比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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6月の予想とお願い

 

 

八幡side

 

 

5月の終盤に差し掛かる頃合いの今、世間はまたも賑わい………ではなく騒ついている。その理由は言わずもがなレース観戦についてだ。当初は5月までのレース観戦を中止としていた。しかしURAからは6月からの観戦再開というお知らせのようなものがHPや動画、会見も一切出ていないからだ。これにはやはり世間は戸惑いを見せるのも仕方のない事だ。しかし観戦中止が続くようであれば、流石に黙って見てはいられないと思うんだが、スピードシンボリさんは何を考えているのだろうか?

 

まぁそんな心配を他所に、俺達はいつも通りトレーニングに励んでいる。シービーとルドルフの事もあるからいつまでもライスばっかりに注視は出来ないからな。まぁ問題が問題だから仕方ないんだけどな。そんなトレーニングが終わった今はというと………

 

 

八幡「なぁルドルフ、スピードシンボリさんがこれから何をしようとしているのかってお前には何か見当つくか?」

 

ルドルフ「無茶を言わないでくれ兄さん、私と祖母上は頻繁に連絡を取り合うような関係ではない上に、多忙な方だ。母上とも月に1度のやり取りなのだから。」

 

八幡「母親とのやり取りですら月1って………まぁ要するにお前には何も知らされてないって事か。」

 

ルドルフ「そういう事さ。だが確かに不自然と言えばそう見える。URAがこの時期になっても沈黙を貫いているとは……何も聞いてこないから、というのが理由とは考えられないが、確かに祖母上のお考えも気になる。」

 

八幡「多分だけど、宝塚記念が終わるまでって可能性も出てくるぞ。」

 

ルドルフ「まさか……この先の春のGⅠ全てを観戦中止にすると?」

 

八幡「まだ分からないが、これだけ動きを見せないって事はURAの中でも色々とあるって事だろう。その中の1つとしては5月で観戦中止を終わらせるか、もしくは6月まで延期にするかってところだろう。春のGⅠ全てを観戦中止にすれば9月までは札幌や函館といった北海道に加えて九州も加わるサマーシリーズの季節だ。東京や京都、阪神に居る連中にとっては大打撃だろう。楽しみを5ヶ月近くも奪われるんだからな。」

 

 

毎月のようにレース場に行くような事をすれば、経費なんてバカにならない。そんな奴は流石に居ないとは思うが、本州住まいの奴等は、仮に6月も観戦中止になったとすれば絶対に黙っては居ないだろう。

 

 

ルドルフ「それを今、検討していると?」

 

八幡「予想だけどな。けど今週はオークス、つまりは5月の半分を切ってる。この辺りで何か告知が無いと逆に不安だからな。お前達ウマ娘も直前になって走るメンバーが知らされるのなんて困るだろ?それと一緒だ。」

 

ルドルフ「しかし兄さん、この先にあるのは年に2回しか行われないグランプリレースだぞ?それを中止にするなんて事をするだろうか?」

 

八幡「普通なら考えられないな。けど今は普通じゃない事が起きてる、ならどんなケースが起きても不思議じゃない。そう思わないか?」

 

ルドルフ「………」

 

八幡「転換期っていうのが存在するが、今のこの状況がまさにそれだと俺は思っている。それにお前達ウマ娘が走っているのは観客に楽しんでもらう為では無いだろう?お前達がやってるレースは娯楽なんかじゃない、お互いがお互いに競い合ってる真剣勝負だ。そんな勝負に水を差すような連中なんて、お断りだとは思わないか?」

 

ルドルフ「つまり兄さんは延期になっても構わない、そういう思いという事かな?」

 

八幡「まぁそうなるな。文句を言ってまで来る必要がどこにある?走る事が宿命だと言っても良いウマ娘に対してそんな事を言えば、それは全ウマ娘に対しての冒涜だ。俺自身、6月で再開になろうが中止になろうがどっちでも構わないが、この前のライスのような事がまた起きようものなら、レースの観戦はするべきでは無いと思っている。」

 

ルドルフ「……君はかなり過激だな。」

 

八幡「当然だろ。俺の最初の担当があんな目に遭ったんだ、感情的にもなる。ましてやウマ娘の事を大して知りもしないバカな連中には特に、な。」

 

ルドルフ「全く、頼もしいトレーナーだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「聞くけどよ、何でこんな料亭で話がしたいだなんて言い出したんだ?しかもこんな個室の良い店、しかも……わざわざ俺を監視するかのような視線も感じるんだが?お前にとって俺ってそこまで信用無かったか?」

 

ルドルフ「………やはり兄さんには見破られてしまうか。これでも気付かれないよう工夫はしたんだが。」

 

八幡「気配を消したところで意味なんてねぇよ。寧ろ違和感を抱かれるだけだ。気配を消したり殺すのではなく、気配は偽るものだ。例えば……お前の後ろの襖に居る人、とかな。」

 

???『気付かれてしまいましたか。良い眼を持っていらっしゃいますね。』

 

 

襖が開くと、そこにはシンボリ家の当主のスイートルナさんが入って来た。

 

 

八幡「………盗み聞きではなさそうですけど、良い趣味してますね。自分の娘を使って俺の観察ですか?」

 

スイート「気を悪くさせてしまった事は謝罪します。しかし私としても貴方という人間をあまりに知りません。これはお互い様ではありますが、失礼ながら貴方の事を見定めさせて頂きました。」

 

八幡「その結果、どうなんでしょうか?」

 

スイート「お聞きになる事ではありませんよ。貴方は我々ウマ娘の事をとても大切に思ってくださっているようです。それも人間よりも。」

 

八幡「まぁ自覚はしてますよ。俺は自分と同じ人間なんかよりもウマ娘の方が好ましい。来世はウマ娘であってほしいと思えるくらいには。」

 

ルドルフ「君がウマ娘か……想像が付かないな。」

 

八幡「ほっとけ、俺もだ。」

 

スイート「ふふふっ……んん、失礼。これで貴方の事は大体分かりました。何かあれば我々シンボリ家が出来る限りのお力添えをしましょう。必ず、とはお約束出来かねますが。娘を鍛えていただいているお礼という事も含めて。」

 

八幡「お釣りが出るくらいの申し出ですね。では早速お願いしたい事があるんですけど、いいですか?」

 

スイート「可能な事であればお聞きしますよ。」

 

八幡「出来れば協力してほしいと思ってます。」

 

 

 




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