八幡side
俺は一足先に控え室に向かってジャーニーの帰りを待つ事にした。ジャーニーの事だ、先に謝ってくるだろう……けど今回はマツリダゴッホの展開作りにやられたのが敗因だ、ジャーニーのせいじゃない。始まって早々にあんな気付くか気付かないかくらいのスローペースで走られたら、そりゃ前には追いつけない。敵ながら見事だと言わざるを得ない。
ガチャッ
ジャーニー「っ!」
八幡「お疲れさん。」
ジャーニー「……申しわけございません、差し切れませんでした。」
八幡「いいや、今回は相手の展開に泣かされた。ジャーニーは今回のペースは理解していたか?」
ジャーニー「平均では?そのくらいに感じましたが。」
八幡「まぁそう思うよな。本当のペースは平均~スローの間くらいだ。だから後方のウマ娘の追い上げが鈍かったんだ。その証拠に今回の掲示板に載ったのはお前以外全員が逃げ・先行を得意とするウマ娘だ。今回の負けは仕方ねぇよ。」
ジャーニー「……貴方は負けた事を責めないのですね。」
八幡「?何でそんな事言うんだ?」
ジャーニー「先程、同じレースに出ていたウマ娘とトレーナーが立っている所を通ったのですが、言い方は柔らかかったもののウマ娘を少々責めているかのような言い方でしたので。」
八幡「そうか……まぁ天皇賞に繋がるレースだからな、どうしても勝ちたかったんだろう。もしくはそれだけ勝てる自信があったとかだな。」
ジャーニー「それは私も同じ事なのですが。」
八幡「よく言うだろ、レースに絶対は無い。何が起こるかなんて誰にも分からない、だからこそいくつもの策をウマ娘に託してレースに臨ませるわけだが、俺も展開の事は頭に入れてなかったな……済まない、俺の落ち度だ。」
ジャーニー「八幡さんが謝る事は何もございません。私も疑問に思うべきでした……」
八幡「今日はお互いに反省だな。」
その後はインタビューとウイニングライブをしてから学園に戻った。因みにオルフェは気を使ってくれたのか、先に寮へ戻るとLANEで教えてくれた……臣下が。
ジャーニー「……次は天皇賞、でしたね。」
八幡「あぁ、この日が本番だ。」
ジャーニー「この舞台、必ず勝ちます。今日の敗北を挽回させてみせます。」
八幡「俺も同じ気持ちだ。次は勝つ……」
ジャーニー(今日の敗北は必ず次で巻き返します。必ず……)
八幡「じゃあ今日はゆっくり休んでくれ。引きずってても仕方ない、また明後日からトレーニング開始だ。」
ジャーニー「はい、八幡さんもごゆっくり。」
八幡「あぁ。」
……さて、寮に帰ったら少し反省だな。
ーーートレーナー寮ーーー
八幡「ふぅ……」
同期1「あっ比企谷君お疲れ。今帰り?」
八幡「あぁ、担当を寮まで送ってたからな。」
同期1「今日は残念だったね。」
八幡「あぁ、完全に負けちまった……次に活かさないとな。」
同期3「おやぁ~?3冠トレーナーの比企谷君のお戻りかぁ?今日の結果はどうだったんだぁ~?」ニヤニヤ∼
同期1「比企谷君気にしなくていいよ。私も今日は寮に居たんだけど、オールカマーでドリームジャーニーさんが負けた瞬間1番に喜んでたんだから。ホントに無神経だよね。しかもそれに便乗して先輩1も騒いでたよ。」ボソッ
八幡「そうか……まぁ負けたのは事実だからな。」
同期3「えぇ?負けたのかぁ~?」ニヤニヤ∼
同期1「ちょっとアンタ、一体何なのよ?言いたい事があるのならハッキリ言いなさいよ。」
同期3「べっつにぃ?ただ無敗の3冠トレーナーでも負けちまうんだなぁ~って。」ニヤニヤ∼
八幡「そりゃ負ける時だってあるだろ、寧ろ勝ち続ける事の方が難しいんだから。これまでが異常だったんだよ。」
同期3「何だ言い訳か?勝ち続けるのが難しいって?ドリームジャーニーの走りを見てよくそんな事が言えるよなぁ?」
同期1「アンタね、ウマ娘を1から育てた事も無いくせに偉そうな事言わないでくれる?私だって今年から1人担当を持ってるけど、比企谷君のような凄い事は出来ないわ。今年のデビュー戦だって負けてるし、8月の3戦目でやっと勝てた。それがどれだけ難しい事か分かってて言ってるの?」
同期3「そんなのお前の調整の仕方が下手だからだろ。」
同期1「何ですって!!」
八幡「おいやめろ。同期3、それは言い過ぎだ。誰にだって思うような調整が出来ない時はある、その事はお前がサブで入ってる先輩1もそういう時あるから分かってるだろ。そういう事は間違っても言うな。」
同期3「……フン、お前等よりも俺の方が上手く調整出来る。まっ、今日のメインレースはとんでもなく楽しかったぜ~!」
………どうしてあんな事が言えるのか。多分この職を選んだのもステータスや稼ぎが良いからだろうな。そうじゃなきゃあんな言葉は出ない。
同期1「ごめん比企谷君、あんな風に言われたからつい。」
八幡「気にするな、あれは誰だってカッとなる。まぁアイツが担当を任される立場になったとしても、俺やお前のようになれるとは俺は思えない。」
同期1「それはどうして?」
八幡「アイツはウマ娘を道具としてしか見ていない。そんな奴について行くウマ娘なんて、最初は居ても後は絶対に続かない。ソイツの本性が分かるからな。それに相手は多感な学生だ、そういうのはすぐに分かる。」
同期1「何もしなくてもいずれ分かるって事ね?」
八幡「そういう事だ。あんな大口叩いたんだ、俺達は見てやろうじゃねぇか。どれだけ凄いトレーニングと調整を担当に施せるのかを。んできっとさぞかし立派な無敗のウマ娘が誕生するんだろうな。」
同期1「ふふふ、そうね!何かスッキリしたわ、ありがとう比企谷君。」