エアグルーヴside
レース当日、漸く私の女帝としてのスタートラインだ。此処から始まるのだ………
八幡「気負い過ぎるな。」
エアグルーヴ「っ!」
八幡「表情にまで出てるぞ。適度な緊張感はプラスだが、過度な緊張は自分への重圧にしかならないぞ。冷静になれ。」
エアグルーヴ「………あぁ、分かっている。」
♪〜♪〜
実況『札幌第5レースに出走予定のウマ娘は、着替えを済ませてパドックまでお集まりください。』
八幡「……時間みたいだな。」
エアグルーヴ「あぁ、行ってくる。」
八幡「あぁ。」
ーーー更衣室ーーー
気負い過ぎるな、か………私はいつの間にか感情を表に出してしまっていたようだ。だがトレーナーの言う通りでもある。勝てる戦と決まったわけではないが、勝利が目の前に見える勝負であれば、落ち着いて走ればいい。
実況『1枠1番、マキシムメルシー。』
解説『3番人気ですが、気があまり乗っていないように見えますね。このレースでどれだけ力を出せるのか、注目ですね。』
………私のゼッケン番号は3番、すぐに呼ばれる。だが焦る必要も無い、普通にしていればいい。
実況『それでは次のウマ娘です。3枠3番、エアグルーヴです。』
解説『おぉ〜……これは見事に仕上がっていますね。まだ3人目ですが、今日出走したウマ娘を合わせても1番の仕上がりだと言っても良いでしょう。そして圧倒的1番人気ですので、走りに期待ですね。』
………このレース、勝ってみせる!!
エアグルーヴsideout
八幡side
「見たかよ、エアグルーヴのあの仕上がり具合。」
「あぁ、一体どんな凄腕のトレーナーが付いたんだ?」
「ジュニアクラスなんてトレーニングもそうだけど、レース直前の調整が難しいのに………すげぇな。」
「けどもしかしたら、エアグルーヴ自身が凄いのかもしれないぞ。トレーナーの腕も捨て切れないが、その逆ってパターンもあるだろ。」
「あぁ~確かにな。あの佇まいもわざわざトレーナーが考えたとは思えないしな。」
随分と言ってくれるもんだ………まぁどうでもいいけど。別に俺は自身の評価なんてどうでも良い。輝くのはウマ娘であって俺ではない。俺なんてただのトレーナーだしな、俺が人気になったって仕方ないしな。
実況『以上でウマ娘の紹介を終わります。第5レースの発走時刻は11時55分となっております。時間までお待ちください。』
八幡「……観覧席に戻るか。」
アイツ、気が立っていなければ良いが………それが心配だ。アイツ気難しい性格してるからな。周りに流されてなければいいが………
ーーー発走時刻ーーー
実況『北の大地、札幌にて2,000mのデビュー戦が幕を開きます。デビューするウマ娘達はこの壁をどう乗り越えてくるのか!?3番人気のマキシムメルシーに2番人気のサンライズスペック、やや緊張気味か?1番人気のエアグルーヴ、ゲートも嫌がる事無く入りました。静かにスタートを待っています。さぁ今、大外7番のサンライズスペックが枠入り完了です。各ウマ娘ゲートイン完了です。』
ガッコン!!
実況『今、スタートが切られました!!各ウマ娘良いスタートを切りました!ハナに立ったのは7番サンライズスペックが先頭に立ちました。その後にマキシムメルシーが後を追い、ダイワテキサス3番手。エアグルーヴ、ダイワテキサスの後ろに控える形になりました。ホームストレッチ観客から声援を受けながら第1コーナーへと向かいます。以前先頭はサンライズスペック、リードは1バ身半。その後にマキシムメルシーとダイワテキサス。少し外に持ち出してエアグルーヴ、その後ろにエプソムオードリーとサーストンプライム、最後方にムードアップが追走します。』
……走りに問題は無いな。コーナーでも良い走りが出来ている。さて、直線の駆け引きは1,000mを過ぎてからだ。タイミングを見誤るなよ?
実況『さぁ先頭はサンライズスペックのままです、逃げています!このまま逃げ切れるのか!?その後ろからはマキシムメルシーとここでエアグルーヴが外を回って3番手から2番手へと距離を縮めて参りました!3番手にマキシムメルシーとダイワテキサス、1バ身離れてエプソムオードリーに上がってきたムードアップ!1番後ろにサーストンプライムの体制です。さぁエアグルーヴがみるみると先頭との差を詰めて今、半バ身差まで来ましたが……並ばずにそのまま先頭へと躍り出て、3コーナーへと向かって行きます!』
エアグルーヴ(よく目に焼き付けておけ!これが、女帝の力だっ!!)
実況『エアグルーヴ先頭に代わってリードがドンドン開いて行く!!後ろからはサンライズスペックとマキシムメルシー、ダイワテキサスが2番手へと迫る!後続のウマ娘達も前へと迫って行く!先頭エアグルーヴは既に4コーナーを曲がり切って直線に向いている!!リードが5バ身以上もあるぞ!!後ろからはダイワテキサスが抜けて2番手まで上がってきた!3番手にはサンライズスペックだが、エアグルーヴ、後続と大きく差をつけて今、ゴールイン!!圧倒的な強さです!!まさに敵無し!!2番手に4番ダイワテキサス、3着に7番サンライズスペック、4着5番のエプソムオードリーで5着に1番、マキシムメルシーとなりました。』
………これ以上無いくらいの圧勝だったな。まさか札幌でこんなに差をつけて勝利するとはな。
エアグルーヴのデビュー戦が凄い結果に………