八幡side
6月に入って、宝塚記念までは残り1ヵ月を切った。ジャーニーの調子は上昇傾向にある。これもオルフェや家臣達の献身的な併走のおかげだ。まぁオルフェはそうは思ってないだろうが、姉がこれからGⅠを走るんだから同じようなもんだ。そして先月はブエナがオークスを勝ってダブルティアラを達成した。この夏は夏合宿に参加すると言っていたが、秋のトライアルではなく札幌記念から始める方針で行くと聞いた。一足早くシニアクラスのウマ娘と戦わせて経験を積ませるとの事だ。
まぁ今年は夏合宿に参加しないから、アイツの腕の見せどころだな。去年からこの前のオークスに至るまで色々と教えてきたが、次の札幌記念では後輩の腕が試される……期待しておこう。
八幡「その後の事はその後に考えるか。」
シービー「そうそうっ!今の事を最優先にした方が良いと思うなっ♪」
ライス「で、でもお兄様お仕事中……だよね?」
八幡「ライスの要件は現時点で最優先事項だな。シービー、終わるまで廊下で待っててくれ。もしかしたら他人に聞かれたらマズい話かもしれないから。っていうか出て行け。」
シービー「八幡、ホントにあたしへの扱いが雑だと思うんだよね。もう少しだけ改善してくれない?」
八幡「……うん、ライスはどうして此処に来たんだ?」
ライス「えっと……特に何か用があるわけじゃないの。お兄様は何してるのかなって気になったから覗いてみたら、シービーさんに入っていいよって言われたから……」
八幡「成る程、じゃあライスはそのままゆっくりしていなさい。よし、次はお前だ問題児。何の用だ?」
シービー「あたしの扱い「問題児で充分。じゃなければノラ娘だ。」ノラ娘って何っ!?」
八幡「そんな事はいいから用件を言え、何か用があって来たんだろ?」
シービー「八幡、分かってると思うけど最近全くあたしとお話してないじゃん?」
八幡「記憶に無いって事はそうなんだろうな。」
シービー「だから今日はそれを解消しに来たってわけ!」
八幡「……お帰りはあちらです。」
シービー「あっそういう事言うんだっ!じゃああたし構ってあげない!」
八幡「よし、やっと解放される。さぁライス、紅茶とお茶菓子用意するから座っててくれ。それとも冷たい麦茶の方がいいか?冷たいココアも作れるから飲みたい飲み物言ってくれていいぞ。」
ライス「……ふぇ?」
シービー「ちょっと!!おかしいじゃん!!何でそうなるのさっ!!?」
八幡「え、まだ居たの?」
シービー「八幡、さっきのあたしが本当に悪かったから戻ってくれない?」
八幡「分かった。んでお前の本当の要件はさっき言ってたお話する事が目的か?」
シービー「それだけじゃないんだけど、まぁ色々と構ってほしいなぁ~って事。お話してないし、八幡と居る時間も全く無いんだよ?構って~ってなるのは当然だと思わない?」
八幡「それはお前の問題だろ、俺には分からん。」
ライス「でも、ライスもお兄様とお話出来なかったら、ちょこっとだけ一緒に居たいなぁ~ってなっちゃうかな……」
八幡「よし、今日は皆で話し合おうか。何飲む?」
シービー「八幡、ライスに甘過ぎるでしょ……」
八幡「じゃあお前だけ回れ右するか?」
シービー「………冷たい麦茶が良いなぁ~♪」
単純な奴……まぁいい、用意してやるか。作るのなんて簡単だし。
ライス「お兄様、冷たいココアって……作れる?」
八幡「すぐ作る。」
ーーー数分後ーーー
シービー「いやぁ~八幡ってば優しいよねぇ~♪そう思わないライス?」
ライス「は、はい!」
八幡「にしても休日なのに此処に来るって、言いたくはないがお前達は休日にする事は無いのか?」
ライス「ライスは今日がトレーニングの休日にしているんだ。それで今日は何しようかなって思ってたら、お兄様とお話してないと思って此処に来たの。」
シービー「あたしもあたしも~!」
八幡「レースを観に行こうとは思わなかったのか?重賞が開催されていないとはいえ、東京でもレースはやってるだろ。」
シービー「それよりも先に八幡が思い浮かんだからさぁ~。」
八幡「ふぅ~ん……」
シービー「すっごい興味無さそうじゃん。」
八幡「うん、興味無いから。まぁいつもはジャーニー達とお茶してたから、他のウマ娘達とこうしてお茶するのも悪くないと思っているところだ。」
ライス「えへへ……ねぇお兄様、このお菓子ってお兄様が作ったの?」
八幡「よく気付いたな、何で分かったんだ?」
ライス「ドリームジャーニーさんとオルフェーヴルさんがライスにもお裾分けしてくれるんだ。」
え、あの2人が?確かにクッキーとか作ってあげたりしてるけど、ライスにも渡していたのか……もしかして賄賂?いや、そんなわけ無いか。口止め料?いやいや、何の?全く分からん……
八幡「じゃあ知らぬ間にライスも俺の茶菓子を食ってたのか……んでお味は?」
ライス「とっても美味しいよ!このクッキーも同じくらい美味しいよ!」
シービー「うん、ホントホントッ♪毎日食べてもきっと飽きないね。」
八幡「たかがクッキーでこんなに評価してくれるのか……ありがとうな。」
シービー「だからさ八幡、これからはあたしにも作ってくれない?」
八幡「断る。ライスにはもっと良いの作るから。」
ライス「い、いいのかな?」
シービー「やっぱりあたしとライスの扱いに差を感じるなぁ………」