八幡side
オルフェ「……兄上、今日は祝い事でもあったか?」
八幡「ん?まぁ、ある意味そんな感じ。」
オルフェ「では何故、余の昼餉がいつもより豪華絢爛なのだ?」
八幡「まぁ、そういう気分?」
昨日のジェンティルへの対応が大人になってたからです。成長が見られました。
ジャーニー「まぁいいじゃないかオル。せっかく八幡さんが作ってくれたんだ、ありがたく食べるのが感謝の伝え方だよ。」
オルフェ「……では、いただこう。」
ジャーニー「それで八幡さん、本当のところは何なのですか?」コソコソ
八幡「昨日のジェンティルとの会話は聞いてただろ?以前のアイツだったら挑発に乗ってたかもしれないが、昨日はその様子も無かったからな。成長の褒美ってヤツだ。」コソコソ
ジャーニー「成る程……担当の私には何も無いのですか?」コソコソ
八幡「お前っていうか君達姉妹はしょっちゅう俺に頭撫でさせてるだろ、それで充分。」コソコソ
ジャーニー「アレは褒美ではありません、義務です。」コソコソ
八幡「いつからアレは義務化されたんだよ……」コソコソ
ジェンティル「御機嫌よう。相席させていただいてもよろしくて?」
うぅむ、招かれざるお客人が来てしまったみたいだ。まぁ俺は全然構わないんだけど。
八幡「俺は構わない。2人は?」
オルフェ「余は構わぬ……」
ジャーニー「構いませんよ。」
ジェンティル「では失礼致しますわ。」
……なぁんかまた昨日と同じ空気になってんだよなぁ~。いいからそんなに気にしなくて!この2人の事はほっといてあげて!どうせすぐ終わるんだからっ!
ジェンティル「オルフェさん。昨日の事だけれど、少し言葉が過ぎましたわ。ごめんなさいね。」
オルフェ「………」モグモグ
ジェンティル「けれど貴女も言っていたでしょう?言葉は不要、走りで証明するって。今日はお願いに来ましたの……私と模擬レースしてくださらない?」
ザワザワ……
オルフェ「………兄上、可能か?」
八幡「そうだな……時間を割く事は可能だ。今日見る予定だったお前の走法改善の時間を少し削ればだけど。」
オルフェ「で、あるか。ならばその時間、全て模擬レースに当てよ。余の走りがどれ程のものか試すのも一興……」
八幡「ん、じゃあそうするからな。一応ジャーニーとの併走も入れるからそのつもりで。あくまでもメインはジャーニーなんだから。」
ジェンティル「お願いしますわ。」
その後は特に揉める事無く普通の食事の時間となった。しかし名門資産家のご令嬢だからなのか食べ方が綺麗だ……まぁこの姉妹も作法は負けてないけど、気品という点ではジェンティルが圧倒的だ。
ジェンティル「それにしてもオルフェさん、今日は良い食事を摂っているのね。何か良い事でも?」
オルフェ「兄上の気分だ。」
ジェンティル「……貴方の?」
八幡「俺が作って何か悪いのか?これでもそれなりに作れる。」
ジェンティル「……一口、いただいても?」
八幡「……何が食いたいんだ?」
ジェンティルが料理を一口食べた瞬間、目を見開いたのを俺は見逃さなかった。それ以降は何も言葉は出さなかったが、俺達の食事を度々見ていたのは、きっと全員気が付いていたと思う。
ーーー放課後・コース場ーーー
八幡「じゃあ早速併走と模擬レースやってくけど、まず最初にジャーニーとの併走をやってもらう。それから2人の模擬レースだ。距離は2,400mの左回り、東京レース場を想定しての距離だ。」
ジャーニー「順番はどうなさいますか?」
八幡「3人併走でやるから順番とかは無い。ジャーニーはまず2回走ってもらうが、1回目は中央で2回目は外の位置で走れ。2人は「余が外を走る。」どっちか……ジェンティルは?」
ジェンティル「では私が内ですわね。」
八幡「話が早くて何よりだ。じゃあ、始めるぞ。」
きっとジェンティルは早くオルフェと併走がしたくて仕方ないんだろう。何の口答えもしない……もしかしたら文句が無いだけかもしれないが、そこは分からん。まぁ今はジャーニーの走りに集中だ。
そして2本走り終えて、いよいよ模擬レースとなったのだが……
八幡「何でか知らないけど、すげぇ集まってんだよなぁ……」
ジャーニー「きっとカフェテリアでお話が広まったのでしょう。そうでもなければこんなに集まる筈がありませんから。」
八幡「だろうな……じゃあレース始めるぞ。勝ち負けは特に無いが、今の自分の力量は測る為のものだと思え。ゴールはあそこだ、コースを1周してあの板を過ぎるまでとする。展開作りについては各自でするように。質問は?」
オ・ジェ「無い(ありませんわ。)」
八幡「よし、じゃあ準備。」
2には準備が完了してから特別に用意してもらったゲートに入ってスタートを切った。
ガッコン!!
ジェンティル(やっぱりオルフェさんは後方からになりましたわね。ここまでは想定通り……オルフェさんならきっと直線で一気に差し切る作戦に出る筈、そうなる前に3コーナーから仕掛けるっ!)
オルフェ「………」
オルフェ「つまらぬ。」
八幡「オルフェが勝ったな。」
ジャーニー「っ!もう分かるのですか?」
八幡「ジェンティルのあの走り、これまでオルフェの走りを想定しての作戦だ。でも今のオルフェはあの策じゃ勝てない。」
オルフェ「フンッ!!」
ジェンティル「っ!貴女、こんなに前にっ!?」
オルフェ「少しは楽しめると思っておったが、期待外れであったわ。」
ジェンティル「まだこれからですわよ。」
オルフェ「いいや、もう終わりだ。」
そして4コーナーを曲がって直線に入った。きっと誰もが2人が並んで競り合いになるかと予想していただろう。だが現実はオルフェがジェンティルを引き離しており、ジェンティルもオルフェの背を追っていたが差は少しずつ広がる一方……結果はオルフェが3バ身差の圧勝で模擬レースは終わった。
八幡「まぁ、こんなものだろうな。」
ジャーニー「最初から分かっていたのですか?」
八幡「まさか。まぁでもジェンティルの走りを見て大体の事は予測出来たからな、ジェンティルの今の手札じゃどう足掻いてもオルフェには勝てないってのはすぐに分かった。」