比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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秋の盾

 

 

ーーーーーー

 

 

『クラシッククラスのウマ娘達の死闘が終わって、次は私達の出番だ!歴史と伝統のある盾の栄誉を手にするのは一体どのウマ娘か!?未だ無敗の女帝か!?昨年の覇者か!?新鋭が牙を剥くか、古参が力を見せつけるか!?GⅠ、天皇賞・秋……開幕っ!!!』

 

 

実況『クラシックレースでの余韻が残る中、この秋中距離の最強を決めるこのレースは今回も錚々たるメンバーが揃っています。中でも注目を集めているのは、昨年のトリプルティアラ完全制覇者にして、今日まで無敗のエアグルーヴ。』

 

解説『彼女の直線を向いてからの爆発的なまでの末脚は見事なもので、その脚に届く者は未だ現れていません。今回もその末脚が炸裂するか?というところでしょうね。』

 

実況『しかしそれに待ったをかけるのが、前年の覇者であり今回2番人気のバブルガムフェローです!昨年の天皇賞・秋からGIこそ獲れてはいませんが、夏から今にかけては重賞を3連勝しての参戦です。対抗するならばこのウマ娘でしょうね。他にも実力・実績のあるウマ娘がこの天皇賞・秋に参戦しています。今回も楽しみになりますね。』

 

 

ーーー観客席ーーー

 

 

八幡「それにしても、驚きましたよ。まさか貴女がこちらにいらしていたなんて思いもしませんでしたから。」

 

ダイナ「実は観に行こうって決めてたのよ。そしたらトレーナーさんに会っちゃってまたこの席で見られるんだものね。因果なものね〜。」

 

八幡「そうですね。」

 

ダイナ「ところでトレーナーさんのお師匠さんは?今日は居ないの?」

 

八幡「いえ、来ますよ。ただ少し遅れるそうで。先生は一応教師もやってますから。籍だけおいてるようなものですけど。」

 

ダイナ「それってどういう事?」

 

八幡「先生はその大学に確かに存在してるんですけど、教える教えないは自分の裁量で決めてるんです。それでメガネにかなった人材だけを育てる、そういう方針なんです。まぁそうしてトレーナーになったのは俺だけなんですけどね。」

 

ダイナ「あら〜……他の子は根性が無いのね。」

 

 

八幡(それはそれで辛辣な表現だが、まぁ間違ってはいない………よな?)

 

 

ダイナ「それにしても他の人は居ないのね?」

 

八幡「担当はもう1人居るんですけど、今日は友人と観戦するそうで。なので此処には俺とダイナカールさん、後に先生だけです。」

 

ダイナ「そう………エアグルーヴ、理由は分からないけれど何だか顔が曇ってるわね。」

 

八幡「分かるんですね。」

 

ダイナ「娘だもの、当然よ。トレーナーさんは何か知っているのかしら?」

 

八幡「一言で言うのであれば、よくある対人関係の衝突のようなものです。」

 

ダイナ「……よく分かったわ。でも仕方ないわよね、あの子はちょっと気難しい性格だもの。貴方が苦労をするのもよく分かるわ。」

 

八幡「いえ、俺の力不足のせいもありますので。」

 

 

八幡とダイナカールは観客席からエアグルーヴの様子を伺いながら会話を弾ませていた。今はまだパドックでの出走ウマ娘を紹介している。レースはまだ先なのである。だが八幡はエアグルーヴに作戦を伝える為に1度観客席を後にして控室に向かっていた。

 

 

八幡「………」スタスタ

 

後輩「あっ、先輩。」

 

八幡「よう、調子はどうだ?」

 

後輩「良い調子に仕上げてますよ、ウチのバブルは。勝ちますよ、今回も。」

 

八幡「ほう、かなりの自信だな。まぁ後は作戦伝えてウマ娘に全てを託すだけだから、俺達に出来る事なんて少ないけどな。」

 

後輩「そうですね。」

 

 

ーーー控室前ーーー

 

 

八幡「エアグルーヴ、入ってもいいか?」

 

エアグルーヴ『トレーナーか?無論だ。』

 

八幡「ああ、失礼する。」

 

 

八幡が中に入ると、既に勝負服に着替えて準備万端のエアグルーヴがそこに居た。しかしダイナカールの言うように、エアグルーヴの表情には自信や堂々とした物こそあるものの、影が見えていた。

 

 

エアグルーヴ「トレーナー、今日はどのような作戦で行く?やはりいつもと同じように先行策か?」

 

八幡「あぁ、それは間違い無い。1番の敵であるバブルが前に行くと思うから、それをマークする形で流れに乗れ。そして逃げるのは間違い無くサイレンススズカだ、ペースに飲まれないように気を付けろよ?」

 

エアグルーヴ「あぁ、分かった………トレーナー、1ついいか?」

 

八幡「何だ?」

 

エアグルーヴ「今日は……その、すぐに帰るのか?此処は東京だ、学園も近い。」

 

八幡「そうしたいところだが、担当ウマ娘をほったらかしにするような真似はしねぇよ。てか今までだって1人で帰った事は無かっただろ、何でそんな事聞くんだ?」

 

エアグルーヴ「いや……何となくだ。」

 

八幡「……そうか。まぁ俺も曲がりなりにもトレーナーだ、担当を置いてくような事はしない。終わるまでは一緒に残るつもりだ。」

 

エアグルーヴ「そ、そうか………」

 

八幡「………」

 

エアグルーヴ「………」

 

八幡「……そろそろ時間なんじゃねぇのか?」

 

エアグルーヴ「………あぁ、そうだな。では、な。」

 

八幡「あぁ……それとエアグルーヴ。」

 

エアグルーヴ「?」

 

八幡「勝ってこいよ。」

 

エアグルーヴ「っ!………あぁ、分かっている。」

 

 

天皇賞・秋……間も無く開幕!!

 

 

 

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