八幡side
スピードシンボリさんの会見から5日が経った今日、担当の3人はいつも通り学園に通って授業・トレーニングに励んでいる。当然、俺も新しいトレーニングメニューの作成だったり3人の昼飯作りだったりとそれなりの日々を過ごしている………これだけならいつも通りなのだが、イレギュラーな事というのは突然だったり、予兆していた時にやってくるものだ。今回は後者に当たる。
たづな「す、すみません比企谷トレーナー。今日も……」
八幡「やはり来ましたか……はぁ、予想はしてましたが段ボールなんですね?」
たづな「えぇ、それに事務員の方々もとても困惑しているんです。今までこんな事はありませんでしたので。」
八幡「後でお礼と謝罪に行ってきます、駿川さんもありがとうございます。」
そう、この段ボールは先日の会見の影響だ。一昨日から手紙が大量に届くようになっていたのだ。それこそ全国規模という形で。俺はこの手紙を1枚1枚読むようにしてはいるのだが、流石に1人では限界もある。それにトレーナーをしているという事もあるから、手紙を読む事に時間を長く使ってもいられない。この量は参るわ、ホント。
葵「比企谷君、その段ボールって……」
八幡「あぁ、会見の影響で送られてきた手紙だ。手紙を読む時間すら惜しいのに……まぁ仕方ない事だけどな。」
シービー「あっ、八幡だ~……その段ボールってもしかして………」
八幡「お察しの通り手紙だ。」
嬉しそうに俺の所に来たシービーも段ボールを見た途端にこの表情、なんかごめんな?俺が悪いわけじゃないけど。
シービー「ねぇ八幡、あたしも手伝うよ!八幡1人じゃこんな量を全部なんて無理だよ!」
八幡「分かってる。けど俺が蒔いた種でもある、出来るだけ自分の力でやっておきたい。気持ちだけ貰っておく。」
シービー「けどさ……」
ルドルフ「兄さん、話は聞かせてもらったよ。」
八幡「ルドルフ。」
ルドルフ「兄さんが蒔いたという種、私にも背負わせてほしい。兄さん1人にだけ重荷を背負わせるわけにはいかない。それに私も当事者の1人だ、風見鶏ではいられないさ。」
シービー「そうだよ、あたしも八幡の担当なんだから少しは八幡の苦労分けてよ!」
………強引に契約を結ばれたとはいえ、良い担当に巡り合ったな、俺は。
八幡「…分かった、少し協力してくれ。」
ルドルフ「その言葉を待っていたよ。もし拒むようだったら、その段ボールを奪っていたところだよ。」
八幡「何それ怖い……パワープレイはやめてくんない?」
葵「比企谷君、私もお手伝いしますよ!同じトレーナーなんですから、見過ごせないです!」
八幡「いや、流石にダメだ。俺が言っても説得力無いが、これ以上事を大きくはしたくない。ルドルフとシービーに頼むのでさえ気が引けてたんだ、流石に巻き込めない。」
葵「そう、ですか……」
八幡「気持ちだけ受け取っておく、ありがとな。」
そしてトレーナー室で作業をしていたのだが、途中からライスも来て手伝ってもらう流れになった。作業している流れで分かったのは、過去にライスにファンレターを送ってくれた人も混ざっていてその人達はテレビ中継だったりレース観戦だったりと結構まばらだった。けどそういう人達は決まって最後に同じ台詞を使っているから本当のファンだというのが分かる。その台詞は
『これからも応援してます、綺麗な青いバラをレース場で咲かせてください。 青バラ○○より』
という風に締め括っているのだ。そういうファンクラブが存在しているのかは分からないが、こういうのはマジでありがたい。だから仕分ける時もかなり丁寧に扱うようにしている。それに決まって薄くて青い紙に青のバラのフレームを使ってるから、愛が伝わってくる。
他にも初めて送ってくる人の中で好意的な文章を使う人の手紙も丁寧に扱うようにはしている。当然だが顔も声も分からない人からの手紙だから、破り捨てるような事はしない。例えそれが俺やライスに対する暴言だったとしても、だ。有効活用出来るだろうしな。
八幡「………っ!」
シービー「ん?どうしたの八ま………」
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全部お前のせいだ!!今すぐトレーナーやめろ!!!
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シービー「っ!!!この「暇な奴も居たもんだな。こんなの書くくらいなら漢字ドリルしてた方が100万倍マシだってのによ。」………」
俺は自分宛に届けられた手紙をすぐに封筒に戻してから、俺が管理しているボックスに入れた。
ルドルフ「その口ぶりからして、良い内容のものではないみたいだね。」
八幡「まぁな、トレーナー辞めろだとよ。まぁ辞めるわけないけどな、ソイツの口1つで辞められるんなら苦労しねぇよ。」
ライス「ねぇお兄様、これはどうかな?」
八幡「ん?」
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ライスシャワーさんへ
この前の天皇賞はお疲れ様でした。とても素晴らしい走りをありがとうございます。現地にて応援させていただきました。新潟のデビュー戦を一目見た時からいつの間にか貴女のファンになってました!!
天皇賞ではとても残念な事が起こってしまいました。僕もその場に居合わせた者として謝罪したいと思います、ライスシャワーさんと担当トレーナーさん、勇気が出ず何も出来ませんでした。申しわけございません。
次にライスシャワーさんが出るレースでは1番の応援をしたいと思っています。周りがどう思おうと貴女のトレーナーさんのように大観衆の前でもあれだけの啖呵を切れるだけの応援をして見せます!これからも周囲の声に負けず頑張ってください!!
いつか、あの時のブーイングが貴女を幸せにする大歓声に変わりますように
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ライス「お兄様はどう思う?ライスは良い人だと思うんだけど……」
八幡「……一応青バラと一緒の箱に入れておくか?」
ライス「うんっ♪」
八幡「にしても、なんか見た事あるような気がするのは気のせいか?」
※気のせい気のせい♪
ーーーおまけーーー
八幡「おい。」
生焼け肉「はい。」
八幡「何ちゃっかり手紙出してんだよ?」
生焼け肉「だって少しでも励ましてあげたかったから。」
八幡「もしアレが俺のボックスに行ってたらどうしてたんだよ?」
生焼け肉「分からないけど、次のレースが終わってからはきっと毎回手紙を書くと思うよ。だってファンだしね♪」
八幡「の割には今回が初めてなんだな?」
生焼け肉「手紙を書く習慣が無いものでしたから………あっ、それと薄くて青い紙に青バラのフレームがついた紙、今度からは僕もそれ使うからねっ!」
八幡「それを今此処で言われてもな………」
生焼け肉「ちゃんとライスに届けておくれよっ!!」
八幡「分かったよ、そうするから……ったく、相変わらずライスの事となると圧が凄ぇな。」
生焼け肉「そりゃそうさ、僕がお兄様だからねっ!!」
八幡「今作では俺が、だけどな。」
生焼け肉「キイイイィィィィ!!!」