比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

1609 / 1609
クラシック最後の旅路

 

 

八幡side

 

 

実況『京都レース場11R……いよいよこの時間がやって参りました。クラシック3冠最後の関門、淀の舞台で開かれるは、駆ける先が見えない未知の世界。【最も強いウマ娘】が勝つと言われる菊の舞台が整いました。この3,000mの長距離を先頭で走り切るのはどのウマ娘なのでしょうかっ!?』

 

解説『何より今年は無敗の2冠ウマ娘が満を持しての参戦ですからね、ここは何としても勝ってほしいところではありますね。』

 

実況『さぁ、それではパドックから見ていきましょう。』

 

 

凜「八幡、ドリームジャーニーさんは何番目なの?」

 

八幡「16番目だからまだまだ出てこない、最後の方だからな。」

 

小町「聞いた事あるんだけどさ、外枠って不利なんじゃないの?」

 

八幡「一般的にはそう言われてるな、けど俺はそうは思わない。内からのポジション取りと外からのポジション取りは全く違うからな。ただジャーニーは外枠の経験がデビュー戦とこの前の神戸新聞杯の2回しか無いから、弱点を突くならそこだろうな。いかにしてジャーニーに良い場所を取らせないようにするかだな。」

 

小町「うわぁ~……なんか嫌な言い方するねお兄ちゃん。」

 

八幡「バカ言うな、これだって立派な戦術だ。周りにはジャーニーの3冠を阻止する為に動く奴ばかりなんだからな。今のも言い方は悪いが、やってる事はまさにそれだからな。」

 

尚人「じゃあ、ドリームジャーニーさんにはどんな作戦を伝えるんだ?」

 

八幡「それはまだ教えられないな。教えるとすればウマ娘達が本バ場入場してレースが始まってからだ。じゃないと、此処に居る誰かが他のトレーナーやウマ娘に告げ口するか分かったものじゃない。あくまで可能性の話だが、それも否定出来ないからな。」

 

小町「小町達がそんな事するわけ無いじゃん!トレーナーがどの人なのかも分からないんだから!」

 

八幡「そうだとしてもだ。」

 

 

実況『8枠16番、本日の1番人気のドリームジャーニーです。』

 

解説『前走神戸新聞杯から1ヶ月ですが、この日に向けて仕上げてきたのが分かりますね。調子は上向きみたいです。追込が得意なウマ娘ですが、子の菊花賞でどのような走りをしてくれるのかも注目ポイントですね。』

 

 

ジャーニーが出てきたな、じゃあ俺も行くか。

 

 

八幡「俺も最後の作戦伝えに行く。すみませんが少しの間、失礼します。」

 

オルフェ「兄上、余も行く。」

 

八幡「分かった。」

 

アート「トレーナーさん、娘をお願いしますね。」

 

 

ーーー控え室ーーー

 

 

ジャーニー「オルも来てくれたのかい?とても嬉しいよ。」

 

オルフェ「うむ。」

 

八幡「それじゃあジャーニー、最後の作戦を伝える。戦法はこれまでと同じで追込なのは変わりない。ただ1つ違うのは……最後方から仕掛けろ。」

 

ジャーニー「最後方から、ですか?」

 

八幡「これまでのトレーニングでスタミナと追込の脚質に磨きをかけたのは理解していると思う。そしてきっと今日はスローでは流れないと踏んでるってのもある。仕掛けるタイミングは3コーナーを曲がってからだ。それまでは後ろで前を見ながら脚を溜めろ。」

 

ジャーニー「承知しました。という事は、仕掛けてからは私の自由に走ってもいい……そういう解釈でよろしいでしょうか?」

 

八幡「あぁ、それで構わない。大外一気に飲み込むもよし、じわじわと追込むもよし、好きな走りをしてくれ。けど、こうやって言ってる意味は分かるよな?」

 

ジャーニー「1着以外は許さない、でしょう?」

 

八幡「その通りだ。じゃあ行ってこい。」

 

ジャーニー「えぇ、極上の夢を魅せて差し上げましょう……」

 

オルフェ「……姉上。」

 

ジャーニー「うん、どうしたんだい?」

 

オルフェ「………余は見ているぞ。姉上が、この時代の【王】となる瞬間を。」

 

ジャーニー「っ!……ありがとうねオル、流石は私の妹だ。おかげで……全力を出せる。

 

 

……見抜いていたのか、流石は姉妹だな。

 

 

ジャーニー「では、行って参ります。」

 

 

ガチャ……バタンッ

 

 

八幡「……ありがとうなオルフェ。おかげで助かった。」

 

オルフェ「姉上とはいえ、余の目を汚す走りは許さぬ……それに、今日は父上と母上も来ているのだ、相応の走りもまかり通らぬ。求めるのは……【王】の走りただ1つ。」

 

八幡「王座を譲ったわけじゃないんだろ?」

 

オルフェ「余の幕はまだ上がっておらぬ……それまでは姉上に政権を委ねるだけよ。」

 

八幡「立派な王様だな。まぁそれまでお前は存分に力を蓄えておけ、今はその時だ。そして時が来たら見せてやればいい、姉も偉大だが、私はもっと偉大だってな。」

 

オルフェ「然り。」

 

八幡「んじゃ、俺達も戻るか。」

 

オルフェ「……兄上、余の(こうべ)を労わる権利を授ける。疾くせよ。」

 

 

あれ?ジャーニーから聞いた事あるんだけど、姉妹揃って耳とか尻尾って触ったらダメなんじゃなかったか?それって頭もだよな?

 

 

八幡「前にジャーニーから聞いた事あるんだが、そういうのって触ったらダメなんじゃなかったか?」

 

オルフェ「是。だが兄上は別だ……兄上は既に他の有象無象とは違う。」

 

八幡「……認められたって解釈しておくからな。」

 

 

その後、俺はオルフェの頭を髪型を乱さないように慎重に撫でてから観覧席に戻ったのだが、表情には出さないものの上機嫌な様子で俺の隣を歩いていた。

 

 

 

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