八幡side
高松宮記念から数週間が経った。あの敗北を経てからのフジは益々トレーニングにのめり込むようになった。のめり込むとは言っても無茶をするようなレベルでは無い。時間内の中で自分の限界の1歩手前まで追い込んでいるような感じだ。休む時は休んでいるんだが……少し気かがりではある。それとは関係無く、初の負けの日にフジが俺にくっつくようになっただろ?その日以降、何故かフジが俺に事ある毎に抱き着くようになってしまった………朝登校の時や昼飯、放課後のトレーニング前や終わった後、めちゃくっついてくんの。あれって何?どういう事?癖になったのか?離れろと言ったら力強めるし、試しに頭撫でたら耳垂れてリラックスし始めるしで、俺も絶賛頭お抱え中の状態だ。
八幡「いや、ホントマジでどうしちまったんだ?」
エアグルーヴ「何だ?フジの事か?」
八幡「あぁ……お前もあの日見たろ?ヤバくなかった?しかもその後の日からすげぇ抱き着くし。」
エアグルーヴ「そうだな……『上の者がなっていない!』と言われればそれまでなのだが、逆にフジがお前に取っている行動は学園の全生徒が既に知っている。寧ろ……いや、これはやめておこう。(応援している者が居るとは言わないでおこう。)」
八幡「?まぁいいけどよ、備品どうだ?」
エアグルーヴ「……問題無い、これだけあれば充分だろう。済まない、手伝ってもらって。」
八幡「いや、気にすんな。生徒会も大変だろうしな。忙しさを知ってるから手を貸してやりたくもなる。それに俺自身暇だったしな。」
エアグルーヴ「しかし、理事長は何故今回も八幡にサブトレーナーをつけなかったのだろうか?」
八幡「自信無くすからじゃね?先輩達とかも言ってたぞ、もし俺がサブに来たらメイン譲るって。」
エアグルーヴ「………まぁ、お前の指導力を知ればそうなるのは必定か。」
何だよ、人を異常みたいな言い方しやがって……
ーーー生徒会室ーーー
エアグルーヴ「会長、ただいま戻りました。」
八幡「う~っす。」
ルドルフ「ありがとうエアグルーヴ。八幡君もご苦労だったね。」
八幡「別に、暇だっただけだ。」
エアグルーヴ「素直じゃない奴だな。」
ルドルフ「ふふふっ、まぁいいじゃないか。ところで八幡君、今年のスカウトはどうなんだい?」
八幡「するつもりは無い。お前は?」
ルドルフ「いつになったら私に声をかけてくれるのかと待っているのだが、一向にその気配がなくてね………どういう事なんだい、八幡君?」
八幡「何でだろうな、俺にも分からん。」
ルドルフ「……本当にシービーのようにやってみた方がいいかい?」
エアグルーヴ「会長……何をするおつもりですか?」
ルドルフ「何、トレーニングに参加したり、腕に抱き着いたりするだけさ。お昼も共にした方が良いかな?一緒に食事をしているのだろう?」
八幡「勘弁してくれマジで。お前がマトモじゃなくなったらこの学園崩壊する。」
ルドルフ「では次のスカウトの時には期待して良いという事かな?」
八幡「まぁ、トモがマトモだったら考える。」
ルドルフ「……ふふふっ♪」
エアグルーヴ「?」
……今の分かったのか?
ルドルフ「しかし最近ではフジキセキも君にご執心のようじゃないか。どうしたんだい?最近の君達は距離がかなり距離が近いようにも見える。」
八幡「それはフジに聞いてくれ、俺だってサッパリなんだからよ。」
ルドルフ「そうなのか………止めろとは言わないが、程々にしてくれ。一応は健全な学舎なのだからな。」
八幡「それフジに言ってくれないか?俺からやってるわけじゃねぇんだから。俺からやったらキモい上に犯罪っぽくなるからやらんし。フジには言ったのか?」
ルドルフ「いいや、まだ言ってはいないが伝えるつもりではいる。」
うん、言うならフジに言ってくれ。少しでも控えるように言ってくれればそれで良いから。まぁやめてくれるのが1番なんだけどな。
エアグルーヴ「とはいえ、お前から言うのが1番なのではないか?」
八幡「そうは言うがな、俺を言ったら力強めて抵抗するんだよ………どうすればいいんだよ、アレ。俺にはもう手段がねぇぞ?実力行使なんてもってのほかだし。」
ルドルフ「目に余るようだったら言ってくれれば良いさ、フジキセキも分かってくれるだろう。彼女もそこまで狭量じゃない筈だ。」
そうだといいんだけどなぁ………
ーーー庭ーーー
ホント、言って分かってくれればそれに越した事は無いんだけどね〜。でもフジだからな、言えば分かってもらえるとは思うんだよな。シービーなら駄々こねると思うが、フジなら大丈夫……だよな?
フジ「おや、八幡さんじゃないか♪」
八幡「え………フジ?」
フジ「奇遇だねこんな所で、お散歩かい?」ギュッ!
八幡「まぁ、そんなところだ(何の躊躇も見せずに手を握って来た………)」
フジ「そっか……じゃあご一緒にどうだい?私も少し暇を持て余していてね。八幡さんと一緒なら楽しめそうだしね♪」ダキッ
八幡「それは構わないが……フジ、やはり毎度毎度抱き着くのはやめてくれないか?人の目とかあるだろ?エンターテイナーなんだから少しは気にした方が良いと思うぞ?」
フジ「八幡さん、私は君と2人の時間を楽しみたいんだ。他の人の目なんて、私は気にしないよ。」
ルドルフ、こりゃダメですわ。そもそも取り合ってももらえませんです。それに離す気も無さそうだし。
フジ、遠慮が無くなってますね。