八幡side
フランス観光を終えて、拠点のシャンティイ学園へと帰還した。俺は部屋に戻って数日後から始める予定のトレーニングメニューの再確認をしている。ライスも今は部屋に居ると思う。今は午後3時、学園の授業がそろそろ終わる時間帯でその後にはトレーニングがある。恐らくこの寮に戻って来るトレーナーやウマ娘は殆ど居ないだろう。
ライスにも早くトレーニングをさせてやりたいものだが、焦りは禁物。今は目の前の事を1つ1つ片付ける事に集中していこうと思ってる。
八幡「………」
……にしても、確認が終わると暇になるな。ライスはどうしているだろうか?
♪〜
八幡「ん?ライスから?」
ラ
14:34
八
14:34
ラ
14:34
八
14:35
ラ
14:36
八
14:37
ラ
14:37
コンコンコンッ
八幡「(おっ、早速来たな。)どうぞ。」
ライス「失礼します……えへへ、お隣なのにメールって何だか変だよね。」
八幡「だな。それで、どうする?コース場に行ってみるか?その時はジャージに着替えてもらうが。」
ライス「うん、行ってみたい!ちょっとでも早く慣れないといけないから。」
うん、良い事だ。ていうか良い子だ。
八幡「よし、じゃあ着替えて寮前に集合するか。」
ライス「はい!」
ーーー寮前ーーー
八幡「おっ、来たなライス。」
ライス「お待たせお兄様、早速行く?」
八幡「そうだな、歩きながら行こうか。慌てる理由は無いしな。朝に聞くべきだったが、体調とか調子はどうだ?変化は無いか?」
ライス「大丈夫、違和感とかも無いよ。」
八幡「そうか?時差ボケとかは?」
ライス「うぅ〜ん……あんまり無い、かも?」
八幡「こればっかりは感覚だからな、後2日くらいは今日と同じ過ごし方になるかもな。」
「あっ、日本から来た……こんにちは〜!」
「こんにちは〜。」
八幡「ん?あぁ、こんにちは。」
ライス「こ、こんにちは!」
「ちゃんと挨拶してくれた……大丈夫そうだね。」
「うん、カーネギーの言ってた通りだったね。」
八幡「向こうから挨拶してくるとは思わなかったな。ライス、このまま会話が出来ないとアレだから携帯に翻訳のアプリを入れたら便利じゃないか?」
ライス「あっ………どうして気が付かなかったんだろう!そうすれば会話も簡単だよね!」
八幡「あぁ、その方法ならカーネギーとも話が出来るだろう。今は無理そうだが、帰ったらアプリを入れれるかどうか試してみるか。」
ライス「うん!」
ーーーコース場ーーー
八幡「此処が学園のコース場か……良い所だな。しかしこの芝、やっぱり長いな。」
ライス「長い?」
八幡「コレを見ろ。」
俺は東京レース場から持って来た芝と今コース場から抜いた芝をライスに見せた。明らかに此処、シャンティイ学園の芝の方が長い。
八幡「芝が長いせいで脚が地面に着いても踏み込めなくなる場合がある。しっかり踏み込みながら走る事を意識しないとな。よし、使わせてもらえないかどうか少しトレーナーに聞いてくる。」
ライス「……こんなに違うんだ、日本とフランスって。面白いなぁ〜。」
ーーー数分後ーーー
八幡「ライス、使っても大丈夫だってよ。向正面なら使っても大丈夫だって言ってたから向かうか。」
ライス「うん、じゃあ行こっか!」
八幡「じゃあ少しでも感覚掴む為にランニングで行くか。」
ライス「うん、分かった!」ダッ!
………走った感じ、しっかり踏み込まないと滑る感じがするな。けど走れないわけじゃない、だがこの走りじゃダメだな。つま先だけじゃなく脚全体で走るようにしなきゃ上手く駆けられないかもな。
「ねぇあの日本のトレーナー、あのスピードでついてってるよ。凄いね……」
「うん、ウマ娘じゃないのにあのスピードって……」
「靴にエンジンか何か仕込んでるとか?」
「「いや、それは無い。」」
ーーー向正面ーーー
八幡「ライスも途中で気付いたみたいだな。」
ライス「うん、踏み込まないと走れない。これを長距離だからしっかりスタミナを温存しながら走らないとダメだよね。」
八幡「そうだな。最低2,000mまでは踏み込んで走れるようにならないとダメだな。」
ライス「え?何で2,000m?」
八幡「ライスが走るロンシャンレース場には最終直線前に『偽りの直線』つまりは『フォルスストレート』ってのが存在する。250mと短いがスパートのタイミングを間違えると最後の直線530mが続かなくなる。だから俺達の最初の課題は2,000mまではしっかり走り切る事だな。」
ライス「成る程……うん、頑張るっ!」
最初の課題が見つかりましたね。