八幡side
八幡「君達……っていうよりかはジャーニーだけなんだが、まだ1週間残ってるのに何で此処に居るんだ?休みを満喫しないのか?」
ジャーニー「いえ、充分過ぎる程の日数をいただいたので、逆に身体が有り余っているのです。個人的にはすぐにトレーニングを始めたいところなのですが、貴方から1ヶ月と言われていますから、その期日までは少し体を動かす程度に留めております。」
オルフェ「兄上、メニューを献上せよ。」
八幡「オルフェは別に構わないんだけどさ……っていうか何で俺のメニュー?」
オルフェ「兄上の組んだものでなければ余は満足せぬ……故に、他の者が組んだメニューは有象無象に過ぎん。」
八幡「他のトレーナーにケンカを売るような発言はやめような?んで結局のところ君達何しに来たの?」
ジャーニー「少々身体を動かしに。」
オルフェ「姉上と同じである。」
八幡「それなら別にメニュー要らんだろ、いつものアップを更に軽くした程度の動きにすればいいだけだ。」
休みはまだあるってのにこの姉妹は……まぁでも1ヵ月もあれば身体を動かしたくもなるよな。オルフェはいいにしても、ジャーニーは脚の確認だな。
八幡「とりあえずジャーニーは脚の様子を見る、だから少し走りを「触診でお願いします。」……何だって?」
ジャーニー「おや、聞こえませんでしたか?ではもう1度、触診でお願いします。」
八幡「いや、するわけ無いだろ。」
ジャーニー「走りを少々見ていただいてから、八幡さんの気になっている箇所を触診してください。ご安心を、振り払うような事はしませんから。」
八幡「だからそんな事しないって。」
ジャーニー「そうですか、残念です……それでしたら春の3冠のお礼を手厚くする他ありませんね。八幡さんはお値段が高いのは好まれないみたいですが、そういう事でしたら致し方ありませんね。」
八幡「……お前、狡いぞ。」
ジャーニー「使える手段は何でも使うのが私、ドリームジャーニーなので。」
八幡「はぁ……分かった、じゃあ少し走りを「兄上、余の脚も見よ。」いや、お前はダメ。まだ担当にもなってないんだから。」
オルフェ「何を言う、余が最も信頼しているトレーナーは兄上の他におらぬ。それに兄上ならば既に知っておろう……余は兄上以外の担当になるつもりなど無い。」
言い切っちゃったよこの妹ちゃん。前から匂わせるような事は言ってたけど、隠さなくなったよ……
結局、俺はコース場に行って2人の走りを見てから少しだけメンテナンスをする事にした。あまり必要無いとは思うんだが、これも必要な事だと割り切る事にした。
ーーー数十分後・部室ーーー
八幡「見た感じ、特にどこかおかしい箇所ってのは無いな。休み明けで少し緩さがある程度だから気にする程じゃない。これはオルフェも同じだ。」
ジャーニー「成る程、では秋の初戦までには間に合うという事でしょうか?」
八幡「大丈夫だ。8月からのトレーニングも問題無く出来る。」
ジャーニー「それを聞けて安心しました。良かったね、オル。」
オルフェ「うむ。」
八幡「じゃあ「触診、ですね。」……やんないとダメなのか?今問題無いって言った筈だが?」
ジャーニー「それは走りだけ、ですよね?触って初めて気付くものもあるものですよ。それとも私の足を触るのはお嫌ですか?」
………こうなったら仕方あるまい、本気でやるか。
八幡「分かった、診てやる。ただしお前から言い出した事だ、文句は受け付けないからな。」
ジャーニー「えぇ、勿論です。」
八幡「じゃあ、始める。」
ーーー更に週十分後ーーー
八幡「はい終わり。」
ジャーニー「……ありがとう、ございました。」
八幡「まぁ今日はそこまで動いてないからこの程度だな。もし宝塚記念の後だったら大変だっただろうな。」
ジャーニー「………八幡さんは、施術の心得が?」
八幡「大学の時にな。触る機会は無くともウマ娘の人体を知っておいて損する事は無いって先生から色々と教わった。」
ジャーニー「成る程……オル、見ていたから分かるかもしれないが、オルにはまだ早い……いくら気心が知れているとはいえ、易々とお願いする事じゃない……今はやめておきなさい。」
オルフェ「………まぁよい、次に預けるとする。どのようなものなのかは姉上の反応を見て分かった。」
姉の反応を見て勉強するとはな……普通だったら逆だが、この姉妹の場合そうじゃないからな。
八幡「さて、じゃあ今日はこれで解散だな。俺はもう行くが、ジャーニーは……その様子だとまだ時間がかかりそうだな。動けるようになるまでは楽にしておけ、部室を出る時は俺にLANEでも送ってくれればいいから。」
……秋の初戦はオールカマーにしてるが、少し心配になってきたな。ジャーニーの左脚の腿の回復が右に比べて遅い、オールカマーは中山レース場だから大丈夫だが、その次の天皇賞は東京レース場の左回りだ。このタイミングで脚を診られたのはある意味正解だったかもしれない。じゃなかったら気付けなかった。左回りが苦手なのは分かっていたが、脚の疲労も抜け切れてなかったのは誤算だった。トレーニング後のメンテナンスは入れておいた方が良いだろうな。