八幡side
八幡「………マジで?」
後輩「はい、マジです。」
八幡「……そうか、お前達が有マ記念に来るか。」
後輩「エリザベス女王杯で3着になった時に思ったんです、このまま年内で終わらせるのは勿体ないって。エリザベス女王杯を勝ってたら、きっと来年からってなってたと思うんですけど……クラシッククラスでも充分に渡り合えてるブエナを見てると、このままじゃダメだって思ったんです。」
八幡「………まぁ、いいんじゃねぇの。俺としては骨のある相手が出来て嬉しいくらいだしな。まだ有マ記念の出走メンバーは決まってないが、大体のメンバーは予想出来るしな。それじゃ……12月末を楽しみにしてる。」
後輩「っ…はいっ!」
八幡「ってなわけで、ブエナも有マ記念に出走する事になったみたいだ。」
ジャーニー「それはそれは……」
「強力な相手ですね……しかしトレーナー様、相手は中山レース場は初……勝機があるのでは?」
八幡「甘いな。それだけで勝てると思っているのなら、お前はブエナの力を見誤っている。」
「っ!?」
八幡「アイツの1番恐ろしいところ、後輩が気付いているかどうかは分からないが、初めてのレース場でも瞬時に適応出来る程の順応力だ。最初のデビュー戦から札幌記念までは全て1着を獲ってる上に全て3着以内に入ってる。これだけでも充分だが、右回り左回り、小回り関係無く走れるっていうのも強い武器だ。それに俺から言わせてみれば、アイツの末脚はジャーニーよりも速い。」
「ドリームジャーニー様よりもっ!?」
八幡「確かにジャーニーも良い脚は使えているのは確かだ。だがオークスや秋華賞、エリザベス女王杯での末脚を見ただろ?確実に前に届かせる程の末脚を持ってる。ジャーニーも負けてはいないだろうが、あのレベルじゃない。だから有マ記念では確実に1番大きな障害になるだろうな。」
ジャーニー「……八幡さん、勝つ可能性はあるのですよね?」
八幡「それは勿論ある。だが今のはレースに出ているウマ娘になら全員等しく勝機はあると言っておく。今のお前の武器は持ち前の冷静さに加えて展開の上手さ、レースキャリアに中山の経験数……っといったところだ。」
ジャーニー「成る程……では私はブエナさんをマークするように作戦を立てましょう。」
八幡「流石だな。」
「……あの、トレーナー様。」
八幡「何だ?」
「その、よろしいのでしょうか?私ごときがこのような席にご一緒させていただいても……」
八幡「ジャーニーがいいって言ったんだからいいんじゃね?俺には分からん。」
「ですが、オルフェーヴル様がまだ到着されていないのに、一臣下である私が勝手に座るのは……」
八幡「ん~……ならこう言えばいいんじゃね?昔の偉い人に仕えていた人みたいに『冷たい椅子だと王の身体に悪いと思いましたので、温めておりました。』って。」
ジャーニー「ふふふ、八幡さんも意外と悪知恵が働きますね。」
八幡「それに俺達がこうしてお茶してるのにお前だけ何も無いってのは流石にアレだろ?オルフェには改めて淹れればいいんだから。」
ガチャッ
「お疲れ様です、オルフェーヴル様。」
『お疲れ様です。』
「っ!!!」ビグッ!!
オルフェ「うむ、面を上げよ。」
ジャーニー「オル、お疲れ様。待っていたよ。」
オルフェ「……貴様、何故その席に座っておる?」
「コ、コレはそのっ!寒い廊下からお越しになられたオルフェーヴル様に少しでも暖を取れるようにと、自身の身体を使って椅子を温めておりましたっ!!申しわけございませんっ!!」
オルフェ「ふむ……で、あるならば席を空けよ。」
「は、ははっ!!」
さて、結果はどうかな?
オルフェ「………うむ、暖かい。おい、貴様に王命である。余の席を暖める権利をやろう……余への気遣い誠に見事である。大義であった。」
「あ……ありがとうございますっ!!」
八幡「ちょうど終わったみたいだな。ほい、お茶。」
ジャーニー「お茶菓子もあるからね。」
オルフェ「……うむ、良い味だ。」
八幡「そりゃどうも。」
オルフェ「兄上、先の模擬レースの事を覚えているか?」
八幡「ジェンティルに走った時の事か?」
オルフェ「うむ。ジェンティルが兄上に走りを見てもらおうかと呟いておったわ。」
八幡「何で俺?未来の担当に見てもらえばいいだろうに。」
オルフェ「あの者の力について言及したのが兄上だけだったのが、ジェンティルの関心を引いたのだろう……」
八幡「別に見るくらいならいいけどよ、担当とかになりたいだったらお断りだからな?俺には既に先約が居るし。」
オルフェ「フッ、当然である。」
別にお前の事だって一言も言ってないんだが、自分の事だって思ってる辺り本当に自分だって自信しか無いんだろうなぁ~。
ジャーニー「だけどオル、それには八幡さんの担当枠を増やさないといけないよ。今の八幡さんでは担当は私で埋まってしまっているからね、早めに何とかしないとデビューが遅れてしまう。」
オルフェ「………学園の理事長に一言いえばよかろう。」
八幡「おいやめろ、余計な事するんじゃねぇ。ただでさえお前は半分担当みたいな感じになってんだ、こじれるような事するな。」
ホント、ジャーニーを担当してすぐにコイツもトレーニングに参加みたいな感じだったからな……まぁ最初から併走相手が出来たから、ホントはすげぇありがたかったんだけどさ。