八幡side
アイリッシュセントレジャーから3日後、俺達は2週間と数日滞在していたアイルランドから日本に帰っているところだ。と言ってももうすぐ着くんだけどな。しかし、帰り際には驚いたもんだ。あれだけの人に見送られるのもそうなんだが、ピルサドだけでなくまさか国王陛下や王妃様まで来るとは思わなかった………しかもだ、イギリスのダンシングブレーヴ王までも『素晴らしいレースをありがとう。』のお言葉を頂いただけでなく、『次は我が国でもその力を見せて頂きたい。』とも言われた。流石にそんな頻度で海外は行かないっす、とは言えず、その場では一応前向きに検討するとは言っておいた。
しかし、初めての海外遠征がこんな快適な空の旅になるとは思ってもいなかった。だってシービーの時もそうなんだが、俺の行き帰りにも2人だけの飛行機を使わせるとは思わなかった。ピルサド、無理はしてねぇだろうか?お金とか大丈夫………だよな?王族だからその辺は大丈夫だとは思うが………うぅむ。
にしても隣に居るこの子は………本当にアイルランド3冠を獲った俺の担当ウマ娘なのかねぇ?乗ってから数時間空の旅を過ごしているのだが、全く離れない。最初は少し退屈そうにしていたが、少し(といっても1〜2時間くらい)経つと眠った、俺の腕に抱き着きながら。そして今に至るのだ………まぁ当然か、アイルランドの昼に出たから時間的に夜中だが、日本では真っ昼間だ。今の内に寝ておいた方が良いのかもしれない……夜眠れなくなるとは思うけど。
八幡「けど離してくれないんだよなぁ………」
シービー「んふふぅ〜♪」
八幡「まっ、もう着くから問題は無いけど。」
『皆様、当機は着陸に備え高度を下げてまいります。お座席、テーブルは元の位置にお戻しになり、シートベルトをご着用ください。』
八幡「漸く着陸の挨拶か……少し遅いが着くまでは俺も少し寝ておくか。」
ーーー数十分後ーーー
シービー「……まん、……ちまん、八幡!」
八幡「ん、んぅ……シービー、着いたのか?」
シービー「うん、着いた!もう日本だよ。もしかして八幡もグッスリ眠ってた感じ?」
八幡「いや、俺は着陸の挨拶を聞いてから少しだけって感じだ。別に眠くはないから大丈夫だ。お前は?変な感じとかはしないか?」
シービー「うん、平気♪八幡と一緒だったから!」
八幡「意味分からん。」
ーーー荷物受け取り場ーーー
シービー「うわぁ〜凄い人、この前の時より多くなってない、アレ?」
八幡「仕方ないだろ、前回のとはわけが違う。海外でのGⅠ、ダービー制覇もかなりのものだが、今回は3冠を持ち帰っての帰還だ。騒がれても仕方のないって事だ。それに見てみろ、前回と違ってテレビ局まで来てる。許可も取ってないのにインタビューする気満々だなありゃ。」
シービー「八幡、この場合ってインタビューって受けた方がいいの?」
八幡「いや、もし受けたら足止めをされてるのと同じだと思った方がいい。何度も質問されてキリが無くなるだろうし、何より許可も得てないのに取材に応じる必要も無いしな。スルーでもいいだろうが、ファンの声には応えてやれ。」
シービー「でもそれで八幡が嫌な感じに言われるのはあたしやだよ?」
八幡「何で俺が出てくるんだ?関係無くね?」
シービー「関係あるよ!あたしのトレーナーだよ!!それに……ねぇ、アレってフジじゃ無い?」
八幡「え?」
俺がシービーの指差す方を見てみると、確かにアレはフジだった。笑顔で俺達に向かって手を振っている。よく見るとチームメイトに先生達も一緒だった。1番嬉しいお出迎えだな。
八幡「まず1番先に行くとすれば、あそこだな。」
シービー「うん、そうだね♪」
八幡「荷物取ったらすぐに行くか。」
シービー「うん、皆には悪いけどチームが大切だもんね♪久しぶりだなぁ〜。」
俺達は流れてきた荷物を受け取って、出口から出た。空港の係員にされているにも関わらず、勢いが凄かった。あの走りにシービーのファンがとんでもないくらいに増えたのだろう。その中には当然取材のスタッフも居たのだが、空港の係員が優秀なのか近付けずにいた。そのおかげで俺とシービーは楽にチームの所に行く事が出来た。
エアグルーヴ「お帰り八幡、それにシービー先輩も。改めて3冠達成おめでとうございます。」
フジ「とても素晴らしいレースでしたね♪」
シービー「いやぁ〜八幡のおかげだよぉ〜!」
アロー「けど海外遠征で現地のウマ娘を相手にあれだけ差を広げるなんて凄いです。」
バクシンオー「直線での走りは目を目張るものがありましたね!私も見習おうと思いました!!」
ライス「お兄様もお疲れ様。」
アルダン「長旅、ご苦労様でした。それとこれで3つの3冠を獲得しましたね。」
タリアト「見事な采配だった、流石は我が弟子だ。」
マンノウォー「まさかこんなにも早く異国の3冠を獲るとはな……末恐ろしい孫弟子だ。」
八幡「褒め過ぎですよ、褒めるのならシービーにしてください。俺はシービーの手伝いをしたに過ぎないんですから。」
タリアト「だとしてもだ、海外で実力を出すのは容易な事ではない。それで3冠を獲ったのだ、最早誰もお前の実力を疑ったりはしないだろう。」
八幡「そうだといいですけど。」
タリアト「だが気を抜くな。これからは秋のGⅠシリーズが続く。初戦はフジのスプリンターズS、春の雪辱を見事に果たして見せろ。」
八幡「……はい。」
タリアト「……まぁ、堅い話はここまでにして。帰ろうではないか、お前が居るべき場所へと。」
そして俺達は先生達が乗って来たとされるミニバスに乗って学園へと帰る。
日本に帰還、と同時に秋のGⅠ祭りが目前。