八幡side
手紙の確認作業や仕分けを終えた俺達は軽くトレーニングをしてから外出の準備をしている。遅くなってしまったが、今日は行きつけの小料理屋で祝勝会を開く予定だからだ。多分だが今日行けなかったらずっと行けなくなると思うから、予め予約をしていた。そしたら女将さん、『それなら前と同じく貸切にするからね!待ってるよ!』と言ってくれた、本当にありがとうございます。きっと天皇賞もテレビで観てくれていたと思うが、ライスの応援をしてくれてただろうな。
ライス「あっ、お兄様〜!」
ルドルフ「やぁ兄さん、待ってたよ。」
八幡「お前達、早かったな……」
ルドルフ「ふふ、この前あの店に行った時に雰囲気がとても良いと感じていたからね、行くのであれば時間を無駄にしたくないと思っていたのさ。」
シービー「良い雰囲気だったよね、女将さんも意外と気さくだったし、ノリ良かったし。それよりも八幡、早く行こうよ〜!」
八幡「分かってるよ、んじゃ行くか。」スッ
ルドルフ「おや、それは眼鏡かい?」
八幡「伊達眼鏡だ。今の俺は何処に居ても注目されるからな、ちょっとした予防策だ。」
シービー「けどさ、それで隠せるものなの?」
八幡「数日これで出掛けた事はあるが、話しかけられた事は1度も無い。だから大丈夫だ。」スチャッ
視線を感じるようにはなってしまったが、多分少し似ているからだろう。まぁ世の中には似ている奴が3人は存在するっていうし、他人の空似だと思って見てるんだろう。
八幡「……どうした?」
シービー「い、いやぁ………なんていうか、八幡が眼鏡付けると雰囲気変わるね……」
ルドルフ「うむ、確かに……」
八幡「……何だよその微妙な反応は。似合ってないならハッキリそう言っても良いんだぞ?」
ライス「絶対にそんな事無いよ!ライスは眼鏡を付けたお兄様もカッコ良いと思う!特に目元が優しく見えていつもより優しそうに見えるよ!」
ねぇライス、それって遠回しに俺の普段の目元が怖いって言ってない?確かに特徴的な目だけども……
ルドルフ「あぁ、ライスシャワーの言う通りだ。似合わないとは思っていないとも。少し意外だと思っただけだ、気にする事はないよ。」
シービー「うん、八幡っぽくは無いけど良いと思う。普段からそれ付けないの?」
八幡「これは外出用に付けてるだけだ。身バレ防止ってヤツだ。それに学園で身に付ける程困ってるわけでもないから。学園でも身バレ防止しなきゃならないってどんな犯罪者だよ………」
ーーー商店街ーーー
ルドルフ「……確かにバレてはいなさそうだが。」
シービー「うん、これは……アレだね、男が女に向ける邪な視線の女バージョンだね。」
八幡「何言ってんのお前?」
ライス「で、でもお兄様の言ってた通り話しかけられる事は無くなったね。」
八幡「あぁ、視線は感じるけどな。」
シービー「じゃあ八幡、ハッキリ言っていい?」
八幡「……何だ?」
シービー「その視線はね、八幡がカッコ良いから女の人が八幡に注目してる視線なんだよ!」
八幡「………」
………成る程、そういう事か。
八幡「日記書いてないけど、今日のシービーは俺にすっごく気遣ってくれたって書いておくな。」ナデナデ
シービー「気遣ってないし!ちゃんとした事実だし!でもナデナデは続けて!!」
八幡「こんな目立つ人前で人の頭を長く撫でてたまるか。目的地に着いたらやってやるから後でな。」
シービー「約束だからねっ♪」
ライス「お兄様、ライスも……」モジモジ…
ルドルフ「兄さん、贔屓は良くないと思うのだが。」
八幡「……結局こうなるのか。」
ーーー小料理屋ーーー
女将「いらっしゃい、待ってたよトレーナーさん!それにライスちゃん達も!さぁ入った入った、料理も出来てるからいつでも始められるよ!」
八幡「今日はありがとうございます。しかもまた貸切にして頂いて。」
女将「いいんだよこのくらい!トレーナーさんやライスちゃんにはいつもお世話になってるからね!前も言ったけど、このくらいどうって事ないよ!」
この豪胆さには助けられるな。
女将「ところで今日は眼鏡なんて珍しいものを付けてるね?お洒落かい?」
八幡「まさか、身バレ防止ですよ。今の俺は悪目立ちするくらい顔が割れてますから。」
女将「そうなのかい?まぁ何でもいいけど、料理が冷めない内に乾杯でもしようじゃないか!」
その後、天皇賞制覇という事で日経賞以来の祝勝会を挙げた。この前はGⅡだったが、今回はGⅠだから料理のグレードも段違いだ。良い食材使いまくってる。
大将「比企谷さん、これは俺からのお祝いって事でね。お代はもう貰ってるから食べてくれるかい?」
八幡「ありがとうございます、いただきます。」
大将「しかし、比企谷さんは別に間違った事はしてないから堂々としてれば良いと思うんだけどね……まぁウチに来るお客さんも比企谷さんの話題にする人は少なくない。今じゃ社会問題になりつつあるからね〜。」
八幡「仕方ないですよ、俺がやった事は市民から娯楽を奪ったようなものですから。」
大将「けどウマ娘の為にやったんならあれは正しいと俺は思うよ。結果としてライスちゃんはああやって笑顔なんだからね。」
八幡「……そうですね。」
あの笑顔を守れた、それだけでも俺があのレース場で言った言葉は間違いでは無いと思う事が出来る。
八幡「これで明日も頑張れますね。」
大将「はははっ、違いないね。」
どうしよう、ライスの次走………