フジside
………八幡トレーナーさんの言ってる事がなんとなく理解出来たよ。皆からの視線をよく感じるよ。見られてる、警戒されてる、観察されてる、そんな視線を身体中に刺すかのように。
これは少しトリックを仕掛けた方が良いかもね。八幡トレーナーさんとの作戦を台無しにするわけじゃないけど、最初はちょっとだけ彼女達を惑わせた方が良いかもしれない。その方が観客も喜ぶと思うしねっ♪
フジ「はぁ……骨が折れそうだね。」
実況『中山レース場に集った若駒17名が第1関門の皐月賞に挑みます!本日は残念ながら1名がレース除外となってしまいましたが、観客席からの熱気は収まるところを知りません!注目株はやはりジュニア王者のフジキセキでしょう。この仕上がりにこの落ち着きですからね。』
解説『シニアクラスのウマ娘と間違えそうなくらいの落ち着きですよね。中々居ないですよ、大舞台に来てこんなに落ち着いているのは。去年の朝日杯FSの時と比べても見違える程の成長ですからね、今日も期待出来ますよ。』
実況『そして今、ウマ娘達がゲートへと収まっていきます。まず最初は偶数番から収まっていきます。さて残るは奇数番号ですが、フジキセキはあっさりとゲートイン完了です。2番人気ライバルのダイタクテイオーも収まって、最後に大外17番3番人気のホッカイルソーも簡単にゲートに収まりました!最も速いウマ娘は誰だ!?クラシック第1弾第1関門皐月賞、栄光の1冠目をかけて………』
ガッコン!!
実況『スタートしました!!横一線綺麗なスタートです!!さぁ誰が前に行くか?タヤスツヨシは後ろに下がりましたが、フジキセキが前に行くか!?今日は逃げ宣言かフジキセキ!?並びかけてくるのはマイネルブリッジとジェニュインです!第1コーナーを右にカーブして先頭から見ていきましょう!』
ふふふっ、やっぱり先頭は譲らずに来たね。そして運良く私はインコースに入れた。後は最後の直線までこの位置で脚を溜める事に専念しよう!
実況『先頭マイネルブリッジ1バ身のリード。その後ろピッタリとフジキセキ、隣にはジェニュインと並びかけるように外からダイタクテイオーも上がって来ました。その後ろ、バイタルフォースとオートマチック、オグリワンの3人!2コーナー回って中団にはハシノタイユウ、イブキタモンヤグラ、フライトスズカ。グローリアスユーも上がって来ました!ホッカイルソー、テイエムロケット同時に上がってきた!そして後方グループにマイネルガーべ、イブキインターハイ、少し遅れてエアジャスティスとなっています!さぁこれから3コーナーカーブに差し掛かろうとしています!』
っ!前の子がちょっと外に出た!でもまだ、まだ追い出さない……直線に入ってからが勝負、今はまだ脚を使う所じゃない!
実況『ほぼ団子状態、固まりながらの展開となりました!マイネルブリッジ、ジェニュイン、ダイタクテイオーハシノタイユウの4人が先頭並んでいる!!フジキセキはまだ後ろに控えている、ゴーサインはまだか!?スパートはまだ先か!?後ろからはホッカイルソー、オートマチック、フライトスズカ、バイタルフォースここも4人固まって4コーナーから直線に向いて真っ向勝負、意地のぶつかり合いだ!!』
よしっ、ここからだ!!!
解説『さぁ先頭はマイネルブリッジとジェニュインの叩き合いか!?ダイタクテイオーとハシノタイユウは伸びて来るか!?後ろからタヤスツヨシとホッカイルソー良い脚で上がってくる!!更に内から!!内から一気にフジキセキが途轍もない脚だ!!さぁまだだ、まだ坂がある!!中山レース場、鬼の急坂はまだ続く!!さぁフジキセキ抜けている!!フジキセキが先頭だ!!リードをみるみる広げている!!』
凄い、脚がまだまだ軽い………この坂を登ってもまだ伸ばせる!!
実況『フジキセキ3バ身のリードで今ゴールインッ!!今日も最内から!!直線一気豪快に突き抜けました、11番のフジキセキです!!とんでもない脚を披露しました!!』
フジ「はぁ……はぁ……ふぅ………」
……っ!息をもう整えられる。これが八幡トレーナーさんの考えたトレーニングの成果!弥生賞では息を整えるのに時間が掛かってたのに、今はもう………これならダービーでも!!
フジsideout
八幡side
ライス「凄いよ!内側から皆追い抜いちゃった!」
シービー「直線勝負に徹したって事かぁ……成る程、それならあんなに前の位置に居たのも納得出来るね。これも八幡の作戦?」
八幡「いや、恐らくフジのアドリブだろう。俺は最初、逃げろとも言ってないし、内側から仕掛けろとも言ってない。逃げてる奴の後ろにつけろくらいしか言ってない。」
アルダン「ではあの走りはフジキセキさんが想定して作った展開、だと?」
八幡「そういう事になるな。しかし、位置取り争いをさせる為にわざわざ逃げうつフリをするなんてな……やれやれ、これには俺も恐れ入った。」
アロー「トレーナーも予想外だったんですね?」
八幡「そりゃな。それを言うなら今でも無敗のままでいるエアグルーヴだって予想外だし。」
エアグルーヴ「お前の指導のおかげでこの成績だというのに、何だその言い草は?」
八幡「いや、実際どっかで負けると思ってたんだが、一向に負けないからすげぇなぁって。」
エアグルーヴ「八幡自身がか?」
八幡「お前に決まってんだろ、何で自分を褒め称えにゃならん?意味無いって。」
まぁ兎に角、これでダービーの出走権は手に入れたな。残り1ヶ月も気を抜けないな。
フジキセキ、見事な作戦勝ちでしたね!