八幡side
エアグルーヴのデビュー戦を圧勝という形で終えられ、幸先の良いスタートを切れた俺達は次の出走予定レースであるサウジアラビアロイヤルカップの事でミーティングをしていた。
今度は東京で行われるレース。最後の直線は緩やかな坂が続いていて、パワーも要求されるコースになる。俺がサウジを選んだ理由は先にある阪神JFや桜花賞で走る阪神の急坂にいち早く慣れる為と、東京のコースを把握させておこうと思ったからだ。ジュニアクラスでは最高でも2,000mしか走れない。だが今のエアグルーヴでは東京の2,000mを1着で走り切るのは難しいと考えている。だから1,600mの距離を選んだというわけだ。
その事をエアグルーヴにも伝えると………
エアグルーヴ「期間を考えると1ヶ月と僅かか………この期間ならクラシックのティアラ路線の良い予行演習になる。了解した。」
八幡「よし、じゃあ今日からまたトレーニングを一新する。お前も知ってるとは思うが、ティアラ路線では3つ全てに坂がある。その坂を攻略すれば一気に勝機は広がる。週に2回、坂路コースでのトレーニングをしていく。火曜と金曜にやるぞ。」
エアグルーヴ「他の曜日は何をする?」
八幡「水曜は筋力アップ。これはコースなりジムなりどちらかにする。木曜はコースでマイルに向けた走りの構築。土曜は軽トレで身体のパフォーマンスを整えていく。日曜は休み。月曜はお前が決めていい。」
エアグルーヴ「何だと?」
八幡「こんだけ週の予定詰めたんだ、残りの1日くらいはお前の自由にさせる。お前の事だ、後輩への指導や生徒会の業務がある事くらい知ってる。だが多忙な生徒会だ、来られない日があったら一言俺にくれ。」
エアグルーヴ「………あぁ、分かった。」
1日の行動自由をエアグルーヴはどんな風に使うのかも気になるしな。まぁ休みを取るにしても、生徒会か後輩の指導、レースに向けた何かで過ごしそうだけどな。
エアグルーヴ「それで、他にはあるか?」
八幡「いや、俺からはこのくらいだ。」
エアグルーヴ「よし、ならば私から貴様に聞きたい事を聞くぞ。何故このような訳の分からん状況下でミーティングなどを行なっているのだ、我々は?」
オグリ「ムグムグ……んっ、やはりトレーナーの作るおにぎりは美味しいな。幾らでも食べられる気がする。あむっ………」モグモグ
スペ「そうですよね、オグリさん!!トレーナーさんの作るおにぎりって塩加減もお米の固さもすっごくちょうど良いんですよね〜!」
ライス「うん!お兄様の作るご飯、すっごく美味しい♪」
マックイーン「あぁ……美味しいですわ。この味でいつも食べるスイーツの半分以下のカロリー………素晴らしいですわ!」
ドーベル「………確かに美味しい。」
………うん、本当にどうしてこんな状況になったのかと、問われるのも当然だろう。すっげぇ簡単に答えるとだ、俺の料理が食べたくなったから食わせろ、以上だ。あっ、因みに言うがライスは俺が誘った。この前のご褒美で飯をご馳走したんだが、凄い美味そうに食べる上にお残ししないんだもんな。食わせたくもなる。まぁこの面子ならお残しなんて絶対にしないと思うけど。
八幡「まぁ、アレだ。俺の料理が恋しくなったんだと。大して食ってねぇのに。」
エアグルーヴ「……貴様という奴は。だがドーベルまで居るのは意外だぞ。」
八幡「マックイーンについて来たんじゃね?それかお前に何かを相談?今はスイーツ食ってるけど。メジロ家って甘党しか居ないのか?」
エアグルーヴ「私に聞くな、知らん。」
八幡「まぁ別にいいだろ、俺達の話し合いを邪魔しに来たってわけじゃねぇだろうし。」
オグリ「勿論だ。トレーナーのご飯が食べたかったからずっと待っていただけなんだ。」
八幡「流石、扉の前で待っていた奴は言う事が違うな。説得力がある。」
オグリ「そんなに褒めないでくれ……」
褒めたつもりなんて1ミリも無いんだけど?
八幡「ま、まぁそういう事だ、明日からさらに厳しくしていくからな。」
エアグルーヴ「分かった。それからドーベル、お前はどうして此処に来たんだ?メジロマックイーンの付き添い、という理由ではあるまい?」
ドーベル「っ!?は、はい!すみません、実はこの前のトレーニングで少し、その………トレーナーに聞きたい事があって。」
ドーベルがそう言うと、俺の方を少しだけ睨むような、困ったような目をしながら見てきた。
エアグルーヴ「ほう、トレーナーにか?それで此処に来たのか……」
ドーベル「はい。マックが居るのは予想外でしたけど………」
八幡「俺で答えられるのなら答えるが、ドーベルは大丈夫なのか?男嫌いなんだろ?」
ドーベル「………」
八幡「うん、ダメだこりゃ。ドーベル、この紙に書いて俺にくれ。書き終わったらお前に返すから。」
ドーベル「………分かった。」
まぁこれなら大丈夫だろう。けど何で男が嫌いなんだ?
オグリ「ふぅ……満腹だ。やはりトレーナーの作るおにぎりだとすぐ満腹になる。」
スペ「そうなんですか?私はまだ食べられますけど………残りの貰ってもいいですか?」
オグリ「あぁ、私はもう大丈夫だ。」
ライス「ライスもいっぱい食べたから大丈夫だよ。」
スペ「わぁ〜い♪いただきま〜す!」
マックイーン「トレーナーさん、お代わりはありませんのっ!?」
八幡「あるわけねぇだろ、それで最後だわ。ある菓子殆ど食いやがって……どんだけ飢えてたんだよお前。」
マックイーン「し、仕方ないではありませんの!これだけ美味しくてカロリーも控えめなのですから、食べるしかないではありませんか!!」
八幡「それ、普通のカロリーだけど?(嘘だけど。)」
マックイーン「………そ、そんな……」アオザメ
八幡「ごめんごめん、嘘だから。だからそんな顔すんな。」
マックイーン「ト、トレーナーさん!!イタズラが過ぎますわよ!!」
このくらい別にいいだろ、お菓子大好きメジロパックイーン。
【日本の総大将】とも名高い、スペシャルウィークの登場です。
黄金世代の主役の1頭で、当時の日本競馬を牽引した名馬です。日本ダービー、天皇賞春秋、ジャパンCを勝った馬です。有名なのは主戦騎手のダービー初制覇を導いた事ですね。何度もガッツポーズをする姿は、そのくらい喜びが弾けていたんだと感じます。もう1つはジャパンCでその年の凱旋門賞馬に勝利した事ですね。日本主催ながら日本の勝ち筋が薄かった事もあってか、出走前から【日本の総大将】として海外の競走馬を蹴散らしました。
そしてスペシャルウィークの血統も特徴的で、お母さんは競争成績がありませんが、名牝シラオキの血筋で当時の最高ともいわれる程の種牡馬の名前が集まった血統でもあります。