八幡side
時は経過して今は放課後である。今俺は部室の中に待機していて、先生達はとある場所で待機してもらっている。エアグルーヴとフジが来たら驚くだろうな、いきなり先生と一緒に走るんだもんな。だが逆に考えればこれは願ってもない事だ。あの伝説のウマ娘とトレーニングが出来るのだ、プラスになる事が大いにあるだろう。俺自身、先生の走る姿は滅多に見た事が無い。現役の頃の映像は残っているのだが、画質が少し荒いせいか、細かな部分までは見られなかった。
だが今回はそれを間近で、それも肌で感じながらトレーニングを行える。クラシックレコードホルダーに加えて世界レコードも持っている先生の走りは一体どんなものなのか、俺もすっげぇ興味津々だ。
ガチャッ
フジ「やぁ八幡トレーナーさん、お疲れ様!」
エアグルーヴ「ご苦労だ、八幡。」
シービー「はっちま〜ん、来たよ〜♪」
八幡「おう、来たか。なんか呼んでもない奴も居るようだが、まぁいい。早速今日のメニューについて話す。聞いてくれるか?」
フジ「珍しいね、八幡トレーナーさんが間髪入れずに説明に入るなんて。」
八幡「ちょっと急ぎ目だからな、パパッと説明する。今日のトレーニングはマッチ形式で行う。」
シービー「……それって誰かと誰かが競うって事?」
八幡「そうだ。距離は2,400mの芝でやる。今のお前達なら走りこなせるだろう?」
エアグルーヴ「あぁ、誰よりも早く走破してみせる!」
フジ「私も来年のクラシックがあるから、ここは負けられないね。」
シービー「いよぉ〜し、張り切ってきた〜!」
八幡「んじゃ、準備が出来たら直ぐに行くぞ。」
あまり待たせてしまったら、プロフェッサーが愚痴るかもしれないし。
ーーーコース場ーーー
シービー「んんぅ〜……はぁ〜!よしっ、じゃあ早速アップから始めよっか!」
八幡「その前に、今日はちょっとした趣向を変える。さっきのメニューもそうだけど、人数を増やす。」
エアグルーヴ「今からか?」
八幡「安心しろ、その人にはもう許可は取ってある。じゃあお前等、後ろを見ろ。」
エ・シ・フ「???」
3人が後ろを振り返ると、そこには運動着を着た先生とクリップボードを持ってストップウォッチをぶら下げているプロフェッサーがこちらに向かって歩いてきた。凄いのがさ、歩いているだけでも迫力あるんだよなぁ………姿が大きいって意味じゃなくて、本当に存在感が半端じゃない。
タリアト「今日はよろしく頼む、急遽トレーニングに参加する事になったセクレタリアトだ。まぁお前達ならば知っているとは思うが、八幡の師だ。」
マンノウォー「今日は八幡と共にお前達のトレーニングを見るマンノウォーだ。孫弟子の育てているお前達がどのようなものか、見てやろうではないか!」
シービー「えぇっ!?八幡、ミスセクレタリアトが一緒にトレーニングをするの!?」
八幡「そうだ、お前達にも良い刺激になるだろう。先生が居るからって気後れする必要は無いからな?普段通りにやれ。まずはいつもやっているアップからスタートするぞ。」
俺がそう指示を出してから、4人はある程度固まりながらコースを走り始めた。
マンノウォー「しかし感慨深いものだ。まさかこうして孫弟子の横でトレーニングを見る事になるとは思わなかったぞ。今回、日本に来て正解だったようだ。」
八幡「プロフェッサーが先生に教えた時も、やっぱり最初は座学とか映像とかを見せながらやってたんですか?」
マンノウォー「私の場合はそうではない。単純に私とタリアトの波長が合ったから、だろうな。自分で言うのも変だが、私に並べる程の強さを持つウマ娘は今のところタリアトしか居ない。それに体格も似ていたからな、私の後継者はこの子だと思って教えたに過ぎんよ。」
八幡「けど弟子の弟子が俺でよかったんですか?ただの人間ですよ?」
マンノウォー「何を言うかっ!?こんなに可愛い孫弟子が出来たのだぞ!良かったに決まっているだろう!それに八幡の事をタリアトは嬉しそうに報告するのだからな、会ってみたいとばかり思いを募らせていだが、いざ会うと本当に良い子ではないか!」
……-こんな話を振るんじゃなかった。ただでさえ褒められ慣れてないのに、こんなにも言われるとは思わなかった。少し失敗だ。
あっ、先生もなんか色々と言ってるな、アレ。
八幡sideout
タリアトside
タリアト「フジキセキ、ランニングで腕を振る時はもう少し大きくても良い。君は少し狭過ぎる。」
フジ「分かりました。」
しかし、変な感覚だ。歳の離れたウマ娘とこうして共にトレーニングをする事になっているのだからな。提案したのは我が師なのだが、そうしなければこの娘達の実力を測る事は出来ない。良い機会だと思う事にしておこう。
エアグルーヴ「しかし、突然どうして?」
タリアト「君達の今の実力が知りたい、と言えば君は信じるか?」
エアグルーヴ「いえ、セクレタリアト殿はこのような事をするような性格には見えませんので。」
タリアト「まぁそうだろうな。だが今ではそう思っている。この世代のウマ娘達の実力はどれ程のものなのか、実際に走ってみれば、自ずと分かるものもあるだろうしな。」
それに、単純に気になったというのもある。八幡の育てたウマ娘の実力を、な。
これきっと凄い緊張すると思うんですよ。