比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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最後のチャンス

 

 

八幡side

 

 

アロー「はっ……はっ……はっ……」

 

八幡「………」

 

アロー「はっ……はっ……ふぅっ!!」

 

 

……短距離はまずまずってところだが、マイルから中距離に関しては良い脚をしている。大体マイルから中距離の適性だな。脚質は差しか追込だな、直線に向いてからのスピードの上がりが凄まじい………まさに矢だな。

 

 

アロー「はぁ……はぁ……どうでしたか?」

 

八幡「……想像してた以上の走りだった。ダートであれだけの追込が出来るウマ娘はそう居ない。良い脚を持っているな。」

 

アロー「あ、ありがとうございます!」

 

八幡「よし、そろそろ向こうも終わる頃合いだし、お前も少し脚を伸ばしたらダウンに入れ。短距離にマイル、中距離と走りっぱなしだったからな。」

 

アロー「分かりました。」

 

 

これはスカウトしないとな……まさかあれだけの素質を持っていたとはな。だが何であんな走りが出来るのに今まで誰もトレーナーがつかなかったんだ?確かにダートは芝に比べるとやや見劣りはするが、地方に行けば人気はグンッと高まる。まぁ此処は中央のトレセン学園だから、地方のレースに行けばエリートだなんだのと言われる可能性は否めないしな。

 

 

八幡「さて、俺は………」

 

シービー「はっちまん♪」

 

八幡「……シービーか。」

 

シービー「どうだった、アローは?」

 

八幡「良い走りをする。今まで声が掛からなかったのが不思議なくらいだ。」

 

シービー「あぁ〜やっぱり八幡もそう思う?実はさ、すっごい単純な理由だよね。」

 

八幡「ほう……それは?」

 

シービー「実際の走りは良いんだよ、それはあたしが八幡に推薦したから分かると思うけど……ほら、八幡なら知ってて当然だと思うけど、ダートって追込が効かないでしょ?差しでもギリギリって感じだから、幾ら凄い走りを披露しても適性と脚質で今まで声がかからなかったんだよ。」

 

八幡「………」

 

シービー「あの子自身も凄く悩んでた。脚質適性を上げようともしてたし、芝のトレーニングもしてた。でも根本的な能力は変えようが無い………八幡も分かるでしょ?適性を上げるのは簡単じゃないって。」

 

八幡「あぁ……」

 

シービー「だからあの子は半分諦めてたんだ。一時期はダートで追込って珍しい子が居るって噂になってたけど、それだけ。そんな脚質でダートじゃ追いつく前に相手がゴールしちゃうって。トレーナーや教官にも言われたんだって。」

 

 

だからか……半分、諦めたような目をしていたのは。

 

 

シービー「ねぇ八幡、あたしがあの子を八幡に紹介したのは勿論あの子の素質もだけど、もう1つあるんだ。」

 

八幡「………それは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「お疲れさん、今日も終わったな。」

 

エアグルーヴ「あぁ、そうだな。では八幡、どうするのだ?」

 

八幡「え、何が?」

 

フジ「そりゃ決まっているじゃないか。ウイングアローの事だよ。」

 

アロー「え、私ですか?」

 

フジ「うん。私達も気になるしね。チームを作る以上、私達にだって関係のある事だし。」

 

八幡「……そうだな。」

 

エアグルーヴ「それで、どうするのだ?」

 

八幡「………」

 

アロー「あの、トレーナー。無理して考える必要は無いですから。スカウトの件でしたら、私からお断りしますので。」

 

エアグルーヴ「何?」

 

フジ「えぇ!?」

 

アロー「いいんです、私よりも優れたウマ娘は居ると思いますので、その子を選んであげてください。」

 

 

………なんて言おうか考えてただけなのによ。

 

 

アロー「ではしつれ「待て、俺の言葉も聞かずに行っちまうのか?」………だって、トレーナーもそうですよね?今までのトレーナーと同じ事を考えてる筈です。」

 

八幡「あぁ、確かに思った。ダートにおいて追込は不利だ、直線の短いレース場なら尚更、な。」

 

アロー「やっぱり。だから「だがそんな単純で浅慮な理由では俺の思いは変わらん。」……え?」

 

八幡「さっきシービーから聞いた、お前の此処に来てからの事を。聞くんじゃなかったよ、誰が言ったのかは知らんがその教官もトレーナーも碌な奴じゃない。そんな事でウマ娘の可能性を捨てるような浅はかな奴だからな。気に入らねぇよ………だがそれはお前も同じだ。」

 

アロー「……私も?」

 

八幡「その諦めたような目が気に入らない。まさかとは思うが、期待半分諦め半分で今日のトレーニングを走ってたのなら、俺やシービーの見込み違いか?」

 

アロー「ち、違う!私は諦めてなんて「だったらなんでそんな目をしてやがる?」っ!そ、それは………」

 

八幡「俺に断られるのを分かってて走ったんじゃないのか?いや、もしかしたら脚質の時点で断られるかもって思ってたんじゃないのか?」

 

アロー「………」

 

八幡「図星、か………だがお前には追込しか無い、ならそれを武器にしろ、そいつを生かせ、それしかお前には無い。今のお前はただの置かれているだけの鈍だ。幾ら上手に飛んでも的に刺さらないような状態だ。自分の殻に塞ぎ込んでるような状態だ。俺がその鈍を名刀に変えてやる。」ペラッ

 

アロー「っ!!」

 

 

俺はチームの契約書を机に置いた。

 

 

八幡「その机に置いてある1枚の紙切れがお前にとって最初で最後のチャンスだ。今この場で決めろ。鈍で終わるか、どんな相手でも追い抜く矢になるか。」

 

アロー「………本当に………くれるんですか?」

 

八幡「ん?」

 

アロー「トレーナーは、本当に私を変えてくれるんですか?こんな私を……」

 

八幡「それはお前次第だ。お前が本気で勝ちたい、変わりたいって思うのなら、俺はとことん付き合ってやるよ。お前がウチを抜けない限りずっとな。」

 

アロー「………」

 

エアグルーヴ「悩む必要など無い。お前はただどちらかを決めればいい、入るか入らないかをな。誰も責めはせん。だが、此処がお前の分岐点だ。」

 

アロー「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてアローはダートの枠に【ウイングアロー】と自身の名前を書いた。

 

 

アロー「トレーナー、私を強くしてくださいっ!!」

 

八幡「あぁ、よろしくな。」

 

 

こうして、俺のチームのダート枠はウイングアローに決定した。

 

 

 




ーーーおまけーーー

シービー「ねぇ八幡、あたしがあの子を八幡に紹介したのは勿論あの子の素質もだけど、もう1つあるんだ。」

八幡「………それは?」

シービー「あの子は周りのトレーナーや教官達、同じダートのウマ娘の影響で自分を卑下するようになってるの。あたしはあの子の実力は本物だと思ってる、だから八幡………」

八幡「………」

シービー「あの子を……アローを助けてあげて。」

八幡「………俺の中ではアイツって決めてっからそこは心配すんな。まぁ後は………展開次第だな。」

シービー「……うん、お願い。」

八幡「あぁ、俺もアイツは逃したくないしな。」


実はこんなやり取りがありました。

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