八幡side
ウイングアローのスカウトに成功してから2週間が経過した。今日は3冠路線第1弾の皐月賞だ、フジにとって1番経験のあるコースでの戦いになる。実質ホーム戦みたいなものだ。これまでこのレース場で2戦して2勝してるからな、それは大きな強みとも言える。
シービー「それで八幡、フジの調子は?」
ウイングアロー「やっぱりトレーナーがついてたから、万全の状態ですか?」
アルダン「フジキセキさんの様子を見る限りは大丈夫そうに見えましたが………」
ライス「う、うん……大丈夫かなぁ?」
………いや、別に良いんだけどなんで居るの?一応この席って俺とエアグルーヴしか入れない筈なんだけど?君達まだチーム結成してないから部外者なんだけど?
八幡「仕上がり自体は上々だ。充分な実力は出せる。それに今のフジの目標はダービーだからな、ここで躓いたら一気に勢いは無くなると思ってる。」
エアグルーヴ「おい、滅多な事を言うな。」
八幡「確かに今の発言はフジの担当としては失格だとは思ってる。だがエアグルーヴ、よく考えてみろ。レースにおいてあってはならない事はなんだと思う?」
エアグルーヴ「あってはならない事?」
八幡「あぁ。それはある意味では理想な事だが、ある意味ではとてつもない重圧でもある。今のお前が1番よく分かっている事だと俺は思う。」
シービー「ねぇ〜八幡〜教えてよぉ〜!」
大人しく待てないのか、この構ってちゃんは?
エアグルーヴ「……済まん、分からん。」
八幡「……正解は……『絶対』だ。」
ライス「え、どういう事?」
八幡「ライスにも質問をするぞ。お前は自分が確実に勝てるレースで勝って嬉しいか?」
ライス「……ううん、嬉しくない。」
八幡「そうだろ?そんなのはただの出来レースだ。今回の皐月賞をそうだとは言わないが、周りの連中を見てみろ。全員フジが勝つって思い込んでる。」
アロー「……確かに。」
八幡「確かにフジは強い、そんな事は俺とエアグルーヴが1番よく分かっている。だが万が一って可能性だってあるんだ。それにこれだけ注目を浴びてるんだ、激しいマークをされてもおかしくないって事だ。」
シービー「その中でスタミナを消耗し過ぎて、直線で伸びない………ってところかな?」
八幡「1つの仮説としては、そんなところだな。色々想像するだけでも嫌になりそうだけどな。」
………さて、フジの所に行くか。
ーーー控え室ーーー
フジ「やぁ八幡トレーナーさん、準備は出来てるよ。今回はどんな風に走ろうか?」
八幡「そうだな……フジ、なるべく先団につけてくれ。そうだな、逃げている奴の後ろが1番良い。」
フジ「もっと後ろに控えないのかい?」
八幡「言いたい事は分かる。だが今回のレース、今までで1番厳しいレースになると思う。お前に対するマークはかなり激しいものになる。それを見越しての作戦だ。」
フジ「うん、分かったよ。八幡トレーナーさんを信じるよ。じゃあ逃げたウマ娘の後ろに着くようにするよ。幸い私は6枠の11番の少し外側だけど、周りを見やすい枠順だからね、見計らって前につけるようにするよ。」
八幡「あぁ、頼んだ。」
フジ「うん、それじゃあ行ってくるよ!」
八幡「あぁ、行ってこい。」
………この作戦が当たってくれれば良いんだが、流石にこの中じゃあこの作戦を出すのが精一杯だ。フジをいつものように中団で脚を溜めながらレースをしようものなら、きっと前に出られなくなるだろう。そのくらい今日の皐月賞は難しいレースになる。
ーーー観客席ーーー
八幡「戻ったぞ〜。」
ライス「あっ、お帰りなさいお兄様。」
アルダン「お飲み物はいかがですか?」
八幡「あぁ、貰う。」
エアグルーヴ「……珍しいな、お前がこうも落ち着かないとは。」
ライス「ふぇ、そうなの?」
エアグルーヴ「普段はこうではない。もっと落ち着き払った雰囲気を纏っている。だが今日はいつものと違う、期待と不安の半分といったところだろうか。」
八幡「……流石は4年の付き合いなだけはある、よく見てんだな。ホントその通りだよ。」
アロー「凄い、ホントに当たってたんだ………」
シービー「八幡、心配する事なんてないよ。フジならきっと自分でも活路を見い出せる筈だよ。」
八幡「……そうだな、今更俺がどうこうしても仕方ないしな。俺達はただ信じてフジを応援する、それだけだな。」
アルダン「その通りです、兄様。私達は私達の出来る事を精一杯するのみです。」
ふぅ〜……なんか吹っ切れた。そう思ったらなんか腹減っちまったな、でも今言うタイミングじゃないと思うし………どうしよう。
ライス「あっ、そうだお兄様!焼きそば食べる?さっきね、ゴールドシップさんがおかしな法被を着ながら売ってたんだ。ライス食べてみたんだけど、美味しかったよ!」
アロー「……今から大事なレースよ?それなのに食事って「ライス、お前は本当に良い子だな。」………え?食べるんですか?」
八幡「あぁ。不安が吹っ切れたからか、腹減ってたんだ。ライスは本当に良い子だ。」
ライス「お、お兄様、褒め過ぎだよ〜……でも嬉しいなぁ、ありがとう///」
何でこんなに良い子に育ってしまったんだろう?ライスだけは守護らねぇとな。あっ、焼きそば美味い。ゴルシ良い仕事するな。
ネタが無いからって最後雑になってしまいました………