比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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グランプリの後

 

 

八幡side

 

 

八幡「こっちに救急班は来ましたか?」

 

ロールスT「いいや、まだだ……運び込まれているところまでは見ていたんだが、その後は俺も此処に移動していたから見てないんだ。」

 

八幡「大事じゃないと良いんですが……っ!来ました!」

 

ロールスT「っ!!ロールスッ!!」

 

「貴方が担当トレーナーですね?落ち着いてください、これから病院に運びます。」

 

ロールスT「ロールスは!?無事なんですかっ!?容態はっ!?」

 

「どうか落ち着いてください。彼女は左脚を故障されておりますが命に別状はありません。」

 

ロールスT「……そうですか。」

 

八幡「……すみません、少し怪我を診させてください。自分はトレーナーではありますが、ケガの心得も多少はあります。」

 

「……分かりました、こちらです。」

 

 

俺達は救急班に案内されてスリーロールスが居る救急車の中に入った。スリーロールスは気を失っていて、担架の上に横になっていて、左脚が吊るされていた。確かに左脚の屈腱に異常があった。

 

 

八幡「屈腱炎……いや、それだけならこんな風にはならない……断裂か?」

 

ロールスT「屈腱炎……本当なのか?」

 

八幡「可能性の域ですけど、ね。浅屈腱炎から屈腱炎なのは確実ですが、中身がどうなっているのかまでは今の状態じゃ分かりません。良くて今言った通り、悪くて断裂といったところです。」

 

ロールスT「屈腱断裂って事なのか?」

 

八幡「1番最悪なのがそれでしょうね……どちらにしても診てもらわないと分かりません。」

 

「トレーナーさん、そろそろ……」

 

八幡「……分かりました、ロールスTは一緒に居てあげてください。」

 

ロールスT「そのつもりだ、ありがとうな比企谷君。」

 

八幡「いえ、自分に出来る事をしただけですので……失礼しました。」

 

ロールスT「診てくれてありがとう、それと有マ記念優勝おめでとう。先に祝わせてくれ。」

 

 

……素直に喜べないレースになったな。仕方のない事とはいえ、こんな顔でジャーニーを迎えるわけにはいかないな。切り替えろ……

 

 

ジャーニー「ただいま戻りました、八幡さん。」

 

八幡「あぁ、お疲れさん。最後の差し切りは良かった。道中の溜めも良かったぞ。」

 

ジャーニー「……大丈夫ですよ八幡さん、無理に取り繕わなくても。私も分かっております、スリーロールスさんの件は残念に思います。」

 

八幡「……筒抜けだったか。それとも表情に出ていたか?」

 

ジャーニー「いいえ、帰ってきた途端に捲し立てるように話しかけてきましたので。普段の八幡さんであれば落ち着いてからされる事を、私が帰ってすぐにしてきましたので。」

 

八幡「そうだったか……俺もまだ動転してるみたいだな。」

 

ジャーニー「……貴方への評価を改めましょう。貴方は優しいだけではなく、とても寛大で包容力のある方だ。」

 

八幡「そういうのは将来の旦那候補に言え、俺に行っても仕方ないだろう。ほら、控え室に行くぞ。どうやら俺はこのままだと落ち着かないみたいだからな。」

 

ジャーニー「それはお互い様でしょう。」

 

 

ーーー控え室ーーー

 

 

ジャーニー「それで、彼女はどうだったのですか?」

 

八幡「……良くて浅屈腱炎、悪くて屈腱断裂ってところだ。」

 

ジャーニー「それは……誠に残念としか申し上げる事が出来ません。最悪の場合、トゥインクルシリーズを引退せざるを得ない程の重い怪我……」

 

八幡「あぁ……だがそれはまだ分からない、結果が出てからだな。俺達が悩んでも仕方ない事だが、全く無関係じゃないからな。」

 

ジャーニー「えぇ、仰る通りかと。もしも今回のような災厄がオルに降りかかると思うと、とてもゾッとします……」

 

八幡「お前からすれば、そんな事が起きたら気が気じゃないだろうしな。当然、俺もそうなったら悲しいしな。」

 

 

オルフェに限らず、他のウマ娘に対してもそう思っている。ケガとは本当に恐ろしいものだ……

 

 

ーーー数十分後・観覧席ーーー

 

 

ジャーニー「皆さん、ただいま戻りました。」

 

アート「ジャーニー、優勝おめでとう。ケガは無い?痛いところは?違和感のあるところは?」

 

父上「……落ち着け、何かあったらトレーナーが黙っているわけが無い。」

 

ジャーニー「お父さんの言う通りだよお母さん、私は何とも無いから。」

 

アート「そう、良かったわ……」

 

 

安心しきってるな、アートさん。まぁ走った事のある立場からすれば当然の感情だろう、現役の頃にもそういうウマ娘を見てきただろうしな。

 

 

ジャーニー「後はウイニングライブを残すのみだ……その後にやっと帰られる。」

 

八幡「そうだな。」

 

アート「トレーナーさん、1つご相談させていただきたい事があるのですがよろしいでしょうか?」

 

八幡「はい、何でしょうか?」

 

アート「もし、トレーナーさんのご都合がつけばでよろしいのですが、年末年始を我が家で過ごされませんか?既にご存知だと思いますが、ジャーニーもオルも貴方の居ない夏の1ヵ月は少し堪えたみたいなので……そこでよろしければ一緒にと思いました。いかがでしょうか?」

 

八幡「……自分は特に都合はありませんが「では決まりですね。」え?「うむ、決まりである。」……いやいや、お父さんが「断る理由は無い。」……決定?」

 

アート「はい。ではトレーナーさんの最後のお仕事の日と時間を教えてください。その日はご馳走を作りますから。」

 

 

決定していた。俺が何かを言う前に決定した……だってジャーニーもオルフェも有無を言わせようとしてないし。

 

 

 

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