八幡side
チーム・ポラリスとして活動を始めてから1週間。デビューしているのは2人だけで、他のメンバーはまだデビュー前という状況だが、元々の素質が良いからか、皆それなりの動きにはなってきている。シービーはチームになる前からトレーニングに参加する事が多かったから当たり前だが、それ以外のメンバーの走りも中々良い。それにだ、以前ならエアグルーヴとフジ、シービーのみのトレーニングが今では最大8人でのトレーニングが可能になったのは大きい。
見た感じではあるが、デビューをする順はライス、モーリス、シービー、バクシンオー、アロー、アルダンの順番だな。
まずアルダンは脚元の不安を出来る限り無い状態でベストの走りをさせたいから。
アローはダートで不利な追込で追い上げられるように徹底的に脚のキレを上げたいから。
バクシンオーは距離だ。恐らくだがバクシンオーは短距離しか走れない。マイルは多分だが無理だと思ってる。そこは追々、だな。
シービーはもっと早いデビューでも良いとは思うが、ポテンシャル的に強いシービーを見せたいからっていうのが1番だ。
モーリスもシービーと大体同じだが、成長速度がかなり速い。晩成型って言ってたが、今ので晩成型なら後半は化け物級に強くなる。今の内にレースの世界を知ってもらう為、だな。
そしてライスだが、今の内に走れる距離を走っておくってのが最大の理由だ。ライスは長距離が得意なウマ娘だから、最初の内は活躍出来る場面がかなり絞られてくる。だから距離の適性を少しでも広げておきたい。
八幡「……まっ、こんなところか。けど今はダービーに集中だな。フジの2冠がかかってる。フジが出たいって舞台に出られるんだからな、なるべく最高の状態で出させてやりたい。」
エアグルーヴ「1人言、また出ているぞ?」
八幡「っ!済まんエアグルーヴ、どうにも俺はこの癖は治らないみたいだ。」
エアグルーヴ「度々あるが、迷惑だと思った事は無い。それだけお前が我々に真剣に向き合っていると理解が伺える。八幡も気にするな。」
八幡「そう言ってもらえると助かる。」
エアグルーヴ「……やはり厳しいのか、ダービーは?」
八幡「適性はお前に比べると寂しいって感じだが、走れないってわけじゃない。去年の先生とのトレーニング、忘れたか?2,400mを走り切ってるから問題は無い。後はレースでの駆け引き、だな。」
エアグルーヴ「……ふむ、成る程な。」
八幡「今のフジを見る限り距離の壁は何とかなるが、他のウマ娘との駆け引きが重要だ。相手は自分と同じ年齢で選ばれた17人だ。相応の実力を持っている。ならこっちも持てるだけの武器を用意しなきゃ相手に勝てないからな。」
エアグルーヴ「確かに……それをダービーまでに身に付けさせる為にあのトレーニングというわけか?」
八幡「まぁな。フジには後ろから追い込まれる形になると思うから、シービーとアローに追い込まれた時の粘りをつけさせるって作戦だ。意外と泥臭いところあるしな、フジにも。」
エアグルーヴ「………随分とよく見ているな?」
八幡「そりゃ担当だしな。」
エアグルーヴ「担当が私しか居ない時はそんな態度、少しも見せなかったような気もするが?」
八幡「あん時は契約があったしな、無駄な事はしないようにって決めてた。言ってもしょうがねぇやって思って頭ん中にしまってた。」
エアグルーヴ「………」
いや黙るなよ………しょうがないだろ、最初の俺達はそういう関係だったんだから!
八幡「けど今は違うだろ?」
エアグルーヴ「……うむ、そうだな。私もそう思う、今は良好な関係を築けている。」
八幡「あぁ。」
エアグルーヴが薄く、そして優しげに微笑む。最初の頃は見せなかったが、今ではそういう風に笑うようになった。
シービー「ちょっとー、何してんのさー?」ムスゥー
八幡「ん、何がだ?」
エアグルーヴ「?」
シービー「なぁ~に2人だけの空間作ってるのさー。ちゃんとフジやあたし達の動きを見てたのかなー?ねぁ~どうなの八幡~?」ジトォー
八幡「お前は何言ってんだよ………それに、トレーニングなら見てたに決まってんだろ。」
エアグルーヴ「それとシービー先輩、2人だけの空間と言いますが、そのような空間は作っていません。」
シービー「ほほぉ~う?八幡に向かってあんな優しげに笑うエアグルーヴをあたしは今まで見た事ないけどなぁ~?」
アロー「……確かにエアグルーヴさんのそういうところ、見た事無いかも。」
※私も見た事ありませんねぇ〜?
エアグルーヴ「お前もそんな事を言うのか……」
バクシンオー「やややっ!?何やら賑やかですが、なんのお話をしているのですか!?」
モーリス「何を話してたんですか?」
フジ「この2人が2人だけの空間を作ってイチャイチャしていたって話さ。」
モーリス「イ、イチャ!?」
エアグルーヴ「フジ!!誤解を生むような事を言うな!!そのような事実はないっ!!」
シービー「エアグルーヴ、八幡は渡さないからねっ!!あたし負けないよ!!」ダキッ!!
エアグルーヴ「何の事ですか!!?」
八幡「ほらほら、お前達もそこまでにしろ。モーリスがショート寸前だ。モーリス、先輩達が言った事は気にするな。悪ふざけ兼おバカな会話だから。」
………そうだよな?
バクシンオー「ふむ……よく分かりませんが、トレーナーさんがとてもモテている、という事ですね!?」
シービー「っ!!………て、天才?」
八幡「バカな事言ってねぇではよダウン行け。」
エアグルーヴ「貴様、偶に出てくるな?」
生焼け肉「偶には僕も会話に混ざりたいんですよ。誰も聞こえてないみたいですけど。」
エアグルーヴ「当たり前だ。それから私のあの笑顔を見た事がないと言ったな?あれは本当か?」
生焼け肉「………嘘です、本当はエアグルーヴ編で何回か見た事あります!」
エアグルーヴ「ほう、嘘をついていたのだな?」
生焼け肉「っ!!お、お願いします、出荷だけは!!出荷だけは勘弁してください!!」
エアグルーヴ「まだ何も言っておらんだろう………」
以上、茶番です。