エアグルーヴside
我ながら想定していた以上の走りが出来た、この結果には自分自身でも満足している。だがまだデビュー戦、今日は同じ立場のウマ娘達と走ったが、この先はキャリアが豊富なウマ娘達とも戦う事になるだろう。まだまだ気は抜けんな。
「あの、エアグルーヴさん!」
エアグルーヴ「ん?君は……ダイワテキサスだな?」
テキサス「私の事、知ってるんですか!?」
エアグルーヴ「当然だ。同じレースに走るライバルだ、知らぬ方が無礼というものだ。」
テキサス「う、嬉しいです!あっ、今日のデビュー戦お見事でした!!同じジュニアクラスなのに、1人だけ別の世界で走ってるような………兎に角、凄かったです!」
エアグルーヴ「あぁ、ありがとう。だがお前も後ろとの差を大分離して入線したようだ。たらればの話になるが、私が居なければこのレースはお前が勝っていただろうな。」
このウマ娘も中々の素質があるようだ。2,000mで後続を離して入線出来るのだ、見所はある。
テキサス「ありがとうございます!この後はインタビューですからこれで失礼しますね。それでは!」
エアグルーヴ「あぁ。」
そう言って彼女は更衣室のある方向へと向かっていった。私は勝利ウマ娘インタビューがある為、まだこのままでいなければならない。恐らくトレーナーは既に居るだろう。
八幡「………」
エアグルーヴ「済まない、待たせた。」
八幡「いや、気にするな。身体のヨレも無くなって良い兆候だ。。直線でもコーナーでもちゃんと良い動きが出来ていた。これならクラシックでも良い動きができるだろう。」
エアグルーヴ「良い動きが出来るだけで、確実ではないのだろう?」
八幡「そればかりは俺でもどうにもならん。」
エアグルーヴ「勝利は私自身の力で開いてみせる。インタビューがある、早く済ませるぞ。」
八幡「そうだな。」
そして私達は奥で控えている取材陣の中へと入って、インタビューを受けた。
「今回デビュー戦を圧倒的な実力で制したエアグルーヴさんです、おめでとうございます。」
エアグルーヴ「ありがとうございます。」
「今のお気持ちはいかがでしょうか?」
エアグルーヴ「私自身、まだ目標のスタートラインから1歩を踏み出せただけとしか考えていませんが、この勝利は嬉しく思っています。」
「3コーナー手前から先頭に立ちましたが、あれはトレーナーとの作戦ですか?」
エアグルーヴ「トレーナーからは1,000mを過ぎた辺りから動くようにと言われていただけなので、あそこで仕掛けたのは私の判断です。」
「続いてはトレーナーにお聞きします。今回のレース内容はどうでしたか?」
八幡「彼女の実力ならば、勝てると踏んではいましたが、ここまで圧勝するとは思っていませんでした。自身の見る目もまだまだだと痛感しました。」
「今後はどの予定かお決まりでしょうか?もしお決まりで可能でしたら教えていただけないでしょうか?」
八幡「はい。元々ジュニアクラスでは2,000mをデビュー戦でしか走らないと、エアグルーヴと決めていました。次走は10月末のサウジアラビアロイヤルカップへと駒を進める予定です。」
デビュー戦を制したばかりのウマ娘が重賞レースに出走する事は珍しくもないが、連続で勝てるウマ娘は真に実力のある者だけだ。
「ではトレーナーさん、エアグルーヴさん、これからの躍進に向けてファンに一言、お願いします。」
八幡「次に出走する時には今日以上のエアグルーヴをお見せする事をお約束します、応援よろしくお願いします。」
エアグルーヴ「私もまた、進化した姿を皆様にお見せ出来るように、日々精進致します。本日は応援、ありがとうございました。また次もよろしくお願いします。」
「ありがとうございました。エアグルーヴさんでした!」
無事にインタビューが終わり、ライブに向けての準備が始める。札幌のメインレースではないデビュー戦だからあまり客も集まらないだろうと思っていたのだが、予想を裏切って大勢のファンが私達の目の前に居た。次は今日よりももっと多くの観客を集めて見せよう。
そして………
ーーー機内ーーー
エアグルーヴ「貴様、次走はサウジアラビアRCと言っていたが、あれは予め決めていたのか?」
八幡「まぁな。アルテミスかサウジで悩んだが、期間を考えてサウジにした。11月にある京都でも良かったが、それだと阪神JFに向けての調整が難しくなる。」
エアグルーヴ「ほう、貴様は私を阪神JFに出走させるつもりなのか?」
八幡「今のところはな。まぁそこはサウジの結果で決める、それも明後日に話す。今日と明日は身体休めろ。」
エアグルーヴ「あぁ、了解した。」
こうして、私の初戦は圧勝という形で幕を下ろした。
一方その頃トレセン学園では………
ルドルフ「まさかあれ程とはね………」
ブライアン「勝つとは思っていたが、あんなに差をつけるとはな………」
ルドルフ「これは彼女の今後が楽しみだ。」
マルゼン「まぁ、とんでもないのが現れたわね。」
東条「そうね。でもまだデビュー戦、どう転がるかは彼女と比企谷君次第ね。」
マルゼン「とか言って、本当は勝ち上がって欲しいんじゃないの?」
東条「………後輩だもの、当然の配慮よ。」