八幡side
ホントに勝てて良かった……これまでで1番の不安だった。信じていなかったわけじゃないが、直線になってもあまり動かなかったから沈んだままになるかと思ったら、外に出して一気にとはな……直線を向いてからの動き出しはジャーニーの動きやすいようにとは言っていたが、あんな風に走るとは思わなかった。それに1番脚を使う走り方じゃねぇか……
オルフェ「今日は本当にらしくない……そこまで心が泳いでいる兄上は初めて見る。」
八幡「ヒヤヒヤする走りをするもんだから少し、な……オルフェだって分かってるだろ?ジャーニーが左回りが苦手だってのは。完全に克服したレベルじゃないにも関わらずあの走り……落ち着かなくもなる。信じていなかったわけじゃないが、マジで落ち着かなかったんだよ。」
オルフェ「フッ……姉上には悪いが、兄上の珍しい顔を見られた。」
八幡「他人事だと思ってクスクス笑いやがって……とりあえず行くか。お前も来るか?」
オルフェ「うむ。」
ーーー地下バ道ーーー
ジャーニー「………」テクテク
オルフェ「姉上。」
ジャーニー「っ!オル、わざわざ迎えに来てくれたのかい?ありがとう、嬉しいよ。」
オルフェ「うむ、姉上も良き走りであった。」
ジャーニー「ありがとう。八幡さんもご覧になっていただけましたか?」
八幡「こっちはヒヤヒヤしてたぞ。あんな走りをするとは思わなかったぞ。」
ジャーニー「それはそれは……ふふふ。」
笑い事じゃねぇっての。まぁでも、こうして無事に帰ってきてくれたから見逃すか。
八幡「とりあえず控え室に行くか。
ジャーニー「そうですね、インタビューや写真撮影もありますからね。」
八幡「毎度思うんだけどさ、オルフェと代わる事って出来ないの?出来れば撮られたくないんだけど。」
ジャーニー「いけませんよ八幡さん、私のトレーナーは貴方しか居ないのですから。その貴方が写真を撮られたくないという理由で来ないというのは、八幡さんの評判にも関わります。」
八幡「ぶっちゃけると俺の評判ってどうでもいいんだよね。」
ーーー控え室ーーー
ジャーニー「あ、あの……これから、インタビューですうっ……から、そこまで必死に、ならなくとも……いいのでは?」プルプル…
八幡「あんな走りをした奴がよく言う。お前の反応だけでもう丸分かりだ、本気を出したとはいえ2,000m1回だけでこの疲労……寮に帰って風呂上がりのストレッチだけじゃ抜けきれねぇよ。写真撮影の後も時間があるから続きをやるからな、今は時間が無いから出来る範囲だけだ。」
ジャーニー「し、しかし……くぅ………」プルプル…
八幡「我慢する必要は無いが、変に力は入れなくていいからな。返ってやりづらくなるだけだし。」
オルフェ「………」ジィ∼…
八幡「……興味でもあるのか?」
オルフェ「………今日は珍しい顔ばかりを見る。だが興味があるのも確かだ。」
ジャーニー「オル、お前にはまだ早い……こんな事は、まださせられない……」プルプル…
オルフェ「姉上よ、似たような言葉を以前にも聞いたぞ。」
八幡「とりあえず今は寝転がって施術受けとけ。」
それから数分後にインタビューと写真撮影を行ってから、夜のウイニングライブまで時間を潰す事になったのだが……
ジャーニー「~……~っ、んっ……ふぅ~……」プルプル…
俺の本気のマッサージで声も出すのを必死に我慢している。顔も突っ伏したままで、眼鏡がズレているにも関わらず声を殺すのに必死になっている。
八幡「はいはい、声を我慢するのは結構だが脚に力を入れるのはやめてくれよ~。施術が出来ないから。」
ジャーニー「……貴方も、悪い人だ。」
八幡「しょうがないだろ、普段口で負けてる分こういうところで取り返さないとな。それに11月中旬にやる事になってる職場体験・見学会では俺を出汁にしてくれたからな、その意趣返しだ。後は今日俺を脅かしてくれた礼だ。」
ジャーニー「……覚えておきましょう、貴方に貸しを作るのは……怖いですね。」
八幡「貸しだとは思ってないが、もし続くようだったら見学会の時にもやるかもしれないから覚えておく事だな。」
ジャーニー「胸に刻んでおきましょう。」
これで少しは分かってくれただろう、俺だってやり返す時はある。まぁこういうやり方だけどな。
オルフェ「兄上。明日の昼餉は姉上の勝利を称え、馳走を用意せよ。食事は任せる……が、甘味はルーローショコラにせよ。」
八幡「早速明日の飯の催促かよ……まぁ祝いである事には変わりないか。分かった、じゃあ明日は豪勢にする。」
オルフェ「うむ。」
八幡「じゃあ明日の昼飯は楽しみにしておいてくれ。あぁそうだ、定食系にするか?それとも丼とか?海鮮とかシチュー系でもいいぞ。」
オルフェ「いいや、余が任せると言った以上、全て兄上に委ねる。」
八幡「じゃあゲテモノでも許される?」
オルフェ「………」ギロッ…
八幡「はいはい、まともな料理の範囲内で作らせてもらうよ。それでいいな?」
オルフェ「あぁ。」