オルフェside
「ドリームジャーニー様、こちらファンの方々からの贈り物です。先程トレーナー様がお越しになられていたのですが不在でしたので、私にお預けになられました。お受け取りください。」
ジャーニー「わざわざありがとうございます。どんな物が贈られてきたんだろうか……」
オルフェ「……姉上、それらの品は全て兄上を通して贈られてくるのだろう。」
ジャーニー「そうだね。正確にはたづなさんから八幡さんを経由してだけどね。それがどうかしたのかい?」
オルフェ「……いいや、何でもない。」
ジャーニー「?」
姉上が3冠を獲ってからというもの、姉上への贈り物が後を絶たぬ……姉上への賛辞の文は余も心地良いが、それだけに気になる事もある。
オルフェ「……姉上、余は所用がある。1人で参る、連れは要らぬ。」
ジャーニー「分かったよオル。行っておいで。」
ーーートレーナー室ーーー
ガラガラッ
八幡「ん?オルフェか、どうしたんだ?また炬燵に入りに来たのか?」
オルフェ「いいや、今日は別件だ。兄上、姉上からの贈り物……見届けたぞ。」
八幡「そうか、お前の臣下に頼んでよか「1つ聞く……アレで全部ではあるまい。」……まぁ、お前なら分かるよな。」
オルフェ「その文、余にも見せよ。」
八幡「一応勘違いしてほしくないから先に伝えておくが、ジャーニーの誹謗中傷は無い。俺に対するものだけだ。」
オルフェ「何?兄上の?」
八幡「あぁ。しかも文字を見るからに同じ奴が何回も送ってきてるような感じだな……まぁ『またコイツだな。』みたいな感じでもう受け流してるけどな。」
オルフェ「ほう……」
八幡「……見るのか?」
オルフェ「疾く用意せよ。」
八幡「はいはい。」
兄上は引き出しの中から束にしている封筒を差し出してきた。見た感じ1~20枚程度の量だ。
八幡「まぁ気分とか悪くなったら途中で止めたりしていいからな。」
オルフェ「うむ……」
それから私は封筒の中身を見たが、内容は予想していた通りのものだった。だからこそ、兄上がこうして平然としているのも頷けた……だが、不快には変わりない。
オルフェ「……この文、送り主の目星は付いておるのか?」
八幡「そんな面倒な事しねぇよ。そんな事に時間割くくらいなら俺はメニュー作る。ジャーニー宛になら黙ってないかもしれないが、その相手が俺なら別にって感じだからな。」
オルフェ「兄上、その寛容な心は美徳ではある。が、使い方を間違えている……立ちはだかる者にそれは必要無い。兄上であればその程度の事、些事であろう。」
八幡「まぁ、やろうと思えばな。けどそうする事で俺だけならまだしも、担当のジャーニーに迷惑をかけるのは俺の本意じゃない。だから仕掛けたりはしない、それだけだ。」
オルフェ「自身に降りかかる火の粉よりも、姉上の身体を取るか……分かった、今はその言葉を信じよう。」
八幡「何だかお前にまで背負わせるようになっちまって悪いな。」
オルフェ「余が勝手に背負っただけの事。忘れておるだろうが、其方は余の兄ぞ。であれば身の内に隠しておく事等、まかり通らぬ。」
八幡「(勝手にそっちが呼んでるんだけどなぁ~……)分かった、何かあったら話す事にする。」
オルフェ「うむ……なれば、褒美を要求する。」
八幡「褒美?一体何が欲しいんだよ?」
オルフェ「余の頭を労わるだけで構わぬ。」
八幡「はいはい、じゃあ……炬燵でやるか。」
兄上の言った通り、私と兄上は炬燵に入ったのだが……
オルフェ「……遠い、近う寄れ。」
八幡「え……それだと完全に隣り合わせになるんだが?」
オルフェ「それで構わぬと言っておる、疾く参れ。」
八幡「……はい。」
兄上が私の隣に来て、すぐに頭に触れた……前と同じで羽を触るような手付きだ。これが心地良い……
オルフェ「………兄上、1つ余の秘密を授けておく。」
八幡「ん?」ナデナデ
オルフェ「余の頭を触るのを許したのは、余の親族以外他に居ない。」
八幡「親族以外の俺にそんな貴重な頭を撫でさせていいのか?価値が落ちたりしないのか?」ナデナデ
オルフェ「兄上は既に余が認めた者……故に、問題無い。」
八幡「そうか……まぁお前がそう言うのなら別にいいか。」ナデナデ
それに、いつ以来だろうか。このように身を落ち着かせる事が出来たのは……
ガラガラッ!
ジャーニー「八幡さん、突然失礼致します。此処にオルは来てい…ま………っ!?」
八幡「……アイツの驚いた顔を見るの、凄い久しぶりな気がするんだが。」ナデナデ
オルフェ「で、あろうな。姉上はそのような痴態を晒すような者では無い。」
八幡「じゃあ俺には?」ナデナデ
オルフェ「気を許しているのだ。無論、余も同じだ。」
八幡「んで絶句したまま動かなくなってるんだが、アレは起こしに行った方がいいのか?」
オルフェ「今は余の頭を労わるのだ。」
八幡(今は実の姉よりも頭撫でてもらいたいって欲が勝ってるんだな。)
オルフェ「……兄上は器用よのう、これからもまた頼むぞ。」
八幡「その度にジャーニーが放心する未来が見えるんだが?もしかしてそれを放置して続けるのか?」
当然である。姉上ならば快く許してくれるであろう……もしくは兄上に取引を要求するであろうな、自身の頭を撫でろという取引を、な。