比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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バレてしまった秘密

 

 

八幡side

 

 

先生からの話を聞いてから数日が経ち、俺達……というよりもエアグルーヴ達の自分達に対する管理意識が変わっていた。トレーニング前や終了後、何なら途中でも身体や脚に異変がないかどうかを逐一報告するようになった。特にエアグルーヴは過去に熱発をやり過ごしていた事を謝罪して来た。今更そんな事は気にしていないが、エアグルーヴは謝罪をしていなかったからさせて欲しいと言って聞かなかった。

 

さて、今後の話をしよう。まずはエアグルーヴだが、有マ記念に向けての調整を始めている。エアグルーヴとしては初の長距離戦になる。気になるのはスタミナ面だが、前走のジャパンCであれだけの走りをしたから問題は無いだろう。スピードも申し分無い。今はかなり充実していると言って良いだろう。1つ気になるとすれば、身体の疲労だ。幾らエアグルーヴが強いとはいっても肉体的な疲労もある。少し羽を伸ばす必要があるだろう。

 

次にフジ。再来週の朝日杯FSは今の時点で不安要素は無い。他のウマ娘の出方次第ってところだろう。デビュー戦ではかなり派手に勝っちまったし、前走のもみじSでも短距離ながらも問題無く勝利を収めた。いきなりのGⅠレースになるが、フジならば問題は無いと思っている。今回はマイルを選んだが、2,000mのホープフルSでも充分通用するレベルには仕上げているが、これ以上レース間隔を開けるのは好ましくないと思ったから朝日杯にした。

 

 

ふむ、なかなか良い調子だと思わないだろうか?日々のトレーニングも順調だし、それ以外でもかなり充実した日々を送れているのではないかと思っている。まぁ何かとトラブルに巻き込まれる時はあるが、それを含めても良い感じだ。

 

そして今日はトレーニングを休みにしていて、俺も自由にしているわけだが、気が向いたから部室に向かっている。備品管理とかもまだだったしちょうど良いと思って向かっているところだ。

 

 

八幡「………ん?開いてる?」

 

 

あれ?部室の鍵閉め忘れたか?昨日はかけたと思ったんだがなぁ………

 

 

八幡「……っ!エアグルーヴ、どうした?自主練でもしに来たのか?」

 

エアグルーヴ「………」

 

八幡「……というかその箱って何……っ!」

 

 

エアグルーヴの目の前にあるダンボール、俺は見た瞬間こう思った。ついに見つかってしまった、と。

 

 

エアグルーヴ「………八幡。」

 

八幡「あぁ~………何だ?ていうかファンレター受け取ってたんだな。言ってくれたら俺が「誤魔化すな。」えら………あぁ。」

 

エアグルーヴ「……何枚かこの中身を見た。八幡、私はこれも担当トレーナーの仕事の1つだと理解している。だが1つ聞かせて欲しい、こんな内容の物が過去に幾つもあるのか?」

 

 

エアグルーヴが俺に見せてきたのはファンレター、というよりも誹謗中傷の文だった。勿論エアグルーヴにではなく、俺宛にだ。

 

 

『さっさとトレーナーやめろ!!!』

 

 

八幡「………まぁ、そうだな。お前が受け取る前に俺が選定してお前に渡してる。こんな物がお前の手に渡ったら大変だ………って思ってたんだが。」

 

エアグルーヴ「………」

 

八幡「隠してたのは悪かった。」

 

エアグルーヴ「いや、これもトレーナーの業務の一環だと言われればそれで終わってしまうし、気付かなかった私にも非はある。だが、謝意があるのであれば1つだけ私の願いを聞いて欲しい。」

 

八幡「何だ?」

 

エアグルーヴ「……あればの話だが、その文を私にも見せてほしい。」

 

八幡「「っ!?お前、自分が何言ってんのか分かってんのか?」

 

エアグルーヴ「理解している。この事をお前だけに抱えさせるわけにはいかん。」

 

八幡「………」

 

 

どうする?今のエアグルーヴは順調そのものだ。そのリズムを崩したくない。かといってここで断ったらそれがご破算になるかもしれない………

 

 

エアグルーヴ「八幡………」キュッ

 

八幡「っ!」

 

エアグルーヴ「………頼む。」

 

八幡「………少し待ってろ。」

 

 

俺は自分のデスクの1番下の引き出しの中に入っている金庫の中からゴムで留めて束になっている手紙を出した。

 

 

八幡「いいか、気分が悪くなったらすぐに読むのをやめろ。これは俺宛なんだからな。お前が無駄に傷付く必要は無い。」

 

エアグルーヴ「……分かった。」

 

 

エアグルーヴは手紙の束を受け取ると、椅子に座って封を解いてから読み始めた。流石に1人きりには出来ないから俺もその場でエアグルーヴが受け取った手紙の選定作業をする事にした。

 

 

ーーー数十分後ーーー

 

 

八幡「………ふぅ。」

 

 

さて、選定終了。エアグルーヴは……っ!!?

 

 

エアグルーヴ「………」ツー

 

八幡「お、おい!エアグルーヴ!!」

 

 

俺は急いでエアグルーヴから手紙を取り上げた。

 

 

八幡「言っただろ、気分が悪くなったらすぐに読むのをやめろって!お前泣いてんの気付いてるのか!?」

 

エアグルーヴ「………そうか、泣いていたのか私は。八幡、お前はいつもこんな物を見ていたのか?」

 

八幡「………まぁな。」

 

エアグルーヴ「……そうか。これからは私にも一緒に見せて欲しい。」

 

八幡「っ!おい、それはダメだ。こんなのお前でなくても負担が大き過ぎる。許可するわけには「私はお前に何も返せていない!」っ!」

 

エアグルーヴ「私は八幡に救われた、だというのにお前には何も返せていない……今になってそれが分かったのだ。それにお前は私達の見えないところで傷を負っていた、ファンレターを貰った時に気付くべきだったんだ!お前の世間からの評価を見比べてればすぐに分かる事だった……私は八幡の事を理解したつもりでいながら八幡の傷には今の今まで気が付いてやれなかった………だからこれからは私にもそれを共有させろ。お前の痛みを私にも分けろ。共に歩むのであれば、そういう事も知っておきたいのだ。」

 

八幡「……エアグルーヴ。」

 

エアグルーヴ「無論、これは同情などではない。気付かなかった私の落ち度であり、共に先を行くパートナーとして当然の行動だと思っただけだ。」

 

 

………これは何を言っても引き下がりそうに無いな。

 

 

八幡「……分かった、だがもう1度言う。不快になったらすぐに読むのをやめろよ。お前を泣かせてまで読ませようなんて気持ちは俺には無いからな。」

 

エアグルーヴ「あぁ、承知した。それから………少しでいい、こうさせてくれ。」

 

 

エアグルーヴは俺の肩に額をつけ、顔を胸に埋めて来た。書いていた内容が想像していたものよりも酷いものだったのだろう………今日の備品整理はやめて、エアグルーヴを慰める時間に使おう。

 

 

 




今でも無くならない八幡への誹謗中傷………
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