比企谷八幡、ウマ娘トレーナーになる!   作:生焼け肉

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世界の名伯楽

 

 

八幡side

 

 

………なんか、いつもの感じじゃないから落ち着かない。同じGⅠでも海外の国際重賞競走に参加するんだって思うと緊張が走る。凱旋門賞ウィークエンドの土曜日は全部で6競走行われる。その中でライスが走るロワイヤリュー賞は5レース目だ。しかも土曜に行われるGⅠはこのレースと4レース目の世界最長距離のGⅠの1つでもあるカドラン賞を含めて2つ、つまりはメインレースと言っても過言では無い。凱旋門賞を盛り上げる前祝いとしては絶好のレースとも言えるだろう。

 

そのレースにライスが参加するんだもんな……自分から決めた事とはいえ、本番になってから実感が湧くとはな。

 

 

ライス「お兄様、見て見て!周りの人達すっごく綺麗だよ!華やかな衣装を着ててパーティーに行くお姫様みたい!」

 

八幡「世界最強ウマ娘を決める戦いが明日行われるだけでなく、世界一優雅なレース場としても有名なパリのロンシャンレース場だからな。今回は特に多いんだろうが、メインは凱旋門賞の筈なのに前日でこれだけ集まるなんてな……」

 

ライス「トレーナーさん達、なのかな?」

 

八幡「いや、トレーナーがあんな格好しないだろう。多分貴族とかその辺りの人間じゃないか?ほら、ヨーロッパでは廃れてきてはいるが貴族社会は存在するからな。」

 

ライス「そっかぁ……」

 

「失礼、少しよろしいだろうか?」

 

 

突然、横から話しかけられた。英語だから地元の人じゃないな。イギリスかアイルランドだろう。

 

 

八幡「はい、何でしょう?」

 

???「君は日本から来たトレーナーのミスターハチマン・ヒキガヤではないかな?その隣に居るのは担当のミスライスシャワー。」

 

八幡「はい、その通りです。日本の比企谷と担当のライスシャワーです。貴方は?」

 

???「これは失礼、私はイギリスでトレーナーをしているアップルという者だ。ロワイヤリュー賞ではライバルという形になるね、よろしく。」

 

 

アップル……って事はドバイのウマ娘組織【ゴドルフィン】の専属調教師か!この人はドバイとイギリスの2つに拠点を持っている世界トップクラスの名トレーナーだ。

 

 

八幡「ライバル……つまりは隣に居るウマ娘がイギリスセントレジャーを勝利したミスクローネですね?」

 

アップル「ほう、流石に調べられているようだね。クローネ、挨拶を。」

 

クローネ「どうも。」

 

ライス「ど、どうも……」

 

アップル「君の事は天皇賞で知っているよ。新進気鋭の凄腕だとも聞いている。」

 

八幡「小生意気なだけですよ。まぁ勝ちを譲る気はありませんけど。」

 

アップル「そのようだ、けどそれはこちらも同じさ。今日はお互いに良いレースを「その挨拶、待ってくれるかい?」ん?おぉ、やはり来ましたか!」

 

???「勿論、来ないわけが無いでしょう。」

 

 

……またもや超大物だ。アップルさんと同じこのヨーロッパを代表する名トレーナーの1人で、アイルランドの巨大組織【クールモア】の私有トレーニング施設を任されている程の腕前。アイルランドを拠点にしているが、イギリスでも最優秀トレーナーを受賞するくらい多くのウマ娘を手がけている。

 

 

???「君がミスター比企谷か。はじめまして、アイルランドでトレーナー活動をしているオライエンだ。隣に居るのはロワイヤリュー賞に参加するクラウロード、会えて嬉しいよ。」

 

八幡「こちらこそはじめまして、日本のトレーナーの比企谷です。隣に居るのが担当のライスシャワーです。まさか世界トップクラスのミスターアップルとミスターオライエンにお会い出来るだけでなく会話まで出来る事を嬉しく思います。」

 

オライエン「はははっ、こちらこそ会えて嬉しいよ。ウマ娘を大切にするトレーナーに悪い人は居ないからね。君の演説、あれには心奮わせられたよ。」

 

アップル「やはりミスターオライエンも同じ気持ちでしたか。実はね、天皇賞はリアルタイムで見させてもらっていたんだ。レース後に声1つも上がらないとはどういう事だと思っていたんだ。あんな事情があったとはいえ、同じ人間とは思えないよ。」

 

八幡「日本語が分かったんですか?リアルタイム映像なのに?」

 

アップル「字幕をつけていたからね、理解は出来たんだ。ミスライスシャワーが責められているのを君が止めに入って観客に自分の思いを叫んでいる場面では、ウマ娘だけでなく我々トレーナーも目頭が熱くなるのを感じたよ。実際に泣いた子も居たしね。」

 

オライエン「私の国でも同じだったよ。それに陛下をも動かしてしまう程だからね、私達トレーナーの前で『彼のような精神を持ってこれからも励んでほしい。』とお言葉を賜ったくらいさ。アイルランドは今でもレース場には『健闘を讃えよ、走ったウマ娘には暖かな拍手をっ!』というパンフレットが配られたり、ポスターを張り出しているからね。」

 

 

……マジ!?俺の天皇賞でやった事ってそんなに影響力あったの!?俺の言葉で泣く?陛下を動かした?嘘じゃん……日本だけの問題だと思ってたのに海外にまで!?フランスだけでも驚きだったのにイギリスとアイルランドにまで!?

 

 

オライエン「だから君の事は同じトレーナーとしてとても誇らしい人だと思っている。」

 

八幡「い、いえ……自分はあの場で思った事を口にしただけです。誇らしいだなんて………」

 

アップル「いやいや、大観衆の前であんな事は易々と出来る事では無い、君はもっと自分を誇るべきだ。日本どころか世界にまでレースやウマ娘に対する意識を変えさせたのだからね。君も既に世界に名を連ねるトレーナーの1人なんだからね。」

 

 

いや、それはまだまだ早過ぎます。経験も年齢も育てたウマ娘の数も何もかもが圧倒的経験値不足です。

 

 

 






クローネ「あちらは凄い盛り上がっていますね。」

クラウ「まぁ無理も無いって。ずっと会いたいって言ってた日本のトレーナーに会えたんだからよ。」

クローネ「…それもそうですね。」

ライス「え、えっと……」

クラウ「君が日本の天皇賞を勝った………」

ライス「ひゃ、ひゃい!ライスシャワーでひゅ!」

クローネ「……噛みましたね。」

ライス「はうぅ……」

クローネ「かわいい、何だか小動物みたいです。」ギュッ!

ライス「わぁ!?え、な、何ですかっ!?」

クローネ「大丈夫ですよ、食べたりしませんから。」ギュ-!

クラウ「当たり前でしょ……っていうか何してんだよ?」

クローネ「安心させています。」ギュ-!

クラウ「いやいやダメだろっ!これからレースだろっ!!」

ライス「あ、あの……大丈夫ですから。」

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