八幡side
さて、去年と同じように8月が近付いて来た。去年は確かエビのサラダとか生姜焼きを作ったと思う。うぅ〜ん……今回はご褒美ではなく、これからのレースを頑張りましょうという事だからそれなりの品を作りたい。けどどうするか………いや、ライスはフランスに遠征するわけだからフランス料理を作るか?けどフランス料理は調味料を多く使うから、その分出費も嵩む。何せ世界三大料理の1つだからな………よし、ある程度は決まった。
八幡「そうと決まれば、買い出しだな。ある程度の料理の練習もしておきたいしな。」
ーーー数十分後ーーー
八幡「フランスは鴨をよく使うが……無いな。仕方ない、鳥にするしか無いな。エスカルゴも……無さそうだな。こうも最初から躓くとはな。けど大体の食材は間に合いそうだから良かった。後は……」
スペ「あああぁぁぁぁぁ!!トレーナーさん!!」
スズカ「ス、スペちゃん!?」
八幡「………」
会いたくない奴の1人に会ってしまった………
スペ「トレーナーさん、お買い物ですか!?食材を買っているんですか!?」
八幡「……あぁ、その通りだが?」
スペ「一体何を作るんですかっ!?」
八幡「………秘密だ。」
スペ「えぇ〜……で、では味見「お断りだ。」役ってまだ何も言ってないじゃないですか!?」
八幡「味見でもう分かっちまったよ、俺が作るのは俺が面倒を見ている3人だけだ。」
スズカ「そ、そういえば去年も作っていましたよね?同じメニューを?」
八幡「いや、違う。同じだったらつまらないだろ。去年とは全く違うものだ。」
沖野「お~いスズカ、スペ!買いたい物は……比企谷、お前も来ていたのか。」
マックイーン「ト、トレーナーさんっ!?」
はい、会いたくない奴2人目。
八幡「はい、ちょっと食材を買いに。そちらは?チームで来ているみたいですが?」
沖野「あぁ、チームで寄せ鍋みたいなのをやろうと思ってな。」
八幡「おい、お前んところのトレーナーがこう言ってくれてんのに俺の飯を味見って何だよお前……」
スペ「だ、だってトレーナーさんの料理がすっごく美味しそうだったからしょうがないじゃないですか!!ライスさん達だってすっごく美味しそうに食べてましたし!!」
マックイーン「その通りですわっ!!それとトレーナーさん、デザートを作る予定はありませんの!?」
八幡「さぁ〜て、どうだったかなぁ〜?」
マックイーン「誤魔化さないでくださいましっ!!」
沖野「おいお前達、比企谷は買い物中なんだからあんまり迷惑な事するな。」
ゴルシ「そうだぞお前等、ハチはアタシと一緒に超デッカいカツを作るんだからよ!そうだろハチ?」
八幡「そうそう、ところてんでうどんを作るって約束してたよな。」
ゴルシ「おっ、分かってんじゃねぇか!そうだよ、朝鮮人参ハンバーグだったよな!」
八幡「そうだね、スイカの皮を使って鶏そぼろ丼を食うって約束もしてたよな。じゃそういう事で。」
……ごめん、何の話してたっけ?ゴルシのせいで忘れちまった。てか俺も何言ってんだ?
ーーー厨房ーーー
八幡「さて、何から作るか……まぁ今作っても収まるのは俺の腹の中だから問題は無いが、誰かに見つかったら口止めだな。まっ、色々作るか。」
取り敢えず、去年作ったポトフから。
ーーー数時間後ーーー
八幡「ふぅ……取り敢えずはこんなものか。しっかし、いつもやらない調理の仕方をしたから疲れる疲れる……にしても、少し作り過ぎたか?」
???「あら、じゃあ私に頂けるかしら?」
八幡「っ!お前、合宿に来ていたのか……」
ラモーヌ「えぇ、最初から来ていたわけじゃないけれど。それよりも、その料理は頂けるのかしら?」
八幡「……条件がある。俺はこの料理を全部ではないが、8月の1日に出すつもりだ。その事を黙ってくれるのであれば提供しよう。」
ラモーヌ「あら、その日も作るの?」
八幡「俺のメンバーにな。今日作ったコイツ等は試作品だ、流石にぶっつけ本番で作った事の無い料理を出すわけにはいかないからな。」
ラモーヌ「……献身的なのね。」
八幡「そう思うか?」
ラモーヌ「えぇ、その姿は人によって綺麗なように見えて醜いようにも見えるわ。けれど……貴方は綺麗に見えるわ、お兄様。」
八幡「その取って付けたようなお兄様はやめろ、無理に言わなくていい。それよりも、こっちの約束は守ってくれるのか?」
ラモーヌ「えぇ、分かったわ。他でもないお兄様からの頼みだから聞いてあげる。」
ふぅ……良かった、でも安心は出来ない。アルダンと違って確証の出来ない相手だ、もしかしたら破るかもしれないしな。
ラモーヌ「大丈夫よ、貴方との約束は守るわ。そうしないと、後が怖そうだもの。」
八幡「後?」
ラモーヌ「アルダンの事よ。あの子は貴方の事をとても気に入っているから。もし貴方との約束を破ったと知られれば、きっとあの子から問い詰められるわ。それに、お婆様からも。」
あぁ〜……ちょっと納得した。
八幡「まぁ、俺は約束守ってくれるならそれで良いんだけどな。じゃあ盛り付けてそっちに持ってくから適当に座ってくれ。」
ラモーヌ「えぇ、ありがとう。」
それからは俺とラモーヌの2人で食事をする事になった。すっげぇ静かな食事だったが、ラモーヌの所作は見事と言わざるを得ない程、素晴らしいものだった。
前にも思ったが、本当に俺よりも年下なんだよな?
ラモーヌさん、言うんじゃありませんよ!!