八幡side
八幡「ジャーニー、今後は宝塚記念に出走する事は決めてるが、その後は夏合宿に行かず休養を挟めようと思っているんだが、お前の意見を聞かせてくれ。」
ジャーニー「休養、ですか……それはやはり、この春のレース間隔が厳しいからでしょうか?」
八幡「まぁそんなところだ。俺としても宝塚記念の結果はどうであれ、休ませるつもりではある。じゃないとお前の脚がそろそろ限界を迎えそうだしな。」
ジャーニー「宝塚記念がそのギリギリであると……えぇ、勿論構いませんよ。私も少しお休みが欲しかったところなんです。」
八幡「じゃあ決まりだな。今年は夏合宿に参加せず、好きに過ごしてくれ。期間は1ヵ月、8月からトレーニングを再開させるからな。」
ジャーニー「その間、八幡さんは何をされるのですか?まさか学園に残って激務をされる、なんて事は言いませんよね?」
八幡「その予定は無い。少し、行きたい所もあるからな。」
ジャーニー「おや、旅先のプランでしたら私に任せてください、最適なプランをご用意致しますよ。それに八幡さんなら特別価格でご提供させていただきますよ。」
八幡「いいのか?それなら用意してもらいたいな。行き先はアメリカのケンタッキー州のルイビル空港行きの便で頼む。あぁ、宿は要らない。行きの便だけで構わないから探してくれないか?」
ジャーニー「………おかしいな、聞き間違いでしょうか?八幡さん、もう1度言っていただけませんか?どちらまで?」
八幡「アメリカのケンタッキー州ルイビル、宿なし、行きの便だけ。」
ジャーニー「………聞き間違いじゃなかったのですね。」
八幡「何で聞き間違いだと思ったんだよ。」
ジャーニー「どうしてそのような場所に?その頃にはケンタッキーダービーは既に終了していますよ?」
八幡「レース目当てで行くわけじゃない、ちょっと知人に会いに行くんだよ。数年会ってないから久しぶりにな。」
ジャーニー「その方は日本人なのですか?」
八幡「いいや、アメリカ出身だ。でも日本に来た事あるし、何だったら日本語での会話だって全然出来るレベルだ。」
ジャーニー「八幡さんにそのようなお知り合いが居るとは知りませんでした……しかしどうしてアメリカにお知り合いが?」
八幡「この学園に赴任する前に世話になった人でな、アメリカから日本に来た時に色々とな。」
別にプロフェッサーの事を言うなとは言われてないが、言う必要も特に無いし伏せておくか。
ジャーニー「……分かりました。ケンタッキー州ルイビル行きの便を格安価格でご案内させていただきます。」
八幡「あぁ、よろしく頼む。」
ジャーニー「出立日はいつになりますか?」
八幡「7/1の水曜日、その日に行きたいと思っている。」
ジャーニー「………いくつか便がありますよ。その中でも安いのは16:25の便ですね。」
八幡「じゃあその便で頼む、往復便にはしなくていいからな。」
ジャーニー「かしこまりました。より良い旅になるよう、私も最大限の手を尽くしますので。」
八幡「そうしてくれるのはありがたいが、お前は宝塚記念を忘れるなよ。」
よし、アメリカ行きはこれで大丈夫だな。この事は先生にもプロフェッサーにも伝えてない……まぁ所謂ドッキリってヤツだ。先生はケンタッキーレース場の近くにあるトレセン学園を拠点にしてるから、行けば会えると思う。もし会えなくても事務局に言えば場所くらいは教えてもらえるだろう。
ジャーニー「質問があるのですが、八幡さんには担当増員の件は理事長から伺ってはいないのですか?」
八幡「何で急にそんな事聞くんだ?お前からすれば全く興味の無い話だろ。」
ジャーニー「確かにその通りなのですが、通りがかったトレーナーの方々が言っておりましたよ。『比企谷なら担当数人すっ飛ばしてチームを持っても、俺は文句は無い。』っと。一緒に歩いていたもう1人のトレーナーも同調していましたよ。」
八幡「そうか……けど理事長からそんな事は聞かないな、そんな書類も受け取ってない。多分来年からじゃないか?最初から担当持ったのは俺と桐生院だけで3年目だ、チーム設立は無くとも増員くらいはあると思う。まぁ俺は興味無いけどな。」
ジャーニー「しかし八幡さんはオルの担当も見る事になるのですから、担当が増えるのは早い方が良いと思いますよ。」
八幡「オルフェだけでなくお前も隠そうとしなくなったな。何でそんなに俺に拘るんだ?他にも良いトレーナーは居るだろ。それこそ俺よりも経験豊富なベテランだって居るのに。」
ジャーニー「その方々よりも八幡さんの方が魅力に感じているからですよ。それは勿論、私も同じです。今更貴方以外のトレーナーの担当になるなんて考えられません、それこそ虫唾が走る程に。」
遠慮の無い物言いだが、裏を返せばそれだけ俺の事を買ってくれているという表れでもある。まぁこれでもある程度は包んだ言い方をしてくれている、オルフェなんてバッサリどころか一刀両断する勢いでぶった斬るくらいだからな。