八幡side
さて、ウイングアローの動きを見る約束までは大丈夫だ。後はライスに声をかけるか。しかしタイミングも大事だよなぁ………カフェテリアなんかでこの話をしたら1発OUTなのは間違いない。うぅむ………あっ、なら今日フジのトレーニングに付き合ってほしいって名目でライスの時間を貰うってのは………いや、なんか騙すみたいで申しわけ無い。
八幡「どうしたものか………」
ライス「お兄様、どうしたの?」
アルダン「お悩みですか、兄様?」
八幡「ん?あぁ、まぁな。ちょっとライスに用があるんだが、どう誘おう………ん?」
ライス「?ライスに何かお話があるの?」
oh………神よ、貴方はご褒美もくれるけど試練もくれるのね?
八幡「あぁ~……まぁその通りではあるんだが、ちょっとこの場所では言いづらくてな。」
ライス「も、もしかして……ライス何か迷惑な事「してないからその発想はやめろ。」う、うん……でも、それだったらお兄様がライスに用事なんて、あまりないと思うんだけど………」
言える筈ないだろ、目の前に俺じゃないとトレーナーは嫌だとか断言した奴が居るんだぞ?そんな奴の前でスカウト出来ると思うか?無理だろ!どんな無理ゲーだよ!?
アルダン「……兄様、もしや他人に聞かれたらあまりよろしくない事なのでしょうか?」
八幡「……まぁ、そうだな。(お前だよお前っ!!)」
アルダン「でしたら、中庭に行きませんか?」
ライス「ふぇ?でも今の時間に行ったら逆にたくさん人が居るんじゃ………」
アルダン「ふふふっ、大丈夫ですよ。」
八・ラ「?」
ーーー中庭ーーー
ライス「あれ、あんまり他の人が居ない?」
アルダン「この場所はこの時間になると風が強くなるので、あまり他の人は来ないんですよ。それに、今の時期はまだ残寒がありますからね。いくら春とはいえ、寒い日はありますから。」
八幡「知らんかった………」
アルダン「この場所でしたら、お話をされても大丈夫だと思いますよ?」
八幡「……そうだな。(なんも解決してないけど。)」
ライス「それでお兄様、お話って?」
ぐっ………ライスの目が痛い、こんな純粋な目をして待ってくれてんのに、またの機会にするのはそれはそれで申しわけ無い。だがアルダンにもこうして案内してもらった手前、俺から此処から去るのは問題があり過ぎる………
………仕方ない、もうハッキリ言うしか無い。
八幡「実はライス、俺はお前をスカウトしようと考えている。内容はコレを見てくれ。」
ラ・ア「………」
ライスは当たり前だが、アルダンすげぇ食い入るように見るじゃん。え、そんなに?そんなに俺の担当になりたいのか?
ライス「………ねぇお兄様、ライスでいいの?本当にライスなんかでいいの?」
八幡「俺はお前を選んだんだ、お前の長距離の、ステイヤーとしての才能はこの学園の中でもトップクラスだ。GⅠで最長の天皇賞・春だったらライバルは多いかもしれないが、それ以上の距離でも俺は充分走れる脚を持っていると思ってる。例えば……世界最長距離のGⅠレースであるゴールドCの4,000m、とかな。」
ライス「ふぇ!?」
八幡「例えばだ。それでどうだ、ライス?俺の申し出、受ける気はないか?」
ライス「で、でもライスよりも速いウマ娘は居ると思うよ?それに、長距離だってもっと走れる人が……「……じゃあこういう言い方をする。」え?」
八幡「俺は今の段階で長距離ではライス以外選択肢に無い。つまりは今のところお前しか候補に無いって事だ。ライバルも居ない。」
ライス「………」
八幡「まぁ別に断ってもいい。俺はただスカウトしているだけだし、無理強いなんて出来ない。ライスが決めればいい、今決められないのなら時間をもやるしな。誰にも言わない事が条件だがな。」
ライス(ど、どうしよう……こんなチャンスなんてこれを逃したら絶対に来ない。でも、ライスがお兄様のチームに入ったら迷惑じゃないかな?だってライスはダメな子だし、皆の足を引っ張っちゃうんじゃ………)
アルダン「兄様、私はこのチームの候補には入っていないのですか?」
八幡「………そうなるな。」
アルダン「兄様もご存知の筈です、私は兄様以外のトレーナーと契約を結ぶつもりはありません。私も兄様のチームの末席に加わらせてください!」
八幡「お前の意志は確かに聞いているから知っている。1年前に聞いたしな、だが………」
アルダン「私の力不足は私が1番よく分かっています。他の方と見劣りするのも……しかしそれはこれから覆してみせます!兄様、どうかお願いいたします!!」
八幡「………」
やっぱこうなったか……だがどうする?ぶっちゃけアルダンは中距離型のウマ娘だ。その枠は既にシービーで埋まってる。中距離が走れるって事はマイルでも力を発揮出来るかもしれないが、それだとアルダンの脚が壊れないかが心配になる………
たづな「あら、ライスシャワーさんにメジロアルダンさん、それに八幡トレーナーも。もしかして勧誘ですか?」
八幡「えぇ。しかし少し困ってまして……」
俺は現状の説明を駿川さんに説明をした。
たづな「成る程……定員オーバーになってしまうからどうしたら良いか悩んでいると。」
八幡「はい。」
たづな「でしたら少々お待ちください。」
駿川さんが電話をし始めた。もしかして理事長か?
ーーー数分後ーーー
たづな「お待たせいたしました、先程理事長と今の件についてお話をしました。」
アルダン「そ、それで!理事長はなんと?」
たづな「そのままの言葉を伝えます。『承知っ!!比企谷トレーナーのウマ娘からの信頼は重々理解している!!よって、枠を1つ増やす事とする!!そのようにしてウマ娘の方から希望するのは、比企谷トレーナーの日々のウマ娘とのコミュニケーションの賜物とも言える!!』以上です。なのでメジロアルダンさん、スカウトの件は無事に認められましたよ。」
アルダン「で、ではっ!!」
八幡「………ふぅ、お前の熱意には負けたよ。俺のチームに入ってくれるか?」
アルダン「〜っ!!勿論です、これから「ラ、ライスも!!」っ!ライスさん?」
ライス「ライスも……お兄様のチームに、入りたいです!!ライスも、お兄様のスカウト、受けます!!」
八幡「……そうか。じゃあ2人共、まだチームの結成にはなってないが、よろしく頼む。」
ライス「うん、よろしくねお兄様!!」
アルダン「よろしくお願いいたします!」
たづな「ふふふっ、美しいですね♪」
理事長、今回ばかりはナイスプレーです!!