八幡side
桜が満開の4月の初め、つまりは入学式だ。若い子達がまたまた入学して来ましたね〜。だがこの中からとんでもなく光る原石が隠れているかもしれないしな。けどアレだよな、俺が此処に居ると完全に不審者だな。今年は去年と違って手伝いが出ないように予め準備をしていたおかげで、俺は呼び出されていない。つまりは朝からフリーの状態だ。いや、まぁ……アレだ、午後からはトレーニングするんだけどよ。
俺もこの場から離れて………ん?
「ねぇねぇ、あのトレーナーって!!」コソコソ
「うんうん!【天眼】トレーナーだ!!」コソコソ
「もしかして視察かな?私達の!」コソコソ
「き、緊張するなぁ………!」コソコソ
………なんか俺の方を見てコソコソされてるんだが。流石に俺みたいな目をした奴に見られてると、気味悪がられるに決まってる。仕方ない、俺もトレーナー室に戻るか。どうせ暇だし。
エアグルーヴ「八幡、此処に居たのか。」
八幡「?エアグルーヴ、どうした?」
エアグルーヴ「用というわけではないが、去年もお前はこうして校門前で新入生達を眺めていたとフジから聞いた。一応聞いておくが、去年のようなレースは行わないな?」
八幡「やるわけねぇだろ。そもそも俺は巻き込まれた側だぞ、景品にされたんだ。」
エアグルーヴ「ふっ、冗談だ。」
八幡「止めろよ心臓に悪い………」
フジ「おやおや、お2人共どうしたんだい?新入生のポニーちゃん達を品定めかい?」
八幡「違ぇよ、去年の事を話していただけだ。」
フジ「あぁ〜……去年は模擬レースをしたっけ?いやぁ〜楽しかったなぁ♪」
いやもうホントに頼むから今年はそういうの勘弁して欲しい。それにレースも近いから、2人にそういうのは流石にさせたくもないしな。
「わぁ〜凄い、勢揃いしてるじゃん!」コソコソ
「うんうん、比企谷トレーナーにエアグルーヴ先輩、フジキセキ先輩!!今すっごく勢いのあるトレーナーとウマ娘だよ!!」コソコソ
「私もあのトレーナーの担当になって、あの2人と一緒に走りたいなぁ〜!」コソコソ
うわぁ……またコソコソされてるよ。
フジ「ふふふっ、やっぱり人気者だね八幡トレーナーさんは♪」
八幡「は?今のを見てそう思うのかお前は?」
エアグルーヴ「そうか、八幡は聞こえていないのか。少ししか聞こえなかったが、彼女達の会話は私達の事とお前の担当になりたいという会話だったぞ。」
八幡「そうなのか?」
フジ「寧ろ八幡トレーナーさんのウマ娘達からの評判はすこぶる良いと思うけどね。君に悪い事を言う人なんて、君の事を全く理解してない人くらいだろうしね。理解出来ないよ、こんなに良いトレーナーに悪口を言うなんて。」
エアグルーヴ「全くだ。1つたりとも、1ミリも理解は出来んな。まぁ仕方あるまい、人を誹謗中傷する事でしか存在意義を示せぬ者など、所詮はその程度の器なのだ。」
八幡「………お前等、最近何かあったか?」
フ・グ「……別に。」
八幡「?」
フジ(あったさ、あぁそうさあったよ!八幡トレーナーさんをバカにする人が居るから、その人に向かって言っただけさ!だって許せなかったし!)
エアグルーヴ(八幡、お前は知っているとは思うが口に出さないだけだろう。だが私の了見はそれ程浅くはないのだ。自身のトレーナーを誹謗されて何も思わないわけが無い。)
八幡「……なら良いが、副会長が此処に居ていいのか?残りの仕事は?」
エアグルーヴ「後の事は入学式の進行役だけだから時間までは自由だ。故に時間まではお前と共に居る事にしたのだ。」
八幡「そ、そうですか………」
フジ「私も暇だし、トレーナーさんと一緒に居ようかな♪トレーニングの時間までまだあるし、ポニーちゃん達が寮に入る時間だってまだ先だしね。」
八幡「そ、そうですか………」
シービー「おっ、八幡じゃん♪チーム八幡の皆さんお揃いだね〜!あたしも混〜ざろっと♪」ダキッ!
学園側からシービーが声を掛けてくると、当たり前のように俺の腕に抱き着いてきた。ていうか何でシービーは俺の腕に抱き着くんだ?この4年間、トレセン学園で過ごしているのだが未だ謎である。
エアグルーヴ「シービー先輩、流石に新入生の前でそのような姿を晒すのはどうかと思うのですが?」
シービー「えぇ〜良いじゃん別にっ♪」
フジ「シービー先輩は相変わらずですね〜。」
八幡「てか離れろ。」
シービー「ヤダッ♪」
はい、予想通りの答えをありがとうございます。
シービー「それでさ八幡~、今年はやんないの?去年みたいな模擬レース。」
八幡「いや、やんねぇよ?ていうか何で模擬レースやる事になったんだっけ?」
エアグルーヴ「……確か、お前とのデート権を賭けて、だったな。今年も開催するのなら、私も参加したいと思っている。」
八幡「いやダメだからな?お前今週は大阪杯だからな?本番前に何全力出そうとしてんだよ………」
エアグルーヴ「むぅ………そうか。」
シービー「ふふぅ〜ん……じゃあ今年はあたしかな?八幡、あたしとデートしない?」
フジ「じゃあ私もそのデートに申し込もうかなぁ?八幡トレーナーさんとデートしたいのは私も同じだしね。どうかな、八幡トレーナーさん?」
八幡「いや、俺に言われても………てかお前もダメだからな?今トレーニングをハードにしてる最中だろ?そんなお前に脚壊すような事はさせられねぇよ。」
フジ「そっかぁ……楽しそうだったんだけどな〜。」
はぁ………去年みたいな事が起きなくて良かった。
八幡とのデート権賭けてのレース、今年は見送りかな?