ジャーニーside
ジャーニー「ただいまお母さん、お父さん。」
アート「お帰りなさい、ジャーニーにオル。それからトレーナーさんも。」
八幡「どうも、ご無沙汰しております。」
アート「たった1週間ですし、私達の仲なのですからそのような言葉遣いは不要です。さぁ、中に入ってくださいな。主人も貴方が来るのを心待ちにしていたのですから。」
八幡さんが私達の実家を初めて訪れてから1週間後の日曜日。本日もこの前と同じようにスーツや金細工の試着をさせていただく事になっております。
アート「ではまずは私のお部屋に来てください。スーツも出来上がっていますので、早速試着と行きましょう。」
オルフェ「母上、余は父上の所へ行く。」
アート「分かったわ。ジャーニーは私とね。」
ジャーニー「では、参りましょうか。」
ーーー作業部屋ーーー
アート「………全然違うわね。」
ジャーニー「本当に。この前とは何もかもが違う……八幡さん、とても良く似合っておりますよ。」
八幡「……なぁ、このデザイン少しおかしくないか?」
ジャーニー「おや、どこがでしょうか?母と私の合作ですよ?」
八幡「いや、だってこの部分……インナーと同じ色じゃん。」
アート「そういうデザインにしましたので。それに派手さは無くなりましたが、大人っぽさは出ましたよ。この後は父とオルの所に行って装飾品合わせですね。」
八幡「どんなのが待っているのやら……」
ーーー工房ーーー
ジャーニー「楽しみだね、オル。」
オルフェ「うむ。」
父上「……スーツはどうだった?」
アート「前のと全然雰囲気が違ったわ。あんなに良くなるなんて思わなかったくらい。」
オルフェ「ほう……披露が楽しみだ。」
八幡『お待たせしました。』
オルフェ「入るがよい。」
オルの一声で八幡さんが工房に入ってきました。私達が用意したスーツを身に付け、父が拵えた新しいループタイと眼鏡を着用しておりました。
オルフェ「うむ、良い格好だ。品性の中に威厳も備わっておる……母上、良い出来である。」
アート「ありがとうオル。それにしても流石はあなたね、とても良い金細工ね。スーツにも合ってるわ。」
父上「お前のセンスが良いからだ。」
ジャーニー「では、八幡さんの同窓会の装いはこれで決定に致しましょう。八幡さん、スーツと他アクセサリーはこちらでお預かりします。同窓会当日になりましたら、もう1度だけこの家に来てください。それまでは父と母が厳重に保管しておきますので。」
八幡「いや、そこまでしなくても大丈夫なんだが……まぁ、お願いします。」
ーーー数十分後ーーー
アート「納得の行くスーツが仕上がって良かったわ、感謝しておかないとね、あの子にも。」
八幡「思ったんですけど、他のスーツとかってどうなるんですか?」
アート「知り合いのお店の店頭に置く事になっています。サイズはトレーナーさんに合わせて作った物だけど、あそこは仕立てる事も出来るから大丈夫です。」
八幡「成る程……因みにお父さんの作成した金細工は?」
父上「……作り直しだ。無駄には出来ない。」
八幡「そうですか……」
ジャーニー「あぁ、八幡さん。お代の事でしたら気になさらなくて大丈夫ですよ。こちらから言い出した事なのですから。それに父も母も久しぶりに良い仕事が出来たと満足していますから。」
父上「ジャーニーの言う通りだ、金は受け取らん。」
アート「全く、あなたは本当に言葉が足りないんだから。」
八幡「それでは、お言葉に甘えさせていただきます。」
オルフェ「兄上、他のスーツをいくつか持って行くがよい。母上のデザインした作だ、無駄にする事はまかり通らぬ……」
八幡「……じゃあ2着選ばせてくれ。普段着ていくのに問題無いのを選びたいから。」
八幡(それに正直、あの中で学園に着て行けそうなのは数着くらいしか無いし。)
ーーー栗東寮ーーー
ジャーニー「八幡さん、本日はお時間をいただきありがとうございました。」
八幡「いや、1週間前あれだけさせてもらったからな。それを全部無しになんて出来ねぇよ。っていうかお前達は大丈夫なのかよ?せっかくの休みをこんな風に使って。」
ジャーニー「構いませんよ。私もオルも好きでやっている事ですから。」
オルフェ「……兄上、明日は持ち帰ったそのどちらかのスーツを着用せよ。【王】のトレーナーであるならば、それらしく威厳を示せ。」
八幡「要はお披露目しろって事だろ?する必要は特に感じないが、まぁこうしていただいた以上は俺も着慣れないといつまでも着れないままだしな……分かった、明日着てくる。」
オルフェ「うむ。」
ジャーニー「では明日、楽しみにしておりますよ。では、失礼致します。」
ーーー寮部屋ーーー
ジャーニー「明日が楽しみだね、オル。」
オルフェ「あぁ……しかしだ姉上、余はまだ満足しておらぬ。」
ジャーニー「おや、あれだけ着こなしていたのにまだ何か足りないのかい?」
オルフェ「……兄上の衣装に文句は無い。余が不満なのは……道だ。」
ジャーニー「道………あぁ、成る程。分かったよオル、その日は私に任せてくれないかい?」
オルフェ「任せる……」