比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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ライスのお話

 

 

八幡side

 

 

ライスの家に訪れて数時間。時間もいい頃合いとなった時にライスは就寝した。だが俺からしてみればまだあまり眠くはならない時間帯、いつもならメニューを考えたり、ネットサーフィンしたりしている時間なのだが、今はそうもいかない。今俺が居るのは人様の家なのだ、自分勝手な事は出来ない。

 

 

お父様「娘の寝顔を見るのも随分と久しぶりだね。絵本を読み聞かせて眠らせていたのが懐かしいよ。」

 

お母様「そうねぇ〜……ふふっ、高等部になって大人にちょっぴり近付いても、寝顔だけは昔のまんまなんだよね。変わってなくて良かったわ。」

 

お父様「そうだね。さて、これで漸く落ち着いてお話が出来ますね。」

 

八幡「何というか、待ち侘びていたって顔をしていますね。そんなに楽しみだったんですか?」

 

お母様「えぇ、それはもう。私の知らないあの子を知る事が出来るんだもの。」

 

八幡「まぁライスのプライバシーにも関わりますので、俺が言える範囲で協力しましょう。」

 

お父様「頼もしい限りですよ、トレーナーさん。」

 

 

それから俺はライスと出会ってから今に至るまでの事を思い出しながら話した。ご両親は喜怒哀楽を上手く表現出来る方達だからか、話の途中にも関わらず感想を言ったりしてくる。新鮮な反応だからこれもまた良いと思っている俺がいる。

 

 

お母様「蹄鉄の部分がひ、額に……や、やっぱりこれも遺伝なんだわ。うぅ、ごめんねライスちゃん。」

 

 

お父様「そうかぁ……ライスがトレーナーさんの事をお兄様と呼んでいたのはそういう理由でしたか。昔からお気に入りの絵本でしたからね、納得です。」

 

 

お母様「初めてのGⅠで凄い勝ち方をしたとは思っていたけど、あの子なりに隠れて努力をしていたのね………前からなんですよ?どうしてもって思った時はいっつも人一倍頑張る子なんです。」

 

 

お父様「皐月賞で負けて泣いていると思っていたのですが、あのライスが………強くなったんだね。」

 

 

っとこんな感じで俺の話を聞いてくれていた。2人はライスが体型の割によく食べる事も理解しているから、食事の事はあまり話さなかった。もし言って週に2〜3回は俺が作ってるって言ったらその場で頭下げてきそうな予感がするからな。

 

 

八幡「とまぁ夏合宿まではこんな感じですね。ライスはお2人が思っている以上に身体も心も強く成長していますよ。今日久しぶりに会った時には感じなかったとは思いますけど、それは確かです。」

 

お父様「そのようですね、お話を聞いていて分かります。しかしトレーナーさん、それは貴方の力でもあります。そのおかげでライスは肉体面、精神面共に強くなれました。」

 

お母様「お父様の言う通りです。貴方じゃないトレーナーが担当でしたら、こうはなっていないでしょう。トレーナーさんが担当で良かったです。」

 

八幡「それはこちらの台詞ですよ。俺には勿体無いくらいのウマ娘ですよ。それなのに俺に逆スカウトするくらいですから、嬉しかったですよ。」

 

お父様「しかし娘がそんな行動を取ったという事は、他の生徒さんもトレーナーさんにスカウトをしたのではありませんか?」

 

八幡「えぇ、何人かのウマ娘には声をかけさせてもらいました。けど俺はライスを勝たせてやりたいと思ったので、ライスを選びました。」

 

 

懐かしいなぁ〜俺がライスを担当に持ってもう2年くらい経つのか。色々あったもんだ。いや、「あった」もそうなんだが「遭った」でもあるな………

 

 

お父様「……それでトレーナーさん。ここからなのですが、菊花賞の事をお伺いしてもいいですか?」

 

八幡「………よろしいのでしょうか?」

 

お母様「私達はテレビでの観戦をしているのですが、それでも分かりました。いつも聞こえる筈の大勢の人の声が、その日はあまり聞こえなかったんです……」

 

お父様「私もライブ中継で観ていましたが、妻の言う通りです。なんだか異様に思えました。」

 

八幡「………お2人もご存知だと思いますが、その日の菊花賞はミホノブルボンというライスの同期が無敗でクラシック2冠を達成していたんです。しかしライスが菊花賞を勝った事で3冠達成にはなりませんでした。3冠達成が潰えた事の落胆もありますが、去年も無敗で2冠を獲ったウマ娘が怪我で3冠を獲れなかったのも相乗して、あの空気になったんだと思います。」

 

 

その後にあの新聞の記事だ。ご両親にとっては娘の勝利で喜ばしい筈なのに………

 

 

八幡「今は落ち着きましたが、レースが終わってからの数週間はかなり落ち込んでました。ライスは何も悪くない筈なのですが、あの性格も相まって相当悩んでいたと思います。私生活にまで関わるわけにはいきませんので、寮に居る間は同室のウマ娘に頼んで様子を見てもらう形を取ってました。」

 

お母様「………」

 

お父様「……私達もあの記事を見ました。まるで娘を責めるかのような内容にすぐに見ないようにしました。娘の勝った時の記事は全て保存するようにしているのですが、その菊花賞のだけは切り取って保存する事が出来ませんでした。保存してしまうと、きっと娘の悲しい顔が浮かんできてしまうと思ったので。」

 

八幡「ご両親にも苦しいお気持ちにさせてしまい、すみません。」

 

お母様「いえいえ、トレーナーさんが悪いわけでは無いのですから謝らないでください!それに誰も悪くはないのですから!」

 

お父様「その通りですよトレーナーさん。寧ろこれは人の気持ちの問題です。それにライスを応援してくれている人々も居るのでしょう?」

 

八幡「それは勿論。俺が1番のファンですから。」

 

お母様「あら…それはとても頼もしいですね。」

 

お父様「そうだね、トレーナーさんがファン第1号なら安心だよ。それにトレーナーさんが娘のファン第1号なら、僕達はライスのスポンサーですからね。要は我々は娘の1番の味方です、これからもライスをよろしくお願いします。」

 

八幡「……はい、これからも頑張ります。」

 

 

………ここの家族はあったかいなぁ。

 

 

 





ーーーライスの部屋ーーー


ライス「………」ポロポロ…

生焼け肉「………」ポンポン

ライス「…ありがとうお母様、お父様、お兄様。」ポロポロ…

生焼け肉「………」ポンポン
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