フジside
フジ「はぁ……はぁ……はぁ……」
ライス「はぁ……ふぅ……フ、フジさん大丈夫?」
フジ「はぁ……はぁ……う、うん…大丈夫だよ。それにしても、こんなに違うとはね……この前走ったダービーなんか比じゃない、肺がもっとギュッと締めつけられるような感覚………これが今の私の限界、か。」
ライス「でもダービーは走り切れたんだよね?」
フジ「うん。でもギリギリだったんだ。ライスも見てたなら分かると思うけど、走り切った瞬間に脚の力が全て抜け切っちゃうくらいだったんだ。ダービーでギリギリだったから、今度の菊花賞は更に自分を追い込まないと走り切るなんて不可能だからね。」
今のままじゃダメだ………トレーニングメニューを決めたのは昨日からだけど、このままじゃ淀の3,000mを最初から最後まで全力で走り切る事は出来ない。
八幡「焦るな、フジ。」
フジ「八幡さん………」
八幡「トレーニングはまだ始まったばかりだ。急に適性が上がるわけではない。今、お前の肺は味わった事の無い苦しみにもがいてる状態だ。その状態に慣れた時、そこまでの適性が出来上がったって事になる。今はそれを着実にしていく。たとえこの2ヶ月が終わったとしても、トライアルレースを抜きにすれば3ヶ月の時間がある。そこはお前の仕上がり具合で決めていく、だからそんなに焦るな。」
ライス「そ、そうだよフジさん。お兄様の言う通り、確実に伸ばしていこうよ!始まったばかりなんだからこれからだよ!」
フジ「……そうだったね、うん。ごめんよ2人共、ちょっと必死になってたよ。」
八幡「焦りを持つのは仕方のない事だ、クラシッククラスでは最初の長距離コースになるんだからな。けど今はこの坂路をライスと一緒にやって全てについて行けたら一応の合格ラインだ。それからはコース場で模擬レースってところだな。」
ライスとの坂路併走を全てついていけて一応なんだ………厳しいね。でもこのくらい厳しくないとやり甲斐もないよね!
ーーートレーニング後ーーー
アロー「大丈夫ですか、フジ先輩?」
エアグルーヴ「今日も随分とフラフラだな。」
フジ「あはは………今日も脚にあまり力が入らないよ。生半可じゃないね、このトレーニングは。」
八幡「俺が言えた口じゃないが、大丈夫か?」
フジ「少し時間を置けば治るから大丈夫だよ。それに、八幡さんから入念にケアを受けてるから。」
八幡「それなら俺が寮まで「結構だ!!フジは私とアローが責任を持って栗東寮に送り届ける!!八幡の手を煩わせるわけにはいかないからな!!」え、そ、そうか?ていうか何でエアグルーヴが言うんだ?」
フジ「因みにどうやって運んでくれるんだい?」
八幡「……まぁダービーと同じように、だな。」
フジ「………え、遠慮するかな///」
八幡「そうか。まぁあの運び方は流石に恥ずかしいよな。けどあの時は仕方ないと思ってくれ。」
フジ「そ、それは分かってるから!」
♪〜♪〜
八幡「ん?電話か……っ!先生。」
エアグルーヴ「タリアト殿から?」
アロー「タリアト殿?」
フジ「八幡さんの師匠だよ。ほら、去年この学園に来たんだけど覚えていないかい?背の高い栗毛の。」
アロー「っ!!あの【ビッグレッド】の………」
八幡「もしもし、比企谷です。ご無沙汰しています、先生………はい、ありがとうございます……はい、フジにもそう伝えておきます……え、今後ですか?フジと相談した結果、菊花賞に向かいます。今はそれに向けてトレーニーングをしています………え、それって本気で言ってますか?」
え、どんな話をしてるの?
八幡「……確かにそれならウチのメンバーの能力を飛躍的に高める事が出来ますが、ウチのチームにはデビューを控えているのが半分以上居るんです。あまり現実的には思えませんが?………いえ、日程までは。ただ2人くらいは8月頃にデビューさせようとは思っています………え、そっちのメイドンにですか?」
メイドン?何かの用語かな?
八幡「………先生、少し時間を貰っていいですか?流石にこれは俺1人では決めかねます。チーム全員と相談して決めたいです。なるべく早い段階でお返事はします………はい、では。」
エアグルーヴ「八幡、大丈夫か?何やら今後に関わるような話に思えるが………」
八幡「あぁ。今先生から提示があってな、アメリカでトレーニングを行わないかってな。」
フジ「アメリカでっ!?」
八幡「あぁ、それもこの2ヶ月間丸々だ。」
アロー「それって大丈夫なの?」
八幡「基本的には問題無い。海外で過ごして日本でデビューしたって例もあるからな。先生はそれを逆でやろうとしてるって意味もあるけどな。」
エアグルーヴ「こちらではなく、アメリカでデビューという事か?」
八幡「あぁ、しかもこれは前例すら無い事だ。普通はその国籍や地域で実績を積んでから海外レースをやるのが殆どだ。デビューを海外でやるなんて事例は俺の知る限りでは日本でも海外でも存在しない。」
フジ「でも何でそんな事を急に?」
八幡「恐らくはお前だろう。先生はお前のレースも見ていたらしくてな、しかも今後の事を言ったら『アメリカで鍛え上げてみたい。』なんて言ってな。」
フジ「………」
八幡「だが流石にこれは俺1人で決められないと思ったから全員に話す。まぁ既に3人に聞かれてるけどな。とりあえずはまた明日だな。」
………アメリカでのトレーニング、かぁ。
フジの鬼トレーニングが始まった!
そして先生からまさかのアメリカで!?