くれるのはありがたいんだが、1人で話を進めないで?」
ジャーニー「八幡さん、オルからの贈り物なのです。ここは受け取ってはもらえませんか?」
八幡「逃げ場塞がないでくれる?さっきも言ったが、俺を金ピカにしなくていいから。」
ジャーニー「ふむ……じゃあオル、こうしないかい?八幡さんはあまり派手な物は好まないみたいだから、さり気ない物だったら受け取ってもらえると思うよ。例えばオルが選んだスーツに合うベストを選ぶのはどうかな?これからの時期は寒くなってくるからね、ベストは必要になってくると思うからね。色は黒で差し色に金色なら八幡さんもきっと着てくれると思うよ。」
八幡「……まぁそれなら。」
オルフェ「分かった、ではそのように致す。兄上、数日猶予が欲しい。」
八幡「いや、俺は別に待たないから。(だってそっちが勝手にくれるんだから。)」
ジャーニー「良かったね、オル。」
八幡「それからジャーニー、お前は俺に香水かけるのをやめろ。」
ジャーニー「……八幡さんのお使いになっている香水等はございますか?それを私にもご紹介してくださるのでしたら受け入れましょう。」
ねぇよそんなもん。
八幡「諦めるしか無いじゃん……」
ジャーニー「ふふふ……」
オルフェ「……兄上、今日の茶も美味である。」
ジャーニー「このお茶菓子もとても美味しいですよ。
八幡「それはどうもありがとう、口に合って良かった。ジャーニーは要望とかがあったら遠慮無く言えよ、可能な限りそれに近付けるから。」
ジャーニー「ありがとうございます。」