八幡side
年始のトレーナー室。俺は去年同様に炬燵に入って暖を取りながらのんびり過ごしている。俺にだって偶にはゆっくりしたい時だってあるし、何なら常にしたいとは思っているところだが、それを許さないのがトレーナーという職業……だからこういう時くらいは許してほしい。加えてこれからジャーニーはシニアクラスでの戦いが始まるから、今の内にゆっくりさせたいしゆっくりしておきたいというのが本音だ。
八幡「ふぅ~……」
ジャーニー「……うん、やはりこのシャーベットは美味しい。」
オルフェ「………」シャリシャリ
八幡「しかし、今年は静かで良い。去年はゴルシやナカヤマ達が居てうるさかったからな。」
ジャーニー「最後の1席を争っていましたね。そして、1番負けていたゴルシさんが皆さんにおつかいを頼まれていましたね。」
八幡「そうそう、今年は出来ればこのまま静かに終わりたいものだが……どうだろうな~。」
ジャーニー「皆さん、とても癖のある方々ですからね。もしかしたらその内、此処に来るかもしれませんよ。」
オルフェ「その時は去年同様、また遊戯をしてもらうまでよ。」
まっ、だよなぁ~。だって俺達が此処を退く理由なんて無いし。
ガラガラッ
ナカヤマ「入るぜトレーナー。おっ、どうやらあたしが1番乗りみたいだな。じゃあ入らせてもらうぜ。」
八幡「ノックくらいしろと言っても今更か……その口ぶりからして、他の連中も来るのか?」
ナカヤマ「まぁな。その内此処に来ると思うぜ。」
八幡「勝手に人のトレーナー室をゴール扱いにするんじゃねぇよ。」
ナカヤマ「それよりもジャーニーにオルフェ、お前等美味そうなもん食ってるじゃねぇか。何だよそれ。」
ーーー数分後ーーー
ゴルシ「あああぁぁぁ~……やっと着いたぜ~!マメちんちょっとしつこ過ぎねぇ?」
メノ「ゴルシさんが毎回毎回風紀を乱すような事をするからでありますっ!追いかけられたくないのであれば、今後はこのような行動は慎んでくださいっ!」
ゴルシ「それだとあたしがあたしじゃなくなるからお断りするぜぃ!」
ナカヤマ「ほら、来ただろ。」
八幡「お前等なぁ……っていうかステゴは?」
ゴルシ「アイツなら今頃どっかに旅行でも行ってんじゃね?あたしが起きた時にはもう居なかったからよ。」
八幡「正月早々忙しいなお前達は。」
ゴルシ「っていうかオメェ等何食ってんだよ?正月からウニってどんだけ贅沢してんだよ。」
ジャーニー「違いますよゴルシさん。こちらは八幡さんが作ってくださったみかんのシャーベットです。暖を取りながら冷たい物を食す……中々良いものですよ。」
ゴルシ「マジで贅沢な食い方してんじゃねぇか。おうハチ、あたしにも食わせろよ。」
メノ「ゴルシさん!トレーナーは目上の男性ですよ!!」
八幡「大丈夫だメノ、ソイツのソレは今に始まった事じゃないし誰にだってこんな態度だしな。それにコレを許さないんだったら、此処に居る殆どの奴に俺は指摘してる。だから気にするな。」
メノ「……トレーナーがそう言うのであれば。」
ゴルシ「分かってるじゃねぇかハc「けどもし度が過ぎるような事をした時は……分かってるよな?」お、おう……勿論だぜ。」
ナカヤマ「?おいどうしたんだよ、やけに素直じゃねぇか?」
ゴルシ「んなこたぁねぇよ!!」
ジャーニー「ゴルシさん、どうやらあのツボ押しはかなり効いているみたいですね。」
八幡「みたいだな。今度またやってみるか、アイツがまた変な事やらかした時にでも。」
オルフェ「その時は余も呼ぶがよい、見世物としてはちょうど良かろう。」
ゴルシ「聞こえてんぞコラァ!!」
騒がしくなったこのトレーナー室、俺の最初の幻想は早くも打ち砕かれたが、どういうわけか居心地は別に悪くは無い。俺も毒されているのだろうか?
八幡「……ん?」
ナカヤマ「どうしたトレーナー?良い遊びでも思いついたのか?」
八幡「いや、アレ………」
オルフェ「………あの者か、入るがよい。」
俺は人形のような何かがと帽子を深く被ったウマ娘がこっちを覗いているのが見えた。そしてオルフェのこの言い方からして、オルフェの知り合いなのだろう。そしてオルフェの言う通り、このトレーナー室に入ってきた。
???『こんにちはオルフェさん!あっ、その前に明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!』
オルフェ「うむ……して、マルシュよ。余の元に来たという事は、完成した……という解釈でよいな?」
マルシュ『はいっ!自分でも納得の行くイラストが出来ました!どうぞっ!!』
………アレはあの子が人形を介して喋ってるって事でいいんだよな?なんか人形が自分でイラストを描いたと言っているようにしか思えないんだが。
オルフェ「……中々良い出来だ。このまま貰う。」
マルシュ『やったああぁぁぁ!ありがとうございますっ!!オルフェさんをモデルにして良かったです!!』
オルフェ「大義であった。」
八幡「知り合いなのか?」
オルフェ「うむ、余をモデルにイラストを描きたいと言ってきた者だ。中々に良い絵を描く。」
八幡「おぉ、ホントだ。めっちゃ上手いな……俺には無理だ。」
オルフェ「おい、次の依頼を出す……次は余と姉上をモデルにして描け。」
マルシュ『えぇ!?オルフェさんとドリームジャーニーさんを、ですか?でも大丈夫なんですか?まだ本人確認もまだ「大丈夫ですよマルシュさん、是非お願いします。」っ!分かりました!早速描きますので、失礼します!』
……面白い奴だったな。まさかあんな風に会話をするウマ娘が居るなんて思わなかった。