八幡side
10月3週目、日曜日の京都レース場。多くの人達が集まっているばかりか、黄色と黒のチェック柄の模様をしたタオルや横断幕が目立っていた。そう、ブエナビスタの勝負服の柄と同じだ。今日の秋華賞はブエナのトリプルティアラがかかっている。今日を勝てば史上3人目のトリプルティアラウマ娘となる。それだけ期待も高まっているという事でもある。
後輩「………」ガチガチ…
八幡「お前、まだ秋華賞は始まらないのにそんなに緊張してどうするんだよ……」
後輩「し、仕方ないじゃないですか!っていうか先輩は緊張とかしなかったんですか?3冠だけでなく無敗までかかってたあの時はどうだったんですか?」
八幡「俺の場合、ジャーニーの両親とかも来てたからそっちに気を使ってたから緊張なんて気にする暇が無かった。」
後輩「それは確かに緊張なんてしないでしょうね……もしブエナの親が来たとしても、緊張が消える事は無いですよ。だって小さい頃から知ってるんですから。」
八幡「流石は幼馴染コンビだな。」
ジャーニー「では、今日はブエナさんの走りを診させていただきますよ。」
ブエナ「ジャーニーさんにそんな事言われると緊張しちゃうなぁ~。でも、頑張りますっ!」
両手に握りこぶしを作って気合いを入れるブエナ。どうやら気合は充分のようだ。それにしても後輩の奴、まだガチガチなのかよ……まぁその内治るか。
ーーー数時間後ーーー
実況『クラシックレースも残すところは後2つ。夕陽の元で明るく咲く秋の桜が見守る秋華賞、距離と同じく黄金の菊が長い活躍を願う菊花賞……どちらもこの京都レース場が開催地となっております。今日はティアラ最後の秋華賞が開催されます。注目は何と言ってもブエナビスタのティアラ3冠でしょう。このレースを勝てば史上3人目のトリプルティアラ制覇となります。しかしそれを阻む17人のウマ娘も黙っていません!残す1冠をかけて全力で走ります!さぁ各ウマ娘がゲートへと入っていきます……そして最後の1人、18番デリキットピースが入りました!史上3人目の偉業か、はたまた最後の1冠を奪取かっ!?』
ガッコンッ!!
実況『スタートしましたっ!さぁ正面スタンド前での先行争いです。広がって前に行くのは間からクーデグレイス、デリキットピース、ワイドサファイア!更にはヴィーヴァヴォドカと最内からホクトグレインと先行勢が形成!その後ろのパールシャドウ、その直後に2番人気レッドディザイアです!さぁ各ウマ娘1コーナーをカーブして行きます!』
後輩「よし、ディザイアをマークしながら走れてるっ!」
八幡「………」
ジャーニー「………」
やっぱり正攻法で行ったか……そして予想通り内側を走ってる。こうなったらブエナの得意としている後方からの追い上げが少し難しくなってくる。どこかコースを見つけない限りは追い上げるのは難しい。そして今の展開的に前がつぶれるのは目に見えてる。そこでどうするかだな。
実況『向正面へと入っていきます!ちょうど中団の位置にレッドディザイア、イイデエースはその外。1バ身後方にブエナビスタと外にラインドリームと大外モルガナイトが追走!その後ろジェルミナル、ブロードストリート、アイアムカミノマゴ、ワンカラットが固まっています。後方2人はミクロコスモスと最後方にハシッテホシイノ!さぁこれから3コーナーに向かって行きます!ペースを握っているのはヴィーヴァヴォドカです!』
八幡「さて、ここからどうするか……」
ジャーニー「えぇ、ブエナさんは完全に囲まれていますね。どうにかして抜け出さないと……」
八幡「ブエナにとってはここからが本当の勝負になりそうだな。」
ジャーニー「確かに……っ!アレは……」
八幡「ほう……そう来たか。」
後輩「っ!」
実況『内ブエナビスタは最内を選択っ!レッドディザイアに並びかけ、外から捲るようにジェルミナル上がって参りました!残り400を通過、第4コーナーから直線コースッ!!さぁ先頭はヴィーヴァヴォドカ、間からはクーデグレイス!その内からはブエナビスタが追い抜く構え!その外からレッドディザイアも上がってきている!さぁ先頭入れ替わってブエナビスタ!レッドディザイアとクーデグレイスが2番手争い!レッドディザイアも追い上げてくるがブエナビスタ先頭!ブエナビスタ先頭っ!!1バ身のリード!レッドディザイア追い上げているが凌ぎ切れるかっ!?』
ブエナ「はあああぁぁぁぁぁ~っ!!!」
ディザイア「っ!?」
実況『しかし抜かさせないっ!!追い上げさせないっ!!ブエナビスタゴールイイイィィィィィンッ!!!トリプルティアラ達成っ!!!最後の1冠もこのウマ娘が勝ち獲りましたっ!!ブエナビスタが3つのティアラを全て勝ちましたっ!!』
後輩「やったあああぁぁぁぁぁ!!!!!」
ジャーニー「っ……ふふ、普段であればうるさいと思うところですが、喜びの叫びというのはどうして聞き心地が良いのだろうか。」
八幡「そうだな。こんなにデカい叫びってのは久しぶりに聞いたかもな。しかも泣いてやがるし……担当とそっくりだな。」
後輩はブエナがゴールした瞬間に叫んだと同時に号泣していて、ゴールした後のブエナも3冠を獲れた喜びで目元を手で隠していた。