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沖野「………」
ウオッカ「ん?どうしたんだよトレーナー?」
沖野「いやな、なんかマックイーンの様子がおかしいように見えてな。」
ダスカ「え?あたし達と一緒の時は普通だったじゃない!」
ゴルシ「おい、また何か言ったんじゃねぇのか?」
沖野「んなわけあるか、本番前だぞっ!!」
八幡「あながちそれは間違いではありませんよ。」
沖野「っ!?比企谷!」
八幡「どうも沖野さん、スピカのお前達もな。」
スペ「こんにちは。それで、間違いじゃないっていうのはどういう事なんです?」
八幡「今日のライス、前回の日経賞や前々走の菊花賞の時とは比べ物にならないくらい強くなってる。沖野さんやお前達の前で言うのは悪いが、今日はライスが絶対に勝つ。」
テイオー「へっへーん!けどマックイーンはこの天皇賞を2連覇してるんだよ!そう簡単に負けるわけが無いんだからっ!!」
八幡「……そうだと良いな。」
テイオー「ちょっと何さ〜その言い草は〜?」
八幡「少し前にライスに作戦を伝えに行ったんだが、俺の後ろに居る2人はこのザマだ。」
ル・シ「………」
テイオー「あっ、カイ……チョー?」
ルドルフ「………」プルプル…
テイオー「カ、カイチョー?どうしたの?」
八幡「分かったかテイオー?ルドルフの震えが止まらない程のプレッシャーだったんだよ。そんなすげぇ仕上がりになった奴がどうして負けると思える?」
沖野「……マックイーン。」
八幡「では、俺達もそろそろ失礼します。では。」
実況『京都レース場に鳴り響く天皇賞・春のファンファーレです!淀の3,200mに挑む15人のウマ娘がこれからゲート入りに入ります!』
マックイーンへの応援が飛び交う観客席。しかし彼等を出迎えたのはマックイーンの優雅なゲート入りではなく、ゲート入りを拒むという応援から困惑に変わった。
実況『メジロマックイーン中々ゲートに入りません。一体どうしたんでしょうか?』
解説『彼女がゲート入りを拒むなんて珍しいですね………何かあったんでしょうか?』
周囲がマックイーンの心配をする最中、当の本人はそれどころでは無かった。脚が前に進まないのは竦んでいるからであった。その理由は………彼女の右の位置で佇んでいる黒いドレスの勝負服を着た黒毛のウマ娘だった。
マックイーン(猛獣?一体何なんですの?まるで私を食い千切らんばかりのこの気配……っ!)チラッ
ライス「………」
マックイーン(ですが、私にも負けられない理由がありますわっ!)
実況『メジロマックイーン、漸くゲートに入りました!他のウマ娘も次々とゲートへと進んで行きます。パワーとスタミナが要求される、お馴染み京都レース場3,200m。15人のウマ娘がゲートに入りました!!さぁ、天皇賞・春………』
ガッコン!!
実況『スタートしました!!先頭はやはりメジロパーマーが飛ばしていきます。その後ろの位置にムッシュシェクル!イクノディクタスとキョウワハゴロモが3番手争い!さぁこれから第3コーナーに向かって行きます!天皇賞・春はまだまだこれから!』
ダスカ「良い調子じゃないマックイーン。」
沖野「いや、まだスタートしたばかりだ。逃げるパーマーを気にしてたらダメだ………っ!」
沖野(いや、気にしてるのはパーマーじゃない。気にしてるのは………)
実況『現在マックイーンは4番手の位置でレースを進めています!その後ろにライスシャワーがマークする形で追走しています!その後ろにマチカネタンホイザとシャコーグレイドだ!』
ライス「………」
実況『さぁ15人のウマ娘達が正面スタンド前を通過して行きます!順位を振り返っていきましょう!』
八幡「………」
ルドルフ「メジロマックイーンを徹底マークしているね。これが兄さんの与えた作戦かな?」
八幡「まぁな。ライスは誰かの後ろにつかせたら何処までもマークする。それはお前達も経験しただろ?しかも日を追う毎にプレッシャーが増していく。今のライスがマックイーンに与えているプレッシャーは相当なものだろう。」
シービー「あたし達のあれ以上………」
八幡「2分4秒………2,000m通過が前回の天皇賞よりも2秒以上早いラップだ。」
ルドルフ「っ!?」
実況『第3コーナー坂登りの直前、さぁ先頭はメジロパーマー!後ろとの距離を5バ身引き離して先頭をキープしている!その後ろに徐々に進出して来ているメジロマックイーン!天皇賞・春はまだまだスタミナ勝負だ!!』
マックイーン(此処っ!!)ゴオォォ!!!
実況『おっと、此処でメジロマックイーンだ!スパートをかけた!マックイーン、先頭のメジロパーマーに迫るっ!パーマー、マックイーン!いや!!その外からライスシャワーも上がって来た!!!』
ゴルシ「おいおい、全然引き離せねぇぞっ!!?」
スペ「マックイーンさん何処かおかしいの?」
沖野「いや、マックイーンはおかしくない。」
スピカ『え?』
沖野「おかしいのは………相手の方だ。(比企谷の言っていたのはこういう事かっ!)」
ブルボン「………ライス。行け、ライスッ!!」
ライス「………」ゴオォォ!!!
実況『さぁ第4コーナーを曲がって直線勝負!!3人が競り合う直前勝負!!タンホイザも参戦か!?この場で直線に躍り出るのはメジロマックイーンだ!メジロマックイーンが先頭!!あっ!!外からライスシャワーだ!!ライスシャワーが迫ってきた!!!』
ライス「………」ゴオォォ!!!
マックイーン(この気迫……だけど私だって!!)ゴオォォ!!!
実況『ライスシャワー横に並んだ!!!さぁマックイーンの3連覇、またも偉業を阻むのはこのウマ娘かっ!!?』
「おいおいやめてくれ、マックイーン頑張れっ!!」
「またヒールになるつもりかっ!!?」
ライス(ライスは………ヒールじゃない………)
ライス「ヒーローだっ!!」ゴオオォ!!!
………途端、ライスの脚が唸りを上げた。
実況『ライスシャワー交わした!!ライスシャワー交わした!!ライスシャワー!!ライスシャワーだ!!!菊花賞でもミホノブルボンの3冠を阻んだライスシャワーだ!!ライスシャワー完全に先頭!!2バ身から3バ身と開いた!!ライスシャワーが今1着で今ゴールインッ!!!』
場内は、静まり返っていた………
実況『っ!?このタイムは………っ!!』
3.17.1と電光掲示板に表示されていた。その上にはレコードの4文字………天皇賞・春のレコードを樹立した。
ライス「レコード……ッ!」
しかし………その喜びも束の間だった。
「あ〜ぁ、何でだよ……」
「マックイーンの3連覇、見たかったのになぁ〜!」
「またやられたよっ!!」
「なんでだよっ!」
「此処に来るんじゃなかったぜ!!」
「がっかりだ!」
観客からはマックイーンの3連覇を期待していたファンからのブーイングだった。容赦の無い言葉にライスは目を瞑り、開いてから一礼した。そして地下バ道へ向かおうとしたのだが………
ライス「……え、お兄様?」
八幡「………」
そこにはライスシャワーのトレーナーである八幡がターフの上に立っていた……マイクを持って。
ライス「お、お兄様?ど、どうして………」
八幡「いや、俺も我慢の限界でな。ちょっとした憂さ晴らしだ。」
ライス「………え?」
八幡「すぅ〜………」
八幡「今俺の担当のライスシャワーに向かって暴言吐いた奴、今すぐ出て来いっ!!」
ライス、脅威の走りで天皇賞制覇っ!!
そして八幡、我慢の限界。(正直、僕もです。)