エアグルーヴside
交流の時間が終わり、周りも漸く真剣な雰囲気になった。さっきまで少し緩い雰囲気だったが、今ではそんな空気がどこに行ったのやら、張り詰めるような雰囲気が漂っていた。互いが互いを睨み合うような、獲物を狙っているような目をしている。恐らく私も同じような目をしているのだろう。
実況『ではこれにて、交流のお時間を終了とさせていただきます。出走ウマ娘の皆さんはレース出走になるまで待機をお願いします!』
エアグルーヴ「八幡、作戦会議をしよう。」
八幡「そうだな。じゃあ一旦、控え室に戻るか。」
ーーー控え室ーーー
八幡「それで、何で先生達まで?」
マンノウォー「さっき言っただろう?私は八幡とその担当を応援すると。故に此処に居る!」
タリアト「師よ、理由になっていない気がするぞ?まぁ分かりやすい説明ではあったが。」
八幡「……エアグルーヴ、頼もしい大先輩2人から応援されてるが、考え過ぎるなよ?」
エアグルーヴ「大丈夫だ、今も落ち着いている。それに八幡とこの日に向けトレーニングをしてきたのだ。負ける自信よりも勝つ自信の方が大きい。」
八幡「そうか……じゃあ作戦を伝える。今回のレースではある程度先頭にマークするような形でついて行くようにしろ。多分今回の流れはそんなに早くない。早めに前目のポジションにつけておいた方が良い。」
エアグルーヴ「私もある程度調べたが、今回のレースでは逃げの脚質を持つウマ娘が少ないからだな?」
八幡「そうだ。まずツクバシンフォニー以外は前に出ないと思っていい。ツクバシンフォニーを見ながら3か4番手の位置でレースを作れ。もし前に何人か居たら、無茶してマークはしなくてもいい。そしてこれが1番のポイントだ。外目のポジションに収まる事を意識しろ。」
エアグルーヴ「外のポジションだな、分かった。」
八幡「ん、まぁこんなところだ。」
マンノウォー「うむ、良い指示出しだ。細かなら所までよく指示を出せている。しかし八幡、何故外のポジションに収まる必要がある?エアグルーヴの脚質は先行だろう、ならば内で脚を溜めておいた方が良いと思うが?」
八幡「俺も本来ならそうします。でも今回に至っては半分は情報を集められましたが、その内半分は不確かな情報だけです。エアグルーヴの地力の勝負にもなると思いますので、それに賭けるつもりです。」
タリアト「成る程、海外のウマ娘の事だな?」
八幡「はい。トレーニングを見学出来たとはいえ充分に、とは言えません。なので先手を打てるのなら先手を打っておいた方が賢明だと思いました。」
確かに……今回の参戦するウマ娘に逃げの脚質持ちは居なかった。考慮するのであれば、私が前目につけた方が得策なのかもしれん。
八幡「それに、撹乱という意味でもありますしね。」
タリアト「全くお前は………私はそんな事を教えた覚えは無いぞ?」
八幡「後から覚えました。じゃあエアグルーヴ、そろそろ時間だ。」
エアグルーヴ「あぁ。」
ーーー地下バ道ーーー
エアグルーヴ「では八幡、行ってくる。」
八幡「あぁ。」
ピルサド「やぁ女帝陛下、先程以来だね。」
エアグルーヴ「……はい。」
ピルサド「我がプリンセスに君への招待状を頼んでいたのだが、君は一向に私の誘いを受け取ってくれなかったからね、少し寂しかったのだよ?」
エアグルーヴ「申しわけありません。しかしこの日に向けて調整をしていたものですから。」
ピルサド「構わないとも構わないとも!!そのレースに向ける直向きさは女帝陛下の美貌を更に補正しているのがよく分かるのさっ!!」
エアグルーヴ「は、はぁ………」
八幡「…トレーニング、大変じゃないです?」
ピルサドT「振り回される時はあるわ。ああいう性格だからしょうがないと思うけど、あんなにもウマ娘に反応したのは今回が初めてなのよ。」
八幡「………そうですか。」
ピルサド「だが今回のレース、私が勝たせてもらう。女帝陛下の顔が敗北で染まるのを見たいわけではないが、これもレースだ。勝ち負けは我々の走りで決める、そうだろう?」
エアグルーヴ「……そうですね、その通りです。」
ピルサド「ならば共に本バ場へと向かおうではないか!!エスコートは任せてくれたまえ!!」
エアグルーヴ「いえ、遠慮しておきます。」
ピルサド「女帝陛下はつれないな……まぁいいだろう。私は先に行かせてもらうよ。行ってくるよトレーナー、それから【
八幡「?」
ピルサド「女帝陛下の隣には私が相応しい事を証明して見せよう。」
エアグルーヴ「っ」ピクッ
八幡「意味がよく分からんからその言葉は返しておく。ほれ行った行った。」
ピルサド「ふっ、ではまた後で!!」
………
ピルサドT「……ごめんなさい、殿下には悪気はないのよ。ただ………ああいう性格だからとしか。」
八幡「気にしてないですよ。エアグルーヴ、お前も早く………うわ、なんかヤバい。」
ピルサドT「……っ!?」
エアグルーヴ「………八幡、私の相棒は誰だ?」
八幡「……俺だよな?他に誰か居るか?」
エアグルーヴ「あぁ、そうだろうとも。他の替えなど効かない私の1人だけの相棒だ。」
八幡「お、おう……」
隣には私が相応しい、か。その言葉、2度と口に出来ぬよう完膚なきまでに叩きのめす………
エアグルーヴ「行ってくる、八幡。」
八幡「おう、頑張ってこい。」
エ、エアグルーヴさんが掛かった?