比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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1週間経って

八幡side

 

 

この学園に配属されてから1週間が経った。もうそろそろ俺も腹括らないとな。担当を決めなければ。それに、配属されてから2日の模擬レース以降、多くのウマ娘からスカウトを受けた。これでは悩むばかりで担当を決めるどころでは無くなる。早急に決めなくてはならないのは分かっている。

 

これ以上待たせるのは、相手にも悪い印象を持たせるかもしれないからな。もう腹括って自分の直球で決めるというのも1つだ。後は相手が了承してくれるかどうかだな………そればかりは分からないからな。

 

 

 

八幡「はぁ………あの人からの教えとはいえ、流石にこれは待たせ過ぎか?ウマ娘をよく見ろとは教わったが、これじゃ間に合わなくなるかもな………」

 

黒沼「よぉ比企谷、此処いいか?」

 

八幡「あぁはい、どうぞ。」

 

黒沼「あぁ………それで、此処に来て1週間経ったわけだが、お前決めたのか?」

 

八幡「いえ、まだ決めてません。心配かけてすいません、優柔不断で………」

 

黒沼「いや、無理もないだろう。不安でもあるが、それが聞けて少し安心してもいる。安易に決められるようなウマ娘達ではないからな。この学園に来てからの評価が高い奴等が殆どだ。慎重なくらいが丁度いい。」

 

八幡「ありがとうございます。少し気が楽になりました。黒沼さんはどうですか?入って来たウマ娘って居るんですか?」

 

黒沼「あぁ、何人かはな。だがやはりお前の噂の方がデカい。そっちに興味を持たれるのだろう。俺の方にはあまり寄り付かなかった。」

 

八幡「なんか、すいません……」

 

 

正直、本当に噂とかいらない。何でこんなにも目立ってしまったんだと過去の自分を呪う。

 

 

黒沼「気にするな。それだけお前が注目されているって事でもある。この世界は実力主義だからな。弱い者は強い者に淘汰される、そういう世界だ。」

 

八幡「………そうっすね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

担当バを決めたは良いが、そういう時に限って会えなかったり都合が悪かったりする事ってよくあるよな。いや、まだ決まってないから今がその時ではないんだが、なりそうで怖いってだけだ。にしても………

 

 

八幡「朝からご苦労だな、メモリー。」

 

メモリー「トレーナーさん、おはようございます!!自分は風紀委員ですから、こうして挨拶するのは当然っス!!」

 

八幡「そうか。まぁ、頑張れよ。夢中になり過ぎてHRに遅れないようにな。」

 

メモリー「はいっス!!」

 

「あっ、トレーナーさんおはよぉ〜!」

 

「おはようございます〜♪」

 

八幡「おう、おはようさん。」

 

 

俺も大分慣れてきたのか、挨拶されても吃らなくなった。最初は緊張して学生相手にも敬語をしてたもんだが、あれだけの視線や好奇に晒されれば嫌でも慣れるものだ。今では俺の目を見ても避ける事をするウマ娘はいなくなっている傾向にある。だがまだ0ではない。ちょっと悲しい………

 

 

エアグルーヴ「全く、朝からなんだその姿勢は?なっとらんぞ。」

 

八幡「?おぉ、エアグルーヴか。」

 

エアグルーヴ「もっとシャキッとせんか、貴様はトレーナーなのだぞ。そんな立ち振る舞いでは寄り付く者も寄り付かんぞ。その猫背は何とかならんのか?」

 

八幡「これが俺のデフォなんだよ。この歳まで来るともうどうにもならん。諦めてる。」

 

エアグルーヴ「そこまで歳には見えんが?」

 

八幡「俺、一応23だからな?高校前からこの姿勢が形成されてたらもう治んねぇよ。」

 

エアグルーヴ「10年以上もその姿勢なのか………」

 

 

別に俺はこれが悪いとは思ってない。人それぞれ個性があるんだ、皆違って皆良いって言うだろ?それだよそれ。

 

 

カフェ「おはよう、ございます。トレーナー、さん。」

 

八幡「ん、おはよう。一応持って来てはいるが、飲むか?」

 

カフェ「っ!頂きます。」

 

 

俺は鞄の中から水筒を取り出して中身を注いでからカフェに差し出した。

 

 

カフェ「んっ……はぁ………至福です♪」

 

エアグルーヴ「おい、何だそれは?」

 

八幡「ただのコーヒー。」

 

カフェ「とても美味しいです……トレーナーさんの淹れたコーヒーは時間を置いても美味のままです。」

 

八幡「そいつは何より。」

 

ルドルフ「ほう、興味深いな。なら私にも1口頂けないだろうか?」

 

八幡「ルドルフ……生憎だが、これはカフェ専用でな。お前の口に合うかどうか分からんぞ?」

 

ルドルフ「私もよくコーヒーは口にしているのでな。それでどうだろうマンハッタンカフェ、私にも貰えないだろうか?」

 

カフェ「別に構いません、どうぞ。」

 

ルドルフ「済まない、では一口………ほう、確かにこれは美味い。苦味がやや強いが渋みは全くないな。」

 

???「ふむ、トレーナーさん。そのコーヒーの細かな分量をお聞きしてもよろしいですか?」

 

八幡「っ!?フラッシュか………脅かすなよ。そう言われると思って、ほい。分量のメモ。言っとくがブラック用だからな、ミルクとか砂糖を入れての分量とかは載せてないからな。」

 

フラッシュ「ありがとうございます、トレーナーさん。」

 

八幡「ていうかお前等早く学校に行け、遅刻するぞ。」

 

ルドルフ「ふふふっ、この時間に登校して遅刻する例は聞かないな。」

 

八幡「いや、まぁそれはそうだけどよ……」

 

 

嫌でも注目されんだよ、特に君だよ会長さん。お前がいるだけで周りが遠巻きにこっちを見るんだよ。勘弁してくれホントに。いやそれよりもだ、何で皆さん俺の所に来るんですかね?

 

 

エアグルーヴ「そう言いながらも、お前も学園に行くのだろう?こうして話をしているのだ、別々に行く理由なんてあるまい?行くぞ。」

 

八幡「いや、俺は「おやおや、トレーナーさんじゃないですか、おはようございます。」……フジ。」

 

フジ「朝からご苦労様だね、さすがは今話題のトレーナーさんですね。人気者は辛いのでは?」

 

八幡「あぁ、だから早く学園に行こうぜ。もうこの視線やだ、トレーナー室に引き篭もりたい。」

 

カフェ「とてもトレーナーの言葉には思えません。」

 

八幡「ほっとけ。ああそれとカフェ、ついでだからこれもやる。要らんかったら誰かにやっても良いし捨ててもいい。」

 

カフェ「………これは?」

 

八幡「久しぶりにクッキー焼いただけだ。色んな味作ったから、コーヒー渡すついでにと思ってな。」

 

フラッシュ「色々な味……」

 

八幡「プレーン、チョコ、抹茶、コーヒー、紅茶、ココナッツ、まぁこのくらいだな。」

 

ルドルフ「ほう、そそられるじゃないか。もしかしてこれで全部かい?」

 

八幡「何だ、食いたいのか?」

 

ルドルフ「此処にいる皆は、少なくとも味に興味があると思うぞ?」

 

八幡「………今度作ってやるよ、だから今日はダメだ。どうしても欲しいのならカフェに頼め。」

 

ルドルフ「ふふふっ、約束だぞ?」

 

八幡「わーったよ、んじゃ学校行くぞ。いつまでも此処にいたらマズい事になる。」

 

エアグルーヴ「?何かあるのか?」

 

八幡「胃袋ブラックホールにクッキーを見られたら、100じゃ足らんくらいのクッキー作らないと行けなくなるだろうが。」

 

ルドルフ「それはもしかすると、オグリキャップの事かな?」

 

八幡「ソイツ以外にこのあだ名をつけられるウマ娘を俺は知らねぇ。」

 

フジ「あはは………君はオグリキャップを何だと思ってるんだい?」

 

八幡「今言っただろ?胃袋ブラックホール。」

 

フラッシュ「全く冗談に聞こえませんが………」

 

 

当たり前だろ、本音なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ーーーおまけーーー


オグリ「………」

タマモ「ん?どしたんやオグリ?」

オグリ「いや、最近食堂のご飯を食べても満たされない事が時々あるんだ………」

タマモ「………マジかいな、ソレ?ソレ大問題ちゃう?いつからや?」

クリーク「あらあら大変ですね、どこか身体が悪いんですか?」

オグリ「いや、体調は悪くないんだ。どうして………っ!!」

タマモ「ど、どしたん?なんか思い当たる事あったんか?」

オグリ「そうだ………これはあの時、トレーナーからおにぎりをもらった時からだ!あの味、故郷のトメさんが作ってくれた味にそっくりだったんだ!!」

クリーク「あらあら、トレーナーさんはお料理も出来るんですね〜。」

オグリ「……思い出したらお腹が空いた。」

タマモ「ちょい待ちや!!お前さっき食堂でたらふく食ったやないかい!!まだ食うつもりかいな!!?」

オグリ「トレーナーのおにぎりは別腹だ。」

タマモ「おにぎりは主食や!!デザートちゃうわ!!」

クリーク「トレーナーさんは本当にオグリちゃんの胃袋を掴んでしまったみたいですね〜。」

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