比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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トレーナーとして

シンボリルドルフside

 

 

………ふぅ、今日の業務も終わりそうだ。エアグルーヴもブライアンも良く働いてくれている。この2人がいなければ、この生徒会も成り立ってはいないだろう。特にエアグルーヴ、彼女の存在は必要不可欠となっている。流石は私の右腕だな。

 

 

エアグルーヴ「会長、本日の業務は全て終了しましたが、今後はどうされますか?」

 

ルドルフ「ふむ、今後は特に急を要する予定は無い。ならば久し振りに休みを取っても良いのではないか?時には身体を休める事も必要だ。」

 

ブライアン「………アンタが言う事か。」

 

エアグルーヴ「おいブライアン。」

 

ルドルフ「ふふ、構わないよ。それに「レース場であの噂のトレーナーがライスシャワーさんとミホノブルボンさんの走りを見てるんだって!」……む?」

 

「え、ホント!?けど何でその2人?」

 

「分かんない。けど次はブルボンさんの走りを見るみたいだよ!」

 

「ホントッ!?じゃあ早く見に行かなきゃ!」

 

 

………ほう。

 

 

ルドルフ「興味深い事をしているようじゃないか、比企谷トレーナーは。私はそちらを見に行くとしよう。」

 

エアグルーヴ「会長、私も気になりますのでご同行させて頂いても?」

 

ブライアン「………あたしも気になる。ま、勝手に行くだけだが。」

 

ルドルフ「ならば行こうか。」

 

 

シンボリルドルフsideout

 

八幡side

 

 

八幡「よし、じゃあ次はブルボンな。昨日の走りを見た限りで言うが、お前の走りは短距離向けだ。そのお前がマイルを走っている理由は知らんが、一時的にフォームの改善点を教えてやる。スパートは自身で考えろ。」

 

ブルボン「分かりました。」

 

八幡「よし、じゃあフォームからな。まずは………」

 

 

俺は自分の持っているマイル走法の知識をブルボンに教えた。後は彼女がどう走るかだ。昨日のレースでは良いとこ無しの結果だったが、これで少しは変わると思うが、走ってみないと分からんな。

 

 

ブルボン「では、準備に入ります。」

 

八幡「分かった。ライス、スタートの合図をしてもらってもいいか?手を上げて下ろすだけでいい。」

 

ライス「うん、分かったよお兄様!」

 

 

………ホント素直な良い子。

 

 

ライス「い、いちにちゅいて………よ、よぉ〜い………りぉん!!うぅ〜/////」

 

 

………上げて下すだけでいいって言ったのに。

 

だが何はともあれブルボンは良いスタートを切った。だがかなりスピードを上げてるな。おっ、少し抑えた。つーことは………逃げを想定してるのか。だがそれでもペースが速い。

 

 

ブルボン(トレーナーの言っていた事をロード………完了、及び実行。)

 

 

八幡「………どうやらさっき俺が言ったのは理解出来ていたようだ。さて、後は直線だな。逃げバテしなければ良いがな。」

 

ブルボン「ふっ…ふっ…ふっ…」

 

 

ピッ!

 

 

ブルボン「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

八幡「ん、お疲れさん。どうやら昨日よりは走れたようだな。」

 

ブルボン「はぁ……はい。トレーナーのおかげです。それで、如何でしたか?」

 

八幡「ん、今の走りなら1800mを目指しても大丈夫だな。そしてそれから徐々に距離を延ばしていけば、走れる距離の幅は増えると思うぞ。」

 

ブルボン「っ!本当ですか?」

 

八幡「あぁ。その代わり、メニュー内容がほぼ坂路ばかりの鬼メニューになるけどな。普通のトレーニングとは違ってキツいものになると思うぞ。自身の適性距離を伸ばすってのは想像以上に険しい道だからな。」

 

ブルボン「そうですか。」

 

八幡「まっ、お前も今のでマイルでもそれなりに走れるっていうのは分かっただろう。今までのお前の走りには改善点が多くあった。それを直すだけでも糸口ってのは見えてくるもんだ。」

 

ブルボン「っ………トレーナーの今の言葉を保存。」

 

八幡「え、何で?」

 

 

何故保存する?俺何も格言っぽい事なんて一言も言ってないぞ?

 

 

八幡「まぁいい。じゃあ2人はダウンに入れ。全力で走ったからストレッチも入念にしておけよ。」

 

ブルボン「分かりました。ではライス、行きましょう。」

 

ライス「う、うん!」

 

 

………ふぅ、まだ荒削りだが良い素質はある。ライスの場合、最初は活躍出来るレースが限られるだろうが、距離が延びてくると覚醒するだろうな。

 

ブルボンも最初は能力の幅を増やすのに苦労をしそうだが、それをこなしていけばクラシックディスタンスのレースも夢じゃない。

 

 

八幡「ったく、何でこうなったんだか……さて、じゃあ………えぇ?何だこれ?」

 

 

気付いたら後ろには大勢のウマ娘達やトレーナーが遠巻きにこちらを見ていた。まるで見物や観察をしているかのように。嘘だろ、なんか少ないなぁとは思ったが、こういう事だったのか………

 

 

ルドルフ「やぁ、精が出るね。」

 

八幡「見てたのか……」

 

ルドルフ「生徒が君の事を口にしていたものでね、気になって様子を見ていたのさ。しかし酷いな、私達の走りは見てくれないのかい?」

 

八幡「それは昨日見た。」

 

エアグルーヴ「それは他の生徒も交えてだろう。もっとよく見ようとは思わんのか?」

 

八幡「思わん。担当ならまだしも、まだ決めてもいないウマ娘の走りを見てもな。それに俺の場合、見るのは1度だけで良い。」

 

ブライアン「………何故だ?」

 

八幡「さぁてな。教えて欲しかったら担当になれるように頑張れ。俺がこんな事言うのは筋違いだがな。」

 

ルドルフ「通例ならば、な。だが私達は君に担当になって欲しいと頼んだ身だ。なら私達はそれに応えるようにするのみさ。」

 

八幡「そうかい……ん?」

 

 

ブルボンの奴………

 

 

八幡「………」スタスタ

 

エアグルーヴ「っ!お、おい!」

 

 

隠してたのか?いや、それともレース後か?

 

 

八幡「ブルボン、その左脚はいつからだ?」

 

ブルボン「っ!走りを終えた後です。大した痛みでは無かったので、報告する必要は無いと「お前は何を考えている!!」っ!!」ビクッ

 

八幡「今は軽い痛みかもしれん……だがその軽い考えが重症にも繋がるんだぞ!今までに何人ものウマ娘がその餌食になってる!?お前はデビューを迎える前に走れなくなりたいのか!」

 

ブルボン「っ………」シュン…

 

八幡「……悪い、熱くなった。少し患部を診るぞ。触られるのが嫌だとか気持ち悪いとかは禁止だ。」

 

 

………やっぱり左脚の跛行か、だが本当に軽くて良かった。それにレース後だというのも不幸中の幸いか。

 

 

八幡「取り敢えずはテーピングをしておく。いいか、今日から1週間は走るのは禁止だ。ランニングもだぞ?トレーニングをするのなら筋力トレーニングのみだ。ただし足に負荷が掛かるものはダメだ、いいな?」

 

ブルボン「………オーダーを受理。トレーナーからの厳命だと判断しました。」

 

八幡「ならいい………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「よし、取り敢えず応急処置は済ませた。だが一応病院で診てもらえ。今日はもう無理だが、明日は大丈夫だろう。連絡は俺が入れておく。」

 

ブルボン「………分かりました。」

 

 

……少し落ち込んだか?だがあのくらい厳しく言わないと怪我の恐ろしさってのは伝わらんだろうし………けど相手はまだ中高生だから、あの言い方はマズかったか。

 

はあぁぁぁ〜…………気は進まんが、仕方ない、やるしかないか。

 

 

ブルボン「っ!」

 

八幡「さっきは済まなかったな、怒鳴るように怒って。言い方は悪かったかもしれないが、それだけお前達ウマ娘にとって怪我ってのは恐ろしいものだってのは理解してもらいたい。」ポンポン

 

ブルボン「………」

 

八幡「まぁアレだ、今後は気を付けろよ。」

 

ブルボン「………ステータス【安心】を確認。トレーナーの手はとても落ち着く上に安心します。」

 

八幡「そ、そうか………」

 

 

いやただ手を頭に乗せてるだけなんだが?

 

 

八幡「ほら、お前達も着替えて寮に戻れ。ライス、済まないがブルボンの付き添いを頼む。無理はしないと思うが、念の為にな。」

 

ライス「うん、分かったよ。」

 

 

………取り敢えずは一安心、か。

 

 

エアグルーヴ「………ランニングで気が付いたのか?」

 

八幡「ん?あぁ。僅かではあったが身体が前のめりになってた。それを見逃すようじゃトレーナーなんて出来ねぇよ。」

 

エアグルーヴ「しかし、貴様の観察力は大したものだ。一目見ただけで分かるとはな。」

 

八幡「あぁ、だからさっき言っただろ。見るのは1度だけでいいって。」

 

ルドルフ「1度見ればそのウマ娘の歩行や走法を覚えられるから、かな?」

 

八幡「まぁそういう事だ。今回は気付くのに遅れちまったけどな。」

 

ブライアン「………つまりは、我々の動きも見ているから、僅かな変化でも異常があるのは筒抜けになっているという事だな?」

 

八幡「あぁ。分かってるとは思うが、あの言葉はブルボンだけに言った言葉じゃないからな。当然お前達やこの学園にいるウマ娘全員に言ったつもりだ。そうでもなければ、こんな痛み、この程度、このくらいならって考えで学園だけでなく、ターフやダートからも去る事になるかもしれないんだからな。」

 

ルドルフ「………君の言葉の重みが伝わったよ。今後は気を付ける事にする。どうやら教訓がまた1つ増えたようだ。軽い考えが大きな誤ちを呼び寄せる、軽率短慮は厳禁だ。」

 

エアグルーヴ「………はい、会長。」

 

ブライアン「あぁ……」

 

 

そういう風に気を付けてくれるのならトレーナー側も安心だろう。知ってて黙ってるのは最悪のパターンだけどな。

 

 

八幡「だがこのくらいの事、トレーナーとして当然の事だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




八幡がケガを隠していた事で怒………まぁ、分からなくもありませんが、そこまでするかい?

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