エアグルーヴside
夕食を食べ終わって、私達は鍋や食器を洗い終えた。のだが、他人の……それも八幡の家だからか、少し落ち着かん。今こうして私はソファに座って寛いでいるのだが、心の底からリラックスしているのかと言われたら、そうではない。逆に緊張の方が勝っていると言える。この家の主人である八幡は今、風呂を沸かしている。流石に沸かすくらいは1人で出来ると思った私は、八幡に任せてこうして待っているわけだ。
八幡「大体10分くらいしたら湯が溜まると思う。それまで少し待ってくれ。」
エアグルーヴ「あぁ、問題ない………」
八幡「………」
エアグルーヴ「………」
八幡「………」
エアグルーヴ「………」
か、会話どころか話題すら浮かばん………ど、どうするっ!?私がこの家に押しかけたようなものだ!流石に何かせねば恥をかくのは私自身だ!だがこの家に来て何をすればいいのか全く思い浮かばない!くっ、もっと事前に調べておくべきだった!
エアグルーヴ「………むっ?」
八幡「………」
エアグルーヴ「……八幡、ずっと気になっていたのだが、その頭頂部にある寝癖は何とかならんのか?」
八幡「ん?あぁこれアホ毛だから治らねぇんだよ。櫛入れても数分後には元に戻ってる。」
エアグルーヴ「……お前にそのような頑固な一面があったとはな。」
八幡「いや俺じゃなくて髪な?俺が頑固ってわけじゃねぇからな?勘違いすんなよ?そう言うお前も、何で前髪の一筋だけ真ん中にしてるんだ?」
エアグルーヴ「これは………こうなるのだ///」
いかん、大した理由も無いヘアセットだという事を知られたくないあまり、変な事を口走った!
八幡「何だよ、俺のアホ毛とあんま変わんねぇじゃん。お前の場合は櫛入れりゃ治るだろうけどよ。」
エアグルーヴ「私の前髪は八幡のアホ毛のように曲がったりはせん。」
八幡「だろうな。」
エアグルーヴ「……お前の髪質は柔らかそうだな。」
八幡「何だ急に?」
エアグルーヴ「いや、何でもない。」
八幡「………お前はサラサラしてそうだな。」
エアグルーヴ「っ!………撫でてみるか?」
八幡「はぁ?」
エアグルーヴ「過去にも撫でた事はあるだろ?あの時は急だったが、今は合意の上だ。」
八幡「………撫でられたいのか?」
エアグルーヴ「………今まで褒美らしい褒美を貰っていなかったからな、頭を撫でるだけでいい///」
八幡「………」
エアグルーヴ「………」
八幡「……風呂が沸くまででいいか?」
エアグルーヴ「………あぁ///」
八幡はそう言うと、私の頭を少し遠慮気味に撫でてきた。敏感な耳を避けながら丁寧に………あの時のような心地良さと気持ち良さが頭から身体に流れてきた。
エアグルーヴ「………///」
より強く感じたい私は目を瞑った。さっきまでの遠慮な撫で方は撫でるのに慣れたのか、さっきよりも撫で方が上手くなった。心地よさと同時に僅かな眠気も襲ってきた。
エアグルーヴsideout
八幡side
エアグルーヴ「………」
八幡「……っ。」
……エアグルーヴ、寝てるのか?肩に頭乗せるって事はそうだよな?起きてたらこんな事しねぇよな。やめたらなんか言われそうだし、このまま撫でるか。
八幡「………」ナデナデ
エアグルーヴ「………」
ーーー数分後ーーー
ピーピー!
八幡「っ!お湯溜まったか………」
エアグルーヴ「………」
八幡「……エアグルーヴ、風呂沸いたぞ?」コゴエ
エアグルーヴ「………」ギュッ!
おいマジですか?起きるどころか腕に抱き着いてきたんですがどういう事です?しかも瞼が開きません。肩から頭が離れません。完全に寝ていらっしゃるんですけど?
八幡「………後10分くらい待つか。」
エアグルーヴ「………」
ていうか、10分経ったら起きるのかコレ?
ーーー10分後ーーー
エアグルーヴ「………」
うん起きませんねコレは。でも流石に風呂にも入らないといけない。起こさないとな。
八幡「エアグルーヴ、起きろ。風呂沸いたのと10分延長してるからそろそろ起きてくれ。」
エアグルーヴ「ん、んんぅ………」
八幡「もう撫でる時間も終わってるぞ〜。」
エアグルーヴ「……むぅ、どのくらい経ったのだ?」
八幡「かれこれ20分は経ってる。」
エアグルーヴ「っ!?そんなに経ったのか!?す、済まない!寝るつもりは無かったのだ!」
八幡「いやいいって。それよりも風呂に入ってきたらどうだ?疲れてたんだろう、風呂に入ってリラックスしとけ。」
エアグルーヴ「あぁ、そうさせてもらう。」
八幡「分かってるとは思うが、風呂で寝るなよ?」
エアグルーヴ「大丈夫だ、風呂場では寝ない。」
何の根拠があってそれが言えるのやら………けど一緒に行くわけにもいかないからな、そしたら通報されて警察のお世話にされちまう。
エアグルーヴ「では申しわけ無いが、先に頂く。」
八幡「あぁ、行ってこい。あっ、風呂前に入浴剤があるから好きなの使っていいぞ。」
エアグルーヴ「あぁ、ありがとう。」
そしてエアグルーヴは風呂場へと向かって行った。
八幡「………ふぅ、有マの特集でも見るか。」
エアグルーヴ、無意識の甘えん坊に。