マンノウォーside
アップの順序はスタンダードのようだな。だが八幡の細かさがよく伺える。走る前に手首足首や膝、股関節、腰を軽く回してからランニングに移っている。ランニングが終わったらスタティックに移っているが、これも脚から徐々に上に広げていってるのが分かる。ダイナミックの運動はあまり取り入れてはいないようだが、今回のトレーニングに合わせてという理由が強いだろうな。あまり長い時間はかけていないが、やっていないというわけではないからこれも問題は無い。
どうやら自分自身でも勉学を怠ってはいないようだな。それにタリアトに教わった部分もあれば、そうでないところも垣間見える。自分のオリジナルを混ぜているのだろう。それを踏まえて色々と計算し、ベストなメニューを作り上げた。普通の事だが、それを作り上げるには長い時間を消費する………全く、アメリカに今すぐ欲しい人材だな。
八幡「1周走り終わったら水分取って本メニューに移る!順は先生、フジ、エアグルーヴ、シービーの順で行く!あくまでもアップで走るペースで走れ!それ以上のスピードは出さないように!」
マンノウォー「………」
八幡「先生の逃げについていかなければいいんだが………なんかなりそうなんだよぁ………もしそうなったら注意しておくか。」ボソボソ
マンノウォー「………」
八幡「……あの、プロフェッサー?俺の方を見てるみたいですけど、何かありましたか?」
マンノウォー「いいや?前に見た時はまだ見習い程度だったお前が、ここまでに成長したのだと思うと、少し感慨深く思ってな。やれやれ、歳は取りたくないものだ。」
八幡「は、はぁ………」
マンノウォー「それにお前は気付いていないだろうが、後ろにはこの学園の生徒やトレーナーだけでなく、報道陣までもが押し寄せている。私はウマ娘だから耳が効くが、お前はヒトだからそこまでは気が付かなかっただろう?」
八幡「そうだったんですか………けどアイツ等気にした様子も無かったので。まぁそれも先生が居るからでしょうけど。」
マンノウォー「まぁそれもあるだろう。とにかくお前は後ろを向くな、向くのは担当ウマ娘の方向だけでいい。今の時間はそれ以外に気を向ける事は許されない。」
八幡「勿論、分かってますよ。それにもうすぐ帰ってきますしね。」
案の定、タリアトが後ろを離してこちらに帰ってきた。やはり現役から引退しても目を惹く走りをする。だが他の3人も良い動きだ。
八幡「よし、じゃあ水分補給してからマッチレースに移る。本当だったら1対1でやりたい所だが、1人抜いての3人対式で行う。まずはお前達3人で走れ。最初は先生が抜けるから、さっきの順で行くと先生が入ってシービーが抜ける、その次にシービーが入ってエアグルーヴが抜ける、最後にエアグルーヴが入ってフジが抜ける、ってパターンだ。そして最後に4人全員でのマッチだ。」
フジ「成る程ね……因みに八幡トレーナーさん、待ってる間はやっぱり休憩かい?それとも何か別のトレーニングを?」
八幡「休憩兼観察だな。見る事も大事なトレーニングの1つだ。相手がどんな動きをするのかもよく観察する必要がある。レースでもそうだろ?」
シービー「そうだね。私の場合は追込だからレース展開は窺えるけど、最後まで後ろに居たら追い越せなくなっちゃうしね。けどどうしてミスセクレタリアトを最初に抜くの?彼女全然余裕でしょ?」
八幡「そんなのお前達の動きを聞く為に決まってるだろ。俺じゃお前達の動きについていけないんだから。まっ、そういうわけだ。」
エアグルーヴ「だからセクレタリアト殿も一緒にトレーニングをさせた。というわけか?」
八幡「いや、それは絶対に無い。俺が先生を使うなんてヤバい事するわけ無いだろ。」
シービー「だよね〜八幡がそんな事したら、きっと怒られてるもん♪」
八幡「よしシービー、デスソースシュークリームかワサビシュークリーム、どっちが好きだ?」
フジ「おぉ、お仕置きにピッタリじゃないか!今度いけないポニーちゃん達にやらせてみようかな?」
シービー「謝るから許してっ!!」
エアグルーヴ「フジ、そろそろ準備をしろ。シービー先輩もそろそろお願いします。」
シービー「少しは私の心配もしてっ!?」
和気藹々としているな。八幡が作り、フジキセキが和ませ、ミスターシービーが破壊し、エアグルーヴが正す。非常に良い環境を作れているみたいだな。
八幡「よし、じゃあ始めるぞ。準備はいいか?」
3人「あぁ。(うん。)(オッケー!)」
八幡「ほいじゃ………」
ガッコン!!
ほう、音声を使ってのスタートか。これなら集中力も増す上にイメージも作りやすいな。
八幡「それで先生、3人の走りはどうでしたか?」
タリアト「ミスターシービー、エアグルーヴに至っては走法は完成していると言っても良い。あれが1番良い走りだな。フジキセキはまだ未完成のようだな。これから朝日杯FSなのだろう?大丈夫なのか?」
八幡「期間は短いですが、それに沿ったトレーニングはします。幸い朝日杯FSは3週間、有マは1ヶ月あります。それまでに仕上げて見せますよ。」
タリアト「要らぬ心配だったな。ならば私から言う事は無い。師よ、貴女からはどうだ?」
マンノウォー「こちらには無いものを色々と発掘しているようだな。さっきの音声を使ったスタートなんかが良い例だ。自身でも良く勉強しているのがよく分かる。メニューに関しては今言った通りだ。だが八幡、お前はまだ個では無く全で見る傾向がある。個人に向ける目も作るように。」
八幡「はい。」
タリアト「帰ってきたようだ……ほう、やはりシービーが1番速いか。」
八幡「先生もそろそろ準備をお願いします。」
タリアト「あぁ、久しぶりに【ビッグレッド】の走りを見せてやるさ。」
………後進の自信をなくさなければいいのだが。
流石はマンノウォー教授、よく見ていらっしゃる。