八幡side
この前の秋華賞はブエナが見事にトリプルティアラを達成した。3人目の偉業だからなのか、どの新聞でも大賑わいだった。しかしティアラ路線も長い事続いているが、いつになったら無敗が現れるのか……3冠路線では既に【皇帝】と【英雄】、そしてジャーニーがそれを達成しているが、ティアラ路線はまだ1人も居ない。まぁそれもいつかは誰かが獲るだろう。
さて、話を元に戻そう。俺とジャーニーはいつも通りトレーニングをしているのだが、後輩とブエナが突然やって来たと思ったら……
後輩『何かお手伝いさせてください!誰かの味方をしてはいけないって分かってるんですけど、天皇賞は先輩とドリームジャーニーに勝ってほしいんです!』
ブエナ『私からもお願いします!』
っという嘆願もあったから、今はこうなっている。
ブエナ「はあああぁぁぁぁぁ!!」
ジャーニー「フッ!!」
オルフェ「おおおぉぉぉぉぉ!!」
……何とも豪華な併走な事か。走りを毎日見ているから分かってはいたんだが、3冠ウマ娘とトリプルティアラウマ娘について行ってるオルフェも充分にヤバいな。これだけで既に別次元に居るのが誰でも分かる。
ピッ!
八幡「……ん、良いタイムだ。2人もよくついて行ってる、上々だな。」
ブエナ「ありがとうございます。」
ジャーニー「抜群に良い、というわけではないのですね?」
八幡「そうだな。確実に勝てるかと言われたらそうでは無いし、春の時のような確信的なものは今のところは無いな。まぁでも掲示板なら入れるだろうってところまでは来てる。上手く作戦がハマればの話だけどな。」
ジャーニー「ふむ……八幡さん、もう1本お願い致します。オル、付き合ってくれるかい?」
オルフェ「よかろう……」
ブエナ「私もお付き合いします!」
ジャーニー「ありがとうございます、では準備して参ります。」
次の天皇賞、どうやら本気で勝ちたいみたいだな。まぁそれは誰だってそうなんだが、ジャーニーの場合あんな風に言うのが珍しいからっていうのもある。
オルフェ「兄上、1つ提案である。」
八幡「どうしたオルフェ?」
オルフェ「次の併走……余は前へ出る。」
八幡「っ!それはつまり、ジャーニーの壁になるって解釈でいいのか?」
オルフェ「姉上は確かに最後の末脚は良い物がある。だがそれは使える時に限定される……なればこそ、手数を増やしておくに越した事は無い。」
八幡「……分かった、次の併走では前に出てみろ。上手くジャーニーを追い込ませる事が出来たら、残り1週間はこのトレーニングをしていく。じゃあ頼んだぞ。」
オルフェ「うむ。」
さて、オルフェのこの急なアドリブにどう対応するかな?
後輩「先輩、コレって併走なんですよね?いいんですか?」
八幡「まぁでも、オルフェの突拍子も無い走りに驚いて走りを見失うようじゃ、天皇賞には勝てないだろうな。まぁ見てみようじゃねぇか。」
後輩「……はい。」
そして始まった併走。宣言通りオルフェが先行を取りに行くと、後ろの2人は驚いた様子を見せていた。だがジャーニーは持ち前の冷静さですぐに立て直した。ブエナも少し時間はかかったが1ハロンくらいで落ち着いた。その後ジャーニーがオルフェと競り合うような形で入線した。
ジャーニー「オルのアレには驚いたよ、まさか先行策で行くとは思わなかった……八幡さんはご存知だったのですか?」
八幡「直前にオルフェから提案されてな。」
ジャーニー「少し冷静さを欠きましたが、良い併走になりましたよ。オルも機転を利かせてくれてありがとう。」
ブエナ「私は驚き過ぎちゃってずっと後ろになっちゃいました……反省ですね。」
後輩「いや、直線になっても2人に離されてなかったから走り自体は悪くなかったぞ。オルフェーヴルの時のように、誰がどんな作戦で来ても冷静に対処出来るようにしておかないとな。」
ブエナ「うんっ!」
八幡「じゃあ今日のトレーニングはこれで終了だ。ダウンとストレッチしてから部室に来てくれ。」
ーーー部室ーーー
八幡「ウチは順調……ブエナの次はエリザベス女王杯だったよな?」
後輩「はい、その後はまだ決めてませんけど。」
八幡「エリザベス女王杯……ブエナが出走するってなったら同世代のウマ娘達は出るのを控えそうだな。」
後輩「先輩でも、ですか?」
八幡「俺はっていうよりもウマ娘が出たいかどうかによる。俺は選択肢としての選択は与えるが、最終的な決定はトレーナーとウマ娘が了承した上でって事にしてる。だから今回の天皇賞には出走するが、ジャパンCには出ず有マ記念に行くって事にしているしな。」
後輩「成る程……じゃあこっちからも何かを提示するって事もした方が良いんですね?」
八幡「じゃないとトレーニングの事ばかりでレースの事は何も考えていないって思われかねないからな。クラシッククラスの最初はまだ分かりやすいが、中間や後半になったら路線は大きく分かれる。今の内にでも何を目標にするのかくらいは決めておいた方が良い。じゃないと行き当たりばったりになるぞ。」
後輩「分かりました。」
ガチャッ
ジャーニー「ただいま戻りました。」
八幡「おう、お疲れさん。それじゃあジャーニーは横になれ。」
ジャーニー「はい。今日もよろしくお願いします。」
ブエナ「……ねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんは覚える気って無いの?」
後輩「流石に無い。俺が先輩みたいに出来るとは思えないし。」
ブエナ「そ、そうなんだ……ほっ、良かったぁ……」
後輩「何か言った?」
ブエナ「う、ううん何でも!」
オルフェ「……兄上、余もそれを所望する。」
ジャーニー「オル、お前にはまだ早い……デビューしてからにしなさい。」